「治療用食品・介護用食品」─取材レポート/その13 食品総合商社(株)アキヤマ 「業務用食材・機器フェア2014」開催
講習会で介護用食品や治療用食品の最新知識も提供
株式会社アキヤマ 業務用食材・資材・機器専門商社
北斗市東前3-41 TEL 0138-77-7491
業務用食材の専門商社㈱アキヤマが、平成26年10月6、7日の両日「業務用食材・機器フェア」を開催した。今回で45回目を数える同フェアには、食材、包装資材、調理機器などのメーカー98社が参加。函館流通ホールの会場に各メーカーが製品を展示。外食産業や病院・学校給食の関係者、さらに㈱アキヤマの宅配サービス利用者など、2日間に700人余が会場を訪れ盛況を極めた。 |
栄養士さんらが参加、病院給食事業向けの講習会も
フェアでは、各業種の関係者に向けて、セミナーやワークショップも2日間に6回開催された。6日にはキッセイ薬品工業㈱ヘルスケア事業部営業課東日本第一チームの斎藤良氏が介護食品の上手な活用法と新メニュー提案」をテーマに解説した。高齢者などが、誤嚥を恐れて食べなくなるという悪循環となってしまうと前置き。
安心して食べられるとろみ調整食品と介護調整食品の使用目的と使い方を説明した。
斎藤氏は、食べやすいように食品を刻むことで、逆に咀嚼回数を増やしているケースもあり、イメージにとらわれないことが必要と話し、容易に噛めるものから噛まなくてもよいものまで、「かたさ」や「粘度」の規格を4区分したユニバーサルデザインフードによる食品調理の例をあげた。
とろみをつける時間を食事の30分前に統一、また調理する人によってとろみの付け方にブレがないように確認するが大切としながら、斎藤氏は、「調理の現場に合ったものを食べる方の基準で選んで欲しい」とも要望した。
会場では、キッセイ薬品工業(株)ヘルスケア事業部が扱う介護食「やわらかあいディッシュ」の試食も行われ、参加した栄養士さんらが、やわらかくなめらかで飲みこみやすい介護食を試していた。
翌7日には日清オイリオグループ(株)ヘルシーフーズ事業部営業グループ主管佐野淳也氏が、「知っておきたい油脂の知識~中鎖脂肪酸の最新情報」をテーマに講習会を開いた。佐野氏は最初に常温で液体のものが油(OIL)で植物由来、個体のものが脂(fat)で動物由来が中心と油脂について説明。また、脂肪酸には、パルチミン酸やステアリン酸摂り過ぎに注意が必要なものとは逆に安心・ヘルシーなオレイン酸のほか、コレステロールを下げるリノール酸やEPAやDHAの仲間でもあるα―リノレン酸は、大切な必須脂肪酸と解説。
油の主成分である脂肪酸には、さまざまな種類があり、一般的な油は、分子の鎖が長い長鎖脂肪酸(LCT)から成り立っているが、鎖の長さがその約半分の脂肪酸である中鎖脂肪酸(MCT)は、無色・無臭、親水性、油っこくないという特長に加えて、LCTの4倍の消化・吸収性があり、腎臓への負担が少なく、中性脂肪が上がりにくい、血糖値への影響も少ないことから、たんぱく質制限のある人や高齢者の栄養状態の改善に有効と話す佐野氏は、アルツハイマー型認知症への効果も注目されていることを説明、日清MCTオイルとパウダー使った調理の仕方を紹介した。
フェア会場では、講習会で紹介された両社の商品のほか、道南地区では㈱アキヤマのみが扱っている全国病院用食材卸売業協同組合のPB食品や在宅介護用食品の紹介コーナーも設けられ、注目を集めていた。
東京晴海の物産展ように函館の食品事業者の方に情報を提供したいというのが、フェアのそもそもの狙いでした。最初の頃は、新川町の共愛会館、その後、駅前の拓銀ホールに会場を移し、それも手狭になり、現在の流通ホールに会場を移しました。会場にも時代の変化を感じますが、高齢化社会が進む中で、治療用食品、介護用食品にも力を入れてきました。
昔と比べて今の食材はとても良いものが増えました。高齢化が進み、これに合わせたマーケットも拡大しています。その一方で、現状は食生活の面での社会的整備が遅れています。治療用食品、介護用品に関しては、普通のスーパーでは売っていませんし、何を買ったらいいのか、どこに買いに行ったらいいのか分からないという方が増えています。当社は、10年以上前から社長が高齢化社会の進行を意識し、全国病院用食材卸売業協同組合への加盟なども行ってきました。今後とも治療用食品、介護用品を利用者や介護者の方にフェアの開催などを通じて知識を深めて頂ければと思っています。
(取材日:平成26年10月6・7日)