介護事業にもデジタルDXを活用!白ゆりグループ ㈱メディカルシャトーの経営戦略

メモアプリケーション『Notion』(ノーション)』は介護保険改正にも対応

㈱メディカルシャトー函館:函館市美原2丁目50-2 TEL.0138-34-3231 https://www.shirayuri.gr.jp/

札幌を始め函館、北斗の両市で『ライフプレステージ白ゆり』ブランドの高齢者介護複合施設を運営する白ゆりグループ(㈱メディカルシャトー・代表取締役佐藤文彦氏)は、昨年からメモアプリケーション『Notion(ノーション)』を導入、DX (デジタルトランスフォーメーション: デジタルテクノロジーを使用して各種の要求を満たすプロセス)の活用による各事業所間での情報共有を進めている。今年4月の介護保険の改正にも対応した同グループの『Notion』活用とこれを使う函館地域スタッフ約300名の変化について、担当する㈱メディカルシャトー函館・函館介護本部佐藤邦広部長に聞いた。


「メディカルページ函館・道南版 202年夏号」(令和6年7月20日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

㈱メディカルシャトー佐藤文彦社長(左)と㈱メディカルシャトー函館 函館介護本部 佐藤邦弘部長

白ゆりグループが導入した『Notion(ノーション)』について説明してください。

 メモアプリケーション(パソコンやスマートフォンなどのデバイスで使えるノート・メモ)サービスです。ノート・メモ機能のほか、様々なデータベースを作成することができます。 弊社では昨年4月から導入し、社内のポータルサイトとして活用してきました。いってみれば『Notion』は白ゆりグループ内のスタッフ用ホームページです。社内通知やマニュアル、規定などがすべて『Notion』に収められていて情報を共有します。スタッフは朝出社したらパソコンやタブレットで『Notion』を見て、お知らせ欄などをチェックします。弊社の『Notion』は安全性を考慮し、業務で使用しているパソコンやタブレットでのみ閲覧できるように制限しております。

今年は介護保険の改正がありましたが、『Notion』の使い方に変化はありましたか。

  介護保険の改正で、高齢者虐待防止やコロナ禍を経ての感染症対策など、各種委員会の立ち上げが今回の介護保険では明確に打ち出されました。白ゆりグループでは高齢者虐待防止身体拘束廃止委員会、感染症対策委員会、事故防災対策委員会を立ち上げました。
 以前から事業所ごとに委員会活動をしていました。しかし、各事業所のスタッフ数は利用者さんの人数に合わせた基準で配置しています。委員会のために休みを返上して出勤して労務時間を増やすのでは本末転倒です。それでも委員会は立ち上げなくてはなりませんから、各事業所から各委員会を担当する選抜メンバーを1名選んでもらい、委員会には選抜メンバーがZOOMで参加することにしました。
 各事業所で行われるのは業務会だけですが、各事業所は『Notion』の議事録のリンクから、その委員会議事録を見て、選抜された委員会メンバー以外のスタッフから意見を吸い上げて、委員会で議論します。

『Notion』の利用法がさらに拡大したということですね。

 『Notion』は従来から事業所間の情報共有ツールとして、主に社内通知や会議などの議事録作成、また物品等の管理簿や事業所のスケジュール管理として使用していました。介護保険改正の準備として、各事業所で使用しているマニュアルの見直しを行い、委員会活動をより活性化させながら運営することが必要不可欠となり、『Notion』を活かして各事業所間の連携の強化をしました。
 現在は3委員会ですが、今後は生産性向上委員会やDX化やICT化の促進、SNSの進め方などの委員会も立ち上げていく予定です。

各委員会の設置だけでなく、今回の改正では「感染症対策」、「防災」に対しての業務継続計画(BCP)の作成が義務化されました。

■Notion(ノーション)で情報共有

 今年4月の義務化に応じて、国の事例様式がエクセルだったので弊社ではBCPをエクセルで作成していました。しかし、エクセルのひな型で作成して、さらにこれを印刷して紙で保管しなければならないとなると大変な作業でした。
 そこで『Notion』にBCPのページを作り、事業所ごとに自然災害と感染症に関する内容が用意されています。函館市が展開しているweb版ハザードマップはもの凄くわかりやすいものなので、こちらを最大限活用するために切り貼りするのではなく、そのままリンクを張って活用しています。拡大すると近くの避難所を表示します。洪水時や地震時のハザードマップもクリックひとつで簡単に選べます。
 地震などの災害時には、StarLinkなどのサービスを利用しネットワーク環境を担保できていれば、プリントアウトした紙を探す時間もないし、保管場所が潰れているリスクも気にする必要がありません。日常から、スタッフひとり一人が業務継続計画書を目にしやすい環境を整備して、いざというときにこの計画内容を把握できるようにすることが不可欠であると考えています。
 スタッフは導入当初、このポータルサイトに触れるのを怖がっていましたが、今では「『Notion』でこういうチェックリストを作りたいのですが」と提案を受けたりしています。『Notion』のように身近に接して、難しい内容も確認できる。いざという時にでも運用できる仕組みづくりが必要だと改めて思いました。

DXの活用が不可欠ということですね。今後検討されていることはありますか。

 各事業所の形態によって適切なDXを目指していきます。すでに何例かのDX活用にトライしていますが、まだ企業秘密です(笑)。ポイントは今まで触ったことや操作したことがない介護・医療職が触りやすく、わかりやすいシンプルなアプリケーションの導入で、気付いたらDX化が進んでいるというのが理想です。
 スタッフが働きやすい環境は、そのまま利用者さんのサービス向上につながると信じています。デジタル化による効率化が、たとえ10分の時間短縮でもその積み重ねが利用者さんとコミュケーションの時間になり、サービスにつながる。それがDXの役目かなとも思います。
今、介護の世界は深刻な人手不足です。特に函館市は人口減少が激しい。ですから介護の世界でもICTやDXが進んでいることを知って興味を持つ若い人たちが増えてくれればと思っています。

(取材日:2024年5月30日)


白ゆりグループ 株式会社メディカルシャトー函館
函館市美原2丁目50-2 TEL.0138-34-3231
オフィシャルページ