開院10年の北美原クリニック 新しい診療科に乳腺外科「乳腺センター」を開設
●北美原クリニック 岡田 晋吾 理事長
函館市石川町350番地18 TEL 0138-34-6677
開院10年を迎える北美原クリニックは、平成26年4月から新たに乳腺センターを開設しました。同センターは乳腺外科を診療科目として、乳がんの早期発見と併せて、長い治療期間のフォローにも注力しています。10年目を迎える北美原クリニックが目指すものと、内科・外科のほか人工透析内科など、これまで7つの診療科目で地域医療に貢献してきた同クリニックが、乳腺センターを新設した目的を理事長の岡田晋吾先生にお聞きしました。「メディカルページ函館平成26年度版」(平成26年6月1日発行)の冊子に掲載された記事です。※院名や役職、また内容についても取材時のまま表記しています。 |
北美原クリニックは開院時に地域の『かかりつけ医』を標榜しましたね。
■岡田晋吾 理事長 |
今もプライマリーケアとある程度の専門医療で地域に貢献する、地域に信頼される「かかりつけ医」になることを目指しています。 プライマリーケアは、風邪でもなんでも診るということ。その中で、たとえば、がんなど重症の患者さんたちを見つけて、専門医に繋ぐというのが「かかりつけ医」だと思います。 開業医もどんどん専門化しています。僕らが子どもの頃は、ほとんどは内科小児科で、そこにいけば、子どもも大人も診てくれるというのが当たり前だった。それが循環器内科とか消化器内科など専門化が進みました。 今後、総合臨床医が専門制度になり、昔の内科のように何でも診るという先生が出てきたら、「かかりつけ医」の役割を果たすのでしょうが、まだ、そういう先生がいません。 当クリニックが、これだけの診療科を標榜しているのは、複数の医師でカバーすることで、「かかりつけ医」の役割を担っていると思います。 もともと僕が消化器内科、院長の遠藤明太先生は循環器内科が専門。二人でクリニックを開業しようと思ったのは、お互いが相手をカバー出来る、プライマリーケアのいいパートナーだったからです。 患者さんも高齢化が進み複数の疾患を抱えている方が多くなりました。診療科ごとに病院を替えて診てもらうのは大変です。専門的な診療を受けたい患者さんには、大きな病院の専門医にうまく繋いで欲しいという希望もあります。当クリニックだけで完結するわけではありませんから、そうした連携機能をしっかり保っていくことが大切ですし、われわれが目指すところでもあります。
乳腺外科を新しい診療科目に加えた目的は。
女性が罹るがんの中で一番多いがのが乳がんです。残念ながら函館地区は乳がんに限らず、がんの検診率が高くない。結果として早期に見つかる人が少なくて、中には亡くなられる方もおられる。ですから早期に検診を受けてもらえれば亡くなる方が少なくなる。 しかも、乳がんに罹る女性は、30代から40代の方で、子育てなどで人生の一番大切な時期の方が多い。そういう方だけに大きな病院の外来で検診を受けるのは時間もかかるので大変。それに敷居が高いという意識も、まだあります。
これまでも地域で乳がんに取り組む専門医の方やスタッフの人たちと道南乳腺疾患研究会を組織して取り組んでは来ました。今度、早川善郎先生が研究会の代表世話人になられましたが、その早川先生が、当クリニックに来て下さることになり、大きな病院よりも敷居を低くして、朝から夜まで、お子さんを預けた間に検診に来られるとか、これからは日曜日も検診を時々やって、なるべく検診を受けやすくして、検診率を高めたい。 もし、乳がんに罹患されても、早く手術をするとか、進行した段階でも化学療法を受けてもらう。
乳がんは長期の経過を見なければならませんが、大きな病院にずっと通い続けることは、なかなか難しい面もあると思います。 乳がんだけでなく、大腸がんや胃がんでも、今は手術や必要な化学療法は大きな病院でやって、あとのフォローは、当クリニックのような診療所、町医者の方でやるという連携パスによる取り組みをしていますから、がんでも、しっかりクリニックで診られる時代になっていると思います。
北美原クリニックの診療は、どんな症状でも診てもらえるのですか。
胸が痛いという症状でも、心臓なのか、帯状疱疹なのか、それとも骨に疾患があるのかというのは、患者さんは分からない。ご自分では診療科も判断できない。当クリニックは内科も外科も診ていますから、来てもらって心臓なら遠藤先生に診てもらうし、場合によっては、他の病院に詳しい検査をしてもらう。もちろん当クリニックでは診られない疾患も、たくさんあります。たとえば整形外科はありません。しかし、整形外科の先生たちともお付き合いは深めていますし、来られた患者さんには、どの整形外科の先生に受診してもらったらいいかというアドバイスはできます。良い医師をご紹介するのも、われわれの役目です。
開院なさった10年前と比べて、大きく変化したところはありますか。
10年前は、がん告知もほとんどされていませんでしたが、今は100%告知されています。 それもあって、患者さんやご家族の方も、家に帰りたい、戻したいという人が物凄く増えています。長期入院ができなくなったこともありますが、患者さんやご家族も死ぬまで病院で点滴を続けるより、家で好きなことをしながら、最後の一瞬だけ点滴を受けるというような意識に変わりつつある。そういうお手伝いをするのも在宅医療です。
私は道南在宅ケア研究会の幹事でもありますが、仲間も増えて、地域の訪問看護ステーションもあり、在宅を希望するニーズを支える環境が函館で出来つつあります。包括ケアも必要になりますが、そのための人材が、この10年で函館に増えてきました。 在宅で診てほしいという患者さんが増えて、毎日1時間半だけで、数に限りがありますが、訪問診療しています。 今はまだ余裕があるので、訪問診療していない他の病院やクリニックのお手伝いもしています。
でも将来的には、うちに通っていらっしゃる患者さんが歩けなくなって、在宅診療に切り替えたら、「かかりつけ医」として、在宅はうちの患者さんだけで限界になるのではないかと思っています。
北美原クリニック
函館市石川町350番地18 TEL 0138-34-6677
■休診日 日曜・祝日 ■駐車場 100台(当院前)
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