ウェルキャブ車愛用者インタビュー: アルファードHV(サイドリフトアップシート車/脱着電動介護式)

函館トヨペット株式会社
函館市石川町169番地35 TEL 0138-46-2111

toyopet02_01函館トヨペット㈱石川店では、店舗内に福祉車両を展示する「ウェルキャブステーション」を設け、道南地域での福祉車両の普及に努めている。
「ウェルキャブ」とは、福祉(ウェルフェア)と客室(キャビン)を合わせたトヨタの造語。同社では「すべての人に自由な移動を」との思いを込めて福祉車両をウェルキャブ車と呼んでいる。そこで今回は、実際に函館トヨペット㈱石川店でウェルキャブ車を購入されたお客さまにお願いし、使ってみての感想や同店の対応などについてお聞きした。


 ※「メディカルページ函館平成20年度改訂版」(平成20年10月31日発行)の冊子に掲載された記事です。内容は掲載時のまま表記しています。

ウェルキャブ車を購入なさった理由を教えてください。

3年前に母親が脳梗塞で倒れまして、退院まで約1年かかりました。退院後の母の楽しみを考えたときに、もともとドライブが好きだったのでぜひ退院後は連れて行ってあげたいなと思ったのがきっかけですね。それまでも体が弱くなっていたので移動に不便を感じていたということもあり、函館トヨペットさんで福祉車両を扱っているらしいと聞いていたので、来店しました。

toyopet02_02■本誌記者のインタビューに
答える宮田 宏さん(46歳)
函館市高丘町在住(写真右手前)


宮田さんは函館市のご出身。現在函館市内でお勤めで、80歳になる母親のために函館トヨペットのウェルキャブ車を購入なさったという。


購入なさった車はどんなタイプですか?

車名で言うとアルファードハイブリッドです。
ベッドから車までなるべく手がかからずに移動できることを重視したので、車のシートが車いすになって家の中まで入ってこられる脱着電動介護式サイドリフトアップというタイプにしました。家の中では基本的にこの車いすで移動して、外出のときはそのまま外に出て車いすを電動のリフトで持ち上げて車に乗り込むという形ですね。

購入時やその後の函館トヨペットのスタッフの対応はいかがでしたか?

買う前も買った後もわからないことが多かったのですが、電話するとすぐに教えていただけました。
石川店の高橋工場長もサイドリフトアップの細かい仕組みを教えてくれたり、物を多く積める座席パターンの上手なやり方などを教えてくれたりと、対応としてはとても満足しています。
実は、車いすのシートを電動のリフトで上げ下げしている最中に止まってしまったことが何度かあり、理由がわからずに戸惑ってしまいました。後でわかったのですが、たとえば周囲に荷物などの障害物があったなど危険な状況が予想されると動きが止まるようになっているんですね。こうした時も函館トヨペットさんに電話すると親切にその原因や使い方を教えてくれました。後でマニュアルをよく読むと書いてあったのですが(笑)。でもそうしたことを通して、間違った操作で万一のことが起きないように安全性にとても配慮されている車なんだということがわかりましたね。

普段はどういった用途でよくお使いですか?

母は出かけるのが好きなのでお祭りや花火などにも乗せて連れて行きましたし、この夏には札幌まで2泊3日で出かけました。高齢の母を乗せての長距離ですが、休憩を取りながら快適に移動できましたね。
このタイプの良い点は、家から車に乗り込むまでの手間が短縮されることだと思います。普通ですと、ベッドから車いすに乗せ、外で外用車いすに乗せ換え、さらに車のシートに乗り換えます。でも脱着タイプのサイドリフトアップシート車ではベッドから専用シートに乗るだけで、後はそのまま外に出て電動で車に乗り込めます。母にとっても周囲に負担を掛けずに済むので気が楽なようで、「出かけるかい?」と聞くと気軽に「いいね」と応じてくれるようになりました。

では、運転してみて車としてのご感想はいかがですか?

車の性能としては、これ以上自分として満足するものはないだろうなと思っていますね。この車で最後にしたいというくらい満足のいくものを買おうと思い、その通りになっていると思います。ウェルキャブ車だからといって何かが犠牲になっているという感じはありません。
母親を車に乗せるときにも、車内くらいは車いす感覚から開放してあげたいと思っていたので、車のシートがそのまま車いすになるこの車両はその点でも満足しています。

改善してほしい点や要望などはありますか?

脱着タイプのサイドリフトアップシート車は車のシートに車輪が付いていてそのまま車いすとして使用できるというものなので、車いすとしてはどうしても形が大きくてゴツイんですよね。目的地に着いて車から降りたときに混み合っているような所や細かい所には行きにくいなあとは思っています。たとえば母は自由市場なども好きなのですが、あそこの通路には厳しいかなあと。もしも車から降りるときには部品を外して身軽になって移動できるシートだったらもっと良いかなと思いますね。
でも、車内での移動の快適さを追求しているからゴツイのも仕方ないですよね。このシート自体は車いすとして使用するときには電動で前進後退の補助をしてくれるので、坂道でも楽に押していくことができて助かっています。

宮田さんのお話からは、介護を受ける側と介助者双方の負担が軽減され快適に移動や外出を楽しんでおられる様子が伝わってきた。ウェルキャブ車には様々な用途に応じた車種があるため、どのタイプが自分や家族の状況に適しているのかは石川店スタッフに気軽に相談していただきたい。

toyopet02_03さて今回は石川店に展示されているウェルキャブ車の中からお勧め車種としてラクティス車いす仕様車を紹介してもらった。(右写真)

これは、普段使っている車いすに乗ったまま車の後部から車内に乗り込むことができるという車両。ボタンを押すとエアサスペンションで車体の後部の車高が下がり、アルミ製のスロープを引き出せば準備完了。後は車いすを押して車内に入っていくだけ。

車いすに人が乗ったままで走行していくため、車いすを固定するフックや車いす用のシートベルトなどの安全装置も装備されている。後部ドアを開けた際の開口部と室内高はいずれも約1.2メートルあり、車いすに乗ったままで安全に乗り降りすることができる。実際に車いすに乗って乗車してみたが、圧迫感や押し込められているといった感じはなく、ゆったりとした気分で出かけられそうだ。

営業本部営業推進室の中村純雄課長は、「コンパクトなサイズで小回りが利くのに車いす搭載時でも4人乗車できます。お買い物や通院など近くのお出かけに適したタイプです」と特徴を説明している。

なおウェルキャブ車購入に当たっては、一定の条件下で自動車税・取得税・消費税などが非課税や免税になる税制上の優遇措置が受けられる場合がある。函館トヨペットでは個々のケースに対して優遇措置が受けられるのかどうか調べ、個別に回答してくれるとのことだ。