「治療用食品・介護用食品」─取材レポート/その6 新しい食文化を提案する食品総合商社(株)アキヤマ

~牛乳の宅配事業と新サービス~

株式会社アキヤマ 業務用食材・資材・機器専門商社
北斗市東前3-41 TEL 0138-77-7491

akiyamarepo02_02業務用食材の卸問屋として知られる(株)アキヤマが平成23年春、新事業として牛乳の宅配事業を開始した。業務用卸と個人客を対象にする宅配とではまったく分野が違うように思えるが、高齢者や介護の必要な人に役立つ付加的なサービスを計画しているという。同社にしかできない「強み」を生かしたものだと聞き、牛乳宅配事業を統括する小林周平企画室長に詳しい話を聞いた。

まず、新事業として牛乳の宅配を始めた理由を聞かせてください。

akiyamarepo06_1106_024人に1人が高齢者という時代になり、日常の買い物に不便を感じる方が増えていると言われています。そうした方のための買い物の代行や商品の配達などのサービスも近年国内で増えているようです。ですから、牛乳配達はそんな今だからこそ時代の最先端のニーズをとらえた事業だと考えています。弊社は従来より森永乳業の業務用特約店として道南地域の製菓・製パンメーカー様や学校・病院給食向けに乳製品の配達を行ってきたという経緯もあり、牛乳の宅配事業を始めることにしました。おかげ様で4月現在で550件以上のお客さまにご契約いただいています。アキヤマミルクセンターとしてスタッフがサンプルを持参して各ご家庭をお訪ねしていますので、皆さまのお宅にお伺いした際にはよろしくお願いいたします。

牛乳配達にあわせて新サービスを計画しているとのことですが?

牛乳の宅配を契約しているお客さまが対象ですが、弊社で扱っている治療食や介護食をご家庭にお届けする新サービスを計画中です。これまでは弊社併設店舗にご来店いただくか、当社から宅配便でお送りするかしかできませんでしたが、これからは必要な時に必要な分だけ治療食・介護食をご自宅にいながらにしてお買い求めいただくことができます。

配達エリアと頻度はどうなっていますか?

函館市内と北斗市・七飯町を宅配エリアとしています。牛乳には賞味期限がありますので、新鮮なうちに飲んでいただくためにまずは現在の範囲のお客さまをガッチリとサポートしていきたいと思います。現在4台の宅配専用車を導入し、週に2回、1回に3本から4本ずつ牛乳をお届けしています。治療食や介護食の宅配を希望される際は、事前にお電話でご注文をいただければ次の宅配日に牛乳と一緒にお届けいたします。

akiyamarepo06_1106_08いろいろな商品を見て選びたいという場合にはどうしたらいいですか?

必要な方には治療食や介護食のカタログをお届けいたしますので、ご自宅でじっくりお選びいただいてから必要な分をご注文いただけます。また、お米など一定期間で必ず必要になるものについては定期配達もいたします。2週間に一度、1ヶ月に一度などご家庭のペースに合わせて配達いたしますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。

今後の展開を教えてください。

akiyamarepo06_1106_09現状は牛乳の宅配を契約しているお客さまへのサービスという位置付けですが、いずれは契約外のお客さまにも対象を広げ、治療食・介護食のみでの宅配も手掛けていきたいと考えています。また、現在の宅配エリアで体制を整えることができれば、配達範囲もより広げていきたいと考えています。さらにインターネットやメールでご注文いただけるような仕組みも作っていきたいと思っています。牛乳の宅配ルートで治療食や介護食を配達する仕組みは弊社にしかできない強みだと思いますので、お客さまのお役に立てるようにできることをどんどん広げて参ります。

続いて根本次長から、宅配可能な商品の中からお勧めの商品を何点か紹介していただいた。

akiyamarepo06_1106_10こちらは高齢者向けに柔らかく仕上げたレトルト食品です。歯が悪くてうまく噛めない方でも食べられるように歯茎でつぶせる程度の柔らかさになっています。あまり噛めないのに無理に食品を固いまま飲み込んでしまうと消化が悪くなり、胃もたれや腹痛の原因になるおそれがありますので、必要に応じて利用していただければと思います。調理済みのおかずが1食ずつ1人分の量でパックされていますので、1人暮らしの高齢の方にもお勧めします。今ここにお持ちしたのは3種類だけですが、実際には幾つかメーカーがありそれぞれ数十種類以上の製品がありますので、いろいろとお好みに応じて選んでいただけると思います。最近では各病院が災害時の備蓄用にこうした製品をそろえる動きもあるようです。

通常の食品をお召し上がりになれない方には、食品をペースト状にした硬さのカップ入の「やわらか食品」がお勧めです。施設や病院の食事としても採用されており、噛むことが難しい方やうまく飲み込めない方の食事として利用されています。治療食や介護食に全体的に言えることですが、近年どんどん新製品が開発されて種類も多くなり、味付けもぐんと向上しています。以前は「こういうものだから味については多少目をつぶる」というようなところもなきにしもあらずでしたが、最近は実際に食べても「おいしい」と感じられるようになっていますので、ぜひお試しいただければと思います。

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■「やわらか」商品の一例
●お菓子:やわらかおかき
●レトルト食品:うどんけんちん・おじや親子丼風・
やわらかおかず うなぎの卵とじ
●カップ入やわらか食品:ビーフシチュー・ハンバーグ・グレープゼリー

最後に、こんな商品もありますよということで「やわらかおかき」をご紹介します。硬さが普通のおかきの10分の1ということで、食べてみてください。

あっ、口に入れると溶けてなくなる感じがしますね。

はい、柔らかさと口溶けの良さが特徴のおかきになります。有名米菓子メーカーが製造元なので、お菓子としてのおいしさを保ちつつお年寄りや歯の悪い方にも安心して食べていただける商品になっています。特別養護老人ホームや病院などのおやつにも採用されています。栄養面では免疫強化や健康維持に役立つ栄養素の亜鉛が強化されています。

多種多彩なラインナップですね。
こうした商品を自宅で受け取れる宅配サービス、
ぜひ多くの方に利用していただきたいですね。

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