古くて新しい“きびだんご” その魅力と将来展望

ぎびだんごは丸い団子のイメージだが

北海道と岡山のきびだんごとの違いです。岡山は丸い形。両方とも桃太郎の絵が使われているのですが、漢字で書くと岡山のきびだんごは吉備団子。北海道は起備団合。北海道は内地からきた方々がほとんとどで岡山や広島から入植されている方も多かった。これは私の仮説ですが、そうした方々からきびだんごなら桃太郎と広まった可能性も考えらます。

社名の天狗堂のいわれ

桃太郎がデザインされた包装紙の変遷

 最初は私の祖父が創業したカネショウ千葉商店。法人化の時にお世話になっていたメーカーであり問屋さんでもあった道産製菓さんの森山権太郎さんが、天狗のように鼻高々と誇れる商品をつくれるようにと命名してくださったと聞いています。大きな菓子メーカーの帝国、國産、道産の菓子製造メーカー3社が函館にありました。戦時下は余計なものはつくらず兵隊さん用のビスケット製造という話は聞いています。(函館市史通説編第3・4巻には函館は大正の初めから菓子製造業が盛んで戦後イカ珍味などの水産食品工業に代るまで食品工業の中心だったと記されている)

包装紙にも桃太郎を使用

一番最初は桃太郎がどこに描かれているのかというくらいのデザインでした。それがだんだん変わって、5本パックは、今風のかたちです。

昔から変化したのは量的な違いです。病院売店さんでは当時、5本入って100円で販売していました。今は4本入りで安くても売価150円くらい。いろいろな物価が上がっている中では、価格は抑えられている方だと思います。

1本売りは100均ショップや駄菓子屋さん、それに全国のセブンイレブンさん。スーパーさんは5本タイプなど、業態に合わせた商品バリェーションができました。

味や硬さの変化

昔に比べたら気持ちですが柔らかくなっています。

最初は紙の包装だけでしたから、冬場は乾燥もするし、販売先で空調の吹き出し口のそばで売られていると賞味期限内でもかちかちに硬くなりました。

昔は硬くなってもストーブの上で焼くと、いい感じに香ばしくなって食べられたんです。どこの家庭にもストーブがあったので、“硬くなったら焼いてお召し上がりください。また格別にお楽しみいただけます”と包装紙に書いていました。でも電子レンジが一般的になり、それで温めると一気に過熱されて中の水飴が沸騰してしまい食べたらやけどしたというクレームもあって、焼いてお召し上がりのコメントは削除しました。

今は気持ち柔らかめにして、二重の包装紙で、ある程度密封していますから、賞味期限内なのに硬くて食べられないというクレームは、ほぼありません。味も昔に比べると若干甘さは抑え気味にしています。【次ページへ】