NPOオーソティックスソサエティーとDYMCOについて
『 NPOオーソティックスソサエティーとDYMCOについて 』
当院の玄関に「私たちは靴やインソールを開発・制作し、社会に寄与する研究組織です」と書かれた看板が掲げられているのをご存じでしょうか。
この看板には、NPOオーソティックスソサエティーと同NPOが定義するDYMOCO(ダイナミック・ムーブ・コントロール=Dynamic Move Control)理論のロゴマークが大きく表示されています。当院はNPOオーソティックスソサエティーの北海道支所でもあります。
今回は、このNPOオーソティックスソサエティーとDYMOCOについて、お話したいと思います。
みなさんは、「長時間歩くと痛い」とか「階段を上り下りすると膝が痛い」「歩いていると腰が痛い」など足の痛みの経験はありませんか。また、人によっては、「タコ・ウオノメが出来やすい」というお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょう か。
子どもの98%が健康な足をもって生まれてきても、大人の60%は何らかの足のトラブルに悩んでいるというドイツでの調査があります。足のトラブルの原因は、歩き方のバランス悪化とされます。つまり、自分の足を知ることは、健康を維持する基本ともいえるわ けです。
冒頭にふれたNPOオーソティックスソサエティーは、「手術しないで脚の悩みを解決できる方法はないものか」という思いから発足しました。理事長の内田俊彦博士(整形外科医)は、子どもから大人まで幅広い年齢層の 足の痛みの症状で来院される方について、臨床研究を進めるうちに、足、膝、腰の障害の多くが「足のサイズに合わない靴が原因」であることを確信しました。
この問題を解決するには、足と靴の両方についてのスキルを持ち、トラブル解決へ導ける「フットケアトレーナー」の育成が、多くの人を救える方法と考えた内田理博士は1993年12月9日、オーソティックス研究会を設立しました。
設立当初は、治療方法の研究を目的に足に装着する中敷(インソール)の研究集団として医師や理学療法士が活動の中心でしたが、「足の機能や靴、および装具学(オーソティックス)に関する基礎的な研究とその応用について広く考え、現代人が健康で安全に 暮らすことが可能な社会(ソサエティー)に寄与する」という考えから、2001年1月にオーソティックスソサエティーと名称を変更。同年12月には、子どもの健全育成、保健、医療又は福祉の増進の活動を目的とするNPO(特定非営利活動法人)として認可されました 。
現在、インソールと靴の研究のほか、医療費の削減、保存的な療法の確立を目指して「親と子の足の健康広場」等の全国的なイベント活動を展開していますが、オーソティックスソサエティーの考えを広く伝える人材「 フットケアトレーナー」の育成を行っています。
私もフットケアトレーナーの一員です。
フットケアトレーナーは認定制度で、資格取得のための講習会、スキルアップ勉強会や認知向上を目指すオープンセミナーが開催され、3段階のライセンス認定制度によって高いレベルを保持し、医学的根拠に基づき歩くバランスを見て、最善の解決方法を提供 します。整形外科医や理学療法士のほか、私のような柔道整復師、また鍼灸師、義肢装具士、靴店やスポーツ店の販売員から一般の方まで全国規模で1,500名ほどいます。
DYMOCO講習会も資格取得のためのひとつです。DYMOCOとは、ダイナミック・ムーブ・コントロール(Dynamic Move Control)の頭文字から取ったもので、歩行中の悪い動きを見つけ出し、その悪い動きを良い動きに変化させ、正しく歩けるようにバランスを整 える解決手段です。
その考え方をNPOオーソティックスソサエティーは、DYMOCO理論(DYMOCOフィッティング)と定義し、個々人の動きをみながらバランス調整し、作製するインソールをDYMOCOインソールと呼んでいます。
次回は、足のトラブルとインソールについて、お話したいと思います。
< 2014.12.1掲載 >