ICT(情報通信技術)活用に加え排泄ケアのプロ資格で利用者の快眠を向上

白ゆりグループ ㈱メディカルシャトー

㈱メディカルシャトー函館:函館市美原2丁目50-2 TEL.0138-34-3231 https://www.shirayuri.gr.jp/

白ゆりグループの㈱メディカルシャトーは2年前から、介護システム『ケアカルテ』の導入と併せて、利用者の睡眠状態を自動測定する『眠りSCAN』などICT(情報通信技術)を活用している。このスタッフの負担軽減と利用者の生活環境の改善を目的としたICT活用に加え、利用者の更なる快眠と相互の負担軽減を実現すべく、同時に取り組んでいるのが、快適な排泄ケアを提供するオムツマイスター・プロ制度(大王製紙認定資格名はアテントマイスターPRO)だ。利用者の快適な睡眠を実現するためにも欠かせないというオムツマイスター・プロについて聞いた。


「メディカルページ函館・道南版 2022年冬号」(令和4年11月20日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

■佐藤 文彦 社長

 「睡眠時は8~9時間交換の必要がないオムツ。でも朝方まであと数時間というなら3~4時間用のオムツで十分です。睡眠状態を自動測定する『眠りSCAN』はデータを可視化できるので、利用者さまの快適な睡眠を妨げない、無駄のないオムツ交換と同時にスタッフの労力軽減も可能にします」
㈱メディカルシャトー代表・佐藤文彦氏はこう話し、利用者や家族の金額的な負担軽減も図れるほか、質の高いオムツ交換により睡眠がどれだけ変わったかを視覚的に利用者や家族に説明できるのもメリットと付け加えた。

『ケアカルテ』と『眠りSCAN』

■眠りSCANのモニター画面

 まず同社が使用している介護システム『ケアカルテ』と『眠りSCAN』について説明すると、『ケアカルテ』は介護スタッフがiPadに利用者の日々の記録をタッチしながら入力すると排泄や食事記録を自動で作成。ケアプランなども従来の半分の時間で作成できる。これにより記録業務に要する時間が従来の1割程度になったという。
『眠りSCAN』は、利用者のベッドのマットレスの下に設置したセンサーにより、寝返りや呼吸、心拍などの体動を測定して、睡眠状態を把握するシステム。高齢者複合型介護施設であるライフプレステージ白ゆり美原では、入居系の介護サービスの提供も必要で、そのために本来全く別のシステムである『ケアカルテ』にパラマウントベッド㈱の『眠りSCAN』のシステムを連結。さらにナースコールと連動させることで、自動的に睡眠の記録を『ケアカルテ』に取り込む。
 スタッフは、利用者が眠っているかどうかだけでなく、心拍数や呼吸などの状況もモニターから確認。定時の巡回と異なり、『眠りSCAN』での状況把握により、不要な巡回がなくなり、利用者の睡眠を邪魔しない。適切なオムツ交換などオムツマイスターによる作業で、従前は76%だった利用者の睡眠効率が82%に改善されたという『眠りSCAN』のデータもある。

オムツマイスター・プロとは

 「人間は不快な気持ちになると体が反応します。睡眠中にそれを察知するのが『眠りSCAN』ですが、オムツマイスター・プロが目指すのは利用者さまに快適に過ごしていただくことです」と話すのは、㈱メディカルシャトー函館介護本部本部長・稲村信一氏。オムツもちょっとしたあて方の違いで不快感を与えたり、尿などが漏れてしまう場合もある。不快感を与えないオムツの正しいあて方や排泄のメカニズムを熟知する資格がオムツマイスター・プロだ。
白ゆりグループのオムツマイスター・プロ(アテントマイスターPRO)は、大王製紙による認定資格。全6回の研修を受講して、オムツのあて方の手順や排泄のメカニズムを学び、筆記と実技試験に合格すればオムツマイスター・プロの認定を受ける。
 ライフプレステージ白ゆり美原では、2年ほど前からオムツマイスター・プロ資格取得を目指してスタッフがチャレンジしている。現在資格認定者は4名と少ないが、「スタッフは大王製紙の講師から実技とオムツの品質や性能などの講習を受けます。1事業所から1人など少数の講習で、試験まで最低でも半年かかります。技術をしっかり判定するための試験ですから簡単には取得できません」(稲村本部長)という難関だ。

スタッフ全員がオムツのスペシャリストに

 資格取得後は、オムツのスペシャリストとして、利用者の排泄ケアのためにオムツの正しい選択方法や使い方、排泄についてのアドバイス・提案・サポートを行う。
 稲村本部長は、「経験値は大切ですが、人それぞれ違い、職場によって教え方も違います。オムツマイスター・プロの講習で、正しい技術と知識をスタッフが共有できます」と話す。さらにオムツマイスター・プロの資格を取得したスタッフが他のスタッフに教えることで、今後、スタッフ全員の資格取得を目指す。
 「どうしてオムツのギャザーはこういう形なのか。どういうあて方を前提としてつくられているのか理解しなければ性能を引き出せません。メーカーの方から教わり、しっかり理解して、この資格取って欲しい」と佐藤代表は話す。いずれにしても、オムツマイスター・プロ認定資格者による排泄支援が、快眠による利用者のQOLの向上となることは間違いない。
 ICTとオムツマイスターの活用を式で表せば、ICT×オムツマイスター=利用者快眠+オムツコストdown+スタッフ負担軽減と、3つの効果を生み出したことが分かる。

■白ゆりスタッフが受けたオムツマイスター・プロ(アテントマイスターPRO)の認定証

■ある利用者の睡眠状況を「ねむりSCAN」でデータ化したもの。6~7月より10月の方が睡眠を示す青の部分が増えており、睡眠効率も76%から82%に向上している。

(取材日:2022年10月6日)


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