第35回市民健康教室 特集 『整形外科のお話 ロコモと骨粗鬆症、あなたは大丈夫?』開催
丈夫な骨が健康寿命を延ばす
4月14日、『整形外科のお話 ロコモと骨粗鬆症、あなたは大丈夫?』をテーマに函館市と函館市医師会の主催による市民健康教室特集が、函館アリーナを会場に開催された。函館市は65歳以上の高齢者が人口に占める割合が30%を超える超高齢化都市。4人に1人は運動器疾患により介護が必要になるといわれている。会場に詰め駆けた市民が、健康寿命を延ばすための講演に聞き入っていた。 |
市民が健康に関心を持ち、健康づくりのきっかけとなることを目的とする市民健康教室は、例年年度初めの4月に「市民健康教室特集」が開催されている。
山田豊氏(函館市医師会理事)の司会により開会。主催者を代表して函館市保健福祉部・平井尚子部長と函館市医師会・本間哲会長があいさつした。この中で平井部長は、今年が35回目となる市民健康教室特集の目的について話し、本間会長は、「大いに勉強して元気になって帰って欲しい」と参会者に呼びかけた。
続いての講演は、医療法人大庚会理事長で今整形外科院長の今均先生を座長に、ゆのかわ温泉整形外科院長の毛糠優子先生が、「知ってますか?ロコモティブシンドローム」をテーマに、また函館中央病院診療部長兼整形外科科長兼治験センター長の大羽文博先生が、「ほっとくと怖い骨粗鬆症」と題して講演した。
講演の中で毛糠先生は、日本は超高齢化社会にあるが、高齢に対する不安が増大している。それは男性、女性とも平均寿命と健康寿命との差が約10年あること。つまり、人生の最後の10年間が、寝たきりだったり、介護の手を借りたりして自立して暮らせない人が多いということ。
介護を受けることになった理由をみると、骨折や転倒、関節疾患など運動器(体を動かすことにかかわる骨、関節、筋肉などの総称)の疾患により介護を受けている人が25%を占めている。また、要支援2の第一の原因は、骨折・転倒。第二位が関節疾患というように比較的介護度の低い人の運動器疾患が問題。要支援になる前に、また要支援の人が要介護になる前に運動器の健康を意識するために日本整形外科学会は、ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)という言葉を新しくつくり、みなさんに広めていると説明。
ロコモの要因やチェック方法、トレーニングによる対策法を説明した毛糠先生は、「日々の生活の中で今より10分多く体を動かして欲しい」とアドバイスした。
また大羽先生は、「骨粗鬆症は骨折のリスクを増大させて、生活の水準を低下させ、死亡率を高めてしまう。骨粗鬆症の治療の目的は、骨を増やすことではありません。骨折を予防することです」と説明。
日本の骨粗鬆症患者は1300万人ほどと推定されているが、その内病院で治療を受けているのは200万人ほどで、ごく一部。しかし、骨粗鬆症は静かなる殺し屋、サイレントキラー。知らないうちに寿命を奪っていく病気と、その怖さを強調した。
骨粗鬆症治療の3本柱は栄養・運動・薬剤として、ウォーキングやジャンプなどの運動が効果的。薬剤も高い効能のものが出てきているが、服薬の順守率、継続率が非常に悪いため5年前と比べても、骨粗鬆症患者があまり減っていないと話し、「骨折する前に、ご自分が骨粗鬆症なのかどうかを検査してもらうということが大事。治療が必要であれば、継続して欲しい」と強調した。
講演の後、出席した市民からの質問に各先生が答え、函館市医師会・萩澤正博副会長の閉会の言葉で講演会を終わった。
(取材日:平成30年4月14日)