第11回 当院の「訪問リハビリマッサージ」に関して

toyo_doc「東洋医学的 健康針断」では、年4回、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>

コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)


皆さん、こんにちは!
先日(H21年6月24日)、道南在宅ケア研究会の定例会が開催されました。
道南在宅ケア研究会とは、おしま病院の福徳先生、北美原クリニックの岡田先生などが中心となって、市民が安心して在宅でのケアを受ける事が出来るようにと、道南の医療・介護・福祉に携わる人たちが集まり設立された会であります。

http://www.oshima-hp.or.jp/zaitaku/index.htm (詳細はホームページで)

今回の定例会のテーマが「マッサージケア最前線」と言うことで、在宅でもこんなことができるんだという事にスポットを当てた勉強会が開かれました。
そこで当院の「訪問リハビリマッサージ」に関して、お話をさせていただく機会をいただき、約20分程度の時間、発表してきたところでございます。

今回の「健康針断」は、そこで発表した内容を、皆さまにも知っていただきたいと思い、書くことといたしました。
第2回健康針断の内容と少々、かぶるところはありますが、より分かりやすく書いたつもりでございます。


1.リハビリ医療の根幹

リハビリと言えば、後遺症の治療と考えられやすいのですが、リハの根幹となる考えは「予防」である。
急性期から維持期まで、あらゆるタイミングで起きる、身体状態の悪循環発生リスクからの回避

2.訪問リハビリ鍼灸マッサージとは?

◎鍼灸師・マッサージ師による施術です。
医師の同意のもとで、医療保険が適用となり、在宅にて患者様の状態に応じたリハビリマッサージを行います。
定期的な訪問により、高いリハビリ効果が望めます。
◎関節の拘縮や筋力の低下、麻痺には「マッサージ」、痛みに対しては「鍼灸」(対象患者様の多くは、出血傾向があるため、刺鍼せず、皮膚接触刺激での施術が多い)と、患者様の状態に応じ、適切な施術を致します。
◎訪問するための絶対条件は「歩行が困難である」ということ。
脳血管疾患後遺症、大腿骨骨折などの怪我による運動機能低下、長期加療後の廃用症候群など

3.鍼灸・マッサージ師によるリハビリの特色

もともと鍼灸・マッサージ師は「痛み」や「筋肉の緊張」、「関節のこわばり」を治療することを得意といたします。
副作用の心配なく、体に優しく負担をかけない、安心な治療法です。
◎ 痛みの緩和
◎ 血液循環の改善
◎ 関節の動きの拡大
◎ 内臓・心肺機能の改善
リハビリマッサージを行える日数の制限はありません

4.必ず必要な医師の同意

鍼灸の同意書:神経痛、リウマチ、頚腕症候群、五十肩、腰痛症、むちうち症
マッサージの同意書:傷病名に関わらず、筋の麻痺、関節の拘縮、医療上必要と認められた疾患
いずれの同意書も、初療より3カ月で再同意の確認が必要です。

5.医療保険適用による治療費

当院では患者様の状態に応じて、適切な施術を心がけています。
治療時間は、おおむね40分くらいです。

施術料

2550円(一般的なケースで鍼灸・マッサージの両方の同意書をとる)

往療料

・ 片道 2km未満 1,860円
・ 片道 2km以上~4km未満 2,660円
・ 片道 4km以上~6km未満 3,460円
・ 片道 6km以上 4,260円
施術料+往療料=治療費 これの1~3割負担
医療保険ですので、介護保険を限度まで使っていても大丈夫です。

6.鍼灸マッサージ師と理学・作業療法士のリハビリの違い

◎「理学・作業療法士が行うリハ」は、日常生活を円滑に行う事が出来るように、動き方の練習・指導を行います。それが可能になるよう、筋肉や関節の動きを改善させ、動作の補助になるように、器具などを推奨します。
◎「鍼灸マッサージ師が行うリハ」は、疼痛を緩和し、拘縮した関節を和らげ、麻痺した筋肉を刺激し、緊張を取り除いたりして、生活動作がスムーズにいくように、基本的な運動機能を改善させるよう施術します。
つまり上記の二つはお互いに、相乗効果が期待でき、ADLの「改善、維持、予防」には効果的である。

7.利用までの流れ

相談

まずは電話にて受付いたします。

ご説明

相談員が治療内容や医療保険の手続きの仕方について、詳細をご説明いたします。

同意書

主治医の先生に受診していただき、同意書にサインをしていただきます。この際の同意書は、患者様の状態をお聞きし、当院でご用意いたします。
医師をご紹介することも可能です。

治療開始

患者様の状態に応じた治療方針を立て、治療開始となります。

8.このような方に

  1. 病気や怪我などで、筋力の低下や関節の拘縮がある方
  2. 脳血管疾患などの後遺症で麻痺が残り、運動機能が低下している方
  3. 回復期病棟を退院後も継続してリハビリを受けたいと思っている方
  4. 痛みやしびれなどの苦痛で苦しんでいる方
  5. 寝たきりや寝たきりに近い方
  6. 歩行が困難で、通院に難がある方(歩行が困難とは、まったく歩けないという事ではありません)
  7. 特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームなど福祉施設には訪問可能、保健施設(医療を行うことのできる施設)には不可です。

少々、長くなってしまいましたが、これが鍼灸・マッサージ師が行っている在宅での施術の実際です。
時代背景として、在宅での介護・療養が、今後もっと身近で多くなってくることは、間違いないと思います。
そんな皆様の生活の中で、我々が少しでもお役にたてるのであれば幸せです。
いざという時のための資料としてみていただければよいと思います。
生活の質の高い老後を迎えたいものですね!!