メモアプリケーション『Notion（ノーション）』導入で情報をタイムリーに共有化

㈱メディカルシャトー函館：函館市美原2丁目50-2 TEL.0138-34-3231 https://www.shirayuri.gr.jp/

札幌を始め函館、北斗の両市で『ライフプレステージ白ゆり』ブランドの高齢者介護複合施設を運営する白ゆりグループ（㈱メディカルシャトー代表取締役佐藤文彦氏）。同グループでは、介護システムの『ケアカルテ』や利用者の睡眠状態を自動測定する『眠りＳＣＡＮ』などを活用している。さらにこの4月からは新たにメモアプリケーション『Ｎｏｔｉｏｎ（ノーション）』を導入、ＤＸ（デジタルトランスフォーメーション：デジタルテクノロジーを使用して各種の要求を満たすプロセス）を活用し各事業所間での情報共有を進めている。㈱メディカルシャトー本部企画管理室DXS（DX FOR SHIRAYURI）事務局の佐藤邦広局長に『Ｎｏｔｉｏｎ』について導入のいきさつと目的を聞いた。 「メディカルページ函館・道南版 2022年夏号」(令和5年7月20日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

白ゆりグループでは、新たにメモアプリケーションを導入したそうですね。

　今年4月から導入したのが、Notion（ノーション）というメモアプリケーション（パソコンやスマートフォンなどのデバイスで使えるノート・メモ）サービスです。アメリカで開発されたものですが、昨年11月から日本語版対応も始まりました。様々なノートアプリがありますが、他の企業でも使い勝手がいいと評価が高いこともあって、Notionを選定しました

Notionを導入したことにより、スタッフにどのようなメリットがあるのでしょうか？

　例えば白ゆりのデイサービスは、函館と北斗を合わせて4事業所あります。各事業にて事業所マニュアルを作成していますが、同じサービス形態だからこそ統一感を持ちたいことがあります。しかし、いくらマニュアルを作成しても事業所が離れていることによって、事業所ごとのアップデート時期が異なってしまうため、ばらつきやすくなっていました。また、それぞれの事業所の担当者がそれぞれのマニュアルを作成・管理をしていくこと自体、評価もしづらい状況でした。それにスタッフの業務工数が多くかかってしまい、時間効率も悪くなってしまっていたことがわかり、その辺はNotionを導入することで解消されると思います。

これまで書類などの保存はどうしていたのですか。

　いわゆるExcel（エクセル）やWord（ワード）で作成し、それを印刷したものをファイリングして運用するというやり方でした。しかし、これでは、スタッフも目を通す機会も少ないですし、更新するにも手間がかかってしまいます。クラウド環境が整っているノートアプリを利用すれば、更新内容は一斉発信されて、それをスタッフがデバイスでみる。当然、作業も時間も効率化できます。

更新をタイムリーに見て欲しいのもNotion導入の狙いだったのですね。

　体からの通知が非常に頻繁にあり、感染者に対する考え方や濃厚接触期間など目まぐるしく変わっていました。その都度、事業所ごとにマニュアルなどの改変をする作業は大変だったというのも導入のきっかけのひとつでした。
白ゆりグループは複数事業所を運営していることから、情報を共有したり、連携するということは日頃からとても大切にしています。特にコロナ禍においていかにタイムリーに且つスタッフになるべく負荷を掛けずに実施していくことが大事なのかより理解することができましたし、単純に印刷してファイリングするという手間も省くことができたと思います。

利用者さんや入居している方へのメリットはどのようなものがありますか。

　各施設にはさまざまな職種のスタッフがいますが、これまでは特定の職種しか情報連携が取れない場面もありました。Notionはタップした画面で、受付のスタッフから実際のケアを担当している介護スタッフまで同じ情報を共有できます。直接的ケアな意味でのメリットはないかもしれませんが、ご利用者の方やご家族にはスタッフみんなが「私のことを知ってくれている」という意識を持っていただけていると思います。

Notionのシステムは、白ゆりグループ全事業所に導入されているのですか。

　白ゆりグループでは事業所会議やフロア会議、また委員会活動などいろいろな会議があります。4月からの展開で、運用したばかりですが、そうした会議の議事録をNotion上で書いています。たとえば函館の美原の事業所で行われた会議の議事録をほかの事業所で見ることも可能です。「他の事業所ではどんな議題で話し合われているのか」「自分達にはないアイデアがあるね」「こういう活動は良いね」など事業所内だけでは考えられない発想が生まれてきます。
　また、これまで議事録の書式はWord形式に入力し、事業所間の共有フォルダの形で入れていました。しかし、過去の議事録を見るには一回一回開くか、印刷してファイリングしたものを見なければなりませんでした。
　Notionは視認性もよくスクロールしながら過去の情報を見ることができます。他の事業所の議事録の書き方を参考にしたり、話し合いを参考にしたり、共有することで新たな認識を生んでいるようです。

今後予定しているICTや新たなサービスがありましたら教えてください。

　弊社代表はよく「ExcelやWordの属人化をやめよう」と話をしています。パソコンそれぞれにおいてフォルダの安全性も担保するにも大変です。セキュリティ面を考えてもクラウド化の活用は今後さらに必要になるかと思います。
　書類を作る時間より、できる限りご利用者やご入居者と関わる時間をつくる、さらに管理職者はスタッフの育成に時間を充てる。そこがDX化による一つめのゴールかと思います。個人的には遅くても２、3年後にはある程度のDX化の基盤を完成させて形にしたいという思いはあります。

（取材日:2023年5月23日ZOOMで取材）

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