「介護・医療事業の白ゆりグループ㈱メディカルシャトー」

シフト作成・管理アプリ『Synchroshift(シンクロシフト)』導入」

㈱メディカルシャトー函館:函館市美原2丁目50-2 TEL.0138-34-3231 https://www.shirayuri.gr.jp/

札幌のほか、函館、北斗の両市で『ライフプレステージ白ゆり』ブランドの高齢者介護複合施設を運営する白ゆりグループ(㈱メディカルシャトー代表取締役佐藤文彦氏)が介護サービス事業にICTやデジタル技術の活用を進める中で、今回勤務シフトの作成・管理アプリ『Synchroshift(シンクロシフト)』を導入。管理者が多大な時間を費やしていた勤務シフトの作成を自動化。スタッフも納得するシフトを生み出すというアプリについて取材した。


「メディカルページ函館・道南版 2022年冬号」(令和5年11月20日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

 白ゆりグループの㈱メディカルシャトーは3年前から、介護システム『ケアカルテ』の導入と併せて、利用者の睡眠状態を自動測定する『眠りSCAN』などICT(情報通信技術)を活用している。ICT活用は、スタッフの負担軽減と利用者の生活環境の改善が目的だが、本年4月からはメモアプリケーション『Notion(ノーション)』を導入、DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタルテクノロジーを使用して各種の要求を満たすプロセス)を活用し各事業所間での情報共有も進めている。
 とはいえ医療・介護事業は、ICT化による効率化が進まない事業分野。一方で24/365 (24時間365日) 体制でスタッフが働く労働集約型事業の典型。一番のコストは人件費で、スタッフの増加は売上アップに直結するが同時に人件費というコストも増加するビジネスモデルだ。
白ゆりグループが、DXを活用した各事業所間での情報共有やICT戦略を積極的に進めグループ30事業所の900名近いスタッフが働く介護の現場が直面している課題を見つめ直した結果が――
 「たかがシフト、されどシフトでした」とシフト作成・管理アプリ『シンクロシフト』の導入を担当した ㈱メディカルシャトー本部企画管理室DXS事務局の佐藤邦広局長は、勤務シフトの重要性だったと話す。

佐藤文彦社長(左)とDXS事務局 佐藤邦広局長

現場が当面する面倒なシフト管理を自動化

 「シフトを管理、作成するのは役職者で、そもそもスタッフのマネージメントや利用者さまへの対応などで忙しい。そうしたなかでシフトの作成作業は 表計算ソフト等で一人ずつ作るのが普通で、毎月数十時間かかる人もいました」(佐藤局長)。
 作成に時間を要する一因に 介護事業所のシフトは利用者の人数に応じて、早番、遅番、日勤、夜勤のスタッフの人数が決まることにある。さらにスタッフが申し出てくる休みの希望日や有休の調整、新人スタッフの一人での夜勤は認められない、夜勤の翌日は休みにしなければならない、加えて相性が合わないスタッフ同士の勤務は避けるという気配りまで、管理者のシフト作成は考慮すべき事項が多数ある。そのため作成に毎月数十時間を要していた。
 管理者は苦労して月末最終日までにはシフトを決めるが、スタッフからは翌月の自分の予定が組めない。休みが確定していないから子供の参観日に行けるかどうか分からないなど、希望する休みが通らない不満も出てくる。その不満が募り最終的に退職につながると、また新規採用が必要になり、リーダークラスのスタッフを育てて提供する介護サービスの品質を高める時間もなくなるという悪循環が続いてしまう。
 まさに佐藤局長のいう「たかがシフト、されどシフト」こそ重要課題だった。

チームワークが不可欠の介護サービスはシフトから

  佐藤局長は、「介護業界はチームワークが基本で、そのはじまりがシフト作成です」とも話す。
特に介護事業所では事業所の勤務シフトとともに自治体に提出する勤務区分覧表にはシフト記号表(常勤換算表)の添付も必要で、これらが自動でできないものかと考えていたが、こうした課題をシンクロシフトが解決したと話す佐藤局長は、「シフト以外にも介護の現場でデジタル化を進めますが、シンクロシフトで本当の意味で利用者さんに接する時間が増えました」と語る。
 実際にシンクロシフトを導入後の白ゆりグループの実証結果をみるとスタッフ20名の事業所では、シフト作成に約4.5時間。常勤換算には約3.5時間の削減を達成。1カ月あたりの作業時間は9分の1まで減少したというから、導入効果は絶大だった。

スタッフはスマホで管理者はPCで

 シンクロシフトの使い方はいたってシンプル。例えば、これまでスタッフは希望する休みの日を事業所に貼りだされたカレンダーのその日にマルをつけるというやり方がほとんど。この場合、誰かがマルをつけた日には希望していても、後からマルは書きづらい。シンクロシフトは各自が自分のスマホから希望する休みを申請するので、他のスタッフの希望日を気にせずに申請できる。
シフトを作成する管理者は、全員の希望する休みの日をPC画面で確認。休みの希望が重なっている場合には、その中で何人かの希望を拒否することができる。それも単に拒否するわけではなく、シンクロシフトが、これまでに希望した休みの承認率を計算して、希望する休みがスタッフで平等に取れるようにコントロールする。
 全員が希望する休みを入力した後にシフトの自動作成ボタンを押すと数分でシフトが完成する。スタッフはスマホで自分のシフトを確認する。スタッフが希望する休みを入力すればシフトが自動作成されるから、月末最終日よりも前にシフトを提示できるので、個人の予定も組みやすくなる。もちろん手修正も可能だ。

夜勤による心身の負担も軽減

 シフトに不満のある人を出さないのがコンセプト。公平性を保ったシフトがつくられることで、不満が解消され、それによって離職率が下がると考えています」と話す佐藤局長は続けて、「24/365で働くスタッフには、特に夜勤が心身に負担を伴います。ですから負担がかかりにくいシフトを自動的につくる。強調したいのは、これまで普通につくられていたシフトよりも、スタッフの健康に配慮しているということです」とシンクロシフトの機能を強調した。

(取材日:2023年10月19日オンライン取材)


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