第4回 歩行を中心とした適度な運動 ―「歩く」ことの効果
「東洋医学的 健康針断」では、年4回、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>
コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)
皆さん、こんにちは!
春からへんてこな天気が続き、寒かったり、暑かったりで、体調を崩してはいませんか?
先日、マラソンの練習で四季の杜公園に走って行って来たのですが、往路・復路の両方で、たくさんのウォーキングをしている人たちとすれ違いました。
深い自然の中でのウォーキングは大変気持ち良さそうでしたよ。
しかしふと気が付くと、歩いている人たちの中に、若い人たちは一組もいませんでした。すべてが健康に注意をしている様な、年配の方々ばかりでした。
いかに若者は歩かないか・・・というか歩くのが嫌いなのでしょう。。。 不安を感じましたーこれだもの若い人たちの腰痛や肩こりが増えているはずです。
そこで今回は「第1回健康針断」で書きました、健康的な生活を送るために必要な3原則の中のひとつ「歩行を中心とした適度な運動」の「歩く」ことの効果を改めて書きたいと思います。
「歩く」その効果!
- 頭痛・肩こり・腰痛に効果
頭痛・肩こり・腰痛など一般的に皆さんが苦しんでいる症状の引きがねには、悪い姿勢、持続的な精神的緊張、物理的な負荷など色々とありますが、根本的には重力に逆らって、体を起立させておくのに必要な筋肉「インナーマッスル」といわれる、体の深い部分の背骨についている筋肉の筋力低下が最大の原因なのです。
この筋力が落ちることにより、重力に負けて体が傾き、「首・肩・背中・腰」にかかる負担が、より大きくなるのです。 この筋肉を効果的に鍛えるには歩くことが一番です。
歩く時の体の動きは、腰を中心とした骨格のアライメント(軸)を矯正することにもなるのですよ。 - 生活習慣病の予防に効果!
日常生活でよく歩いている人達は、そうでない人たちに比べて、高血圧、糖尿病、高脂血症、脳卒中さらに心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患になりにくいという結果が、国内外でいくつも報告されています。歩行のような低強度で長時間行える有酸素運動をすることにより、脂肪や糖はエネルギーとなって燃焼し、栄養と酸素は身体の隅々まで届けられ、心臓や肺の機能は活発になっていきます。
今、話題のメタボリックシンドロームを予防するには、歩くことが一番です! - ダイエットに効果
歩くことは有酸素運動ですので、体脂肪を効率よく燃焼していきます。エネルギー消費量は移動した距離に比例します。距離1km、体重1kgあたりのエネルギー消費量は、約0.5キロカロリーですので、体重60kgの人が2kmの距離を歩行すると、60(kg)×2(km)×0.5(kcal)=60キロカロリーの消費になります。これを目安に歩行時間と食事量を考えると、ダイエットが効果的に進みます。
計算が簡単で、目安を取りやすいですね。 - 骨粗しょう症に効果
歩くことは、体幹や脚の筋肉が良く使われる上に、骨に荷重が加わり刺激されるので、骨の形成が促進され、骨粗しょう症の予防・改善が見込まれます。 また屋外で太陽の光を浴びることにより、体内でビタミンDの合成が促進され、カルシュウムの吸収力を高めます。体のカルシュウムは20歳代までしか蓄えることができないのです。その後は減る一方です。つまり若いうちからの貯金が必要になるというわけです。
このように「痛み」「内科的疾患」「ダイエット」「介護予防」と健康的な生活を送る為に必要なこと、すべてに効果があるのです。
特に高齢者は、何かのきっかけで歩けなくなると「廃用性症候群」といって、「寝ている」→「足の筋力が低下する」→「たまに立とうとして転ぶ」→「なおさら寝込む」→「内科的な機能が弱る」といった具合に、大きな「悪循環」を作ってしまい、これが命取りになってしまうこともあるのです。
この悪循環に取り込まれないためにも、元気なうち、若いうちから「歩く」と言うことの重要性をしっかりと認識して、生活の中に習慣付けることが必要です。 そしてこのことが、「幸せな人の一生」に大きく影響するのではないかなと感じます。
これを読んだ方は、明日から努めて歩くということを、意識してみてください!
少し大げさな言い方かもしれませんが、生活・人生が変わっていくと思います。
さぁ、皆さん!!歩きましょう!!