特集15 新クリニックでリウマチや生活習慣病の充実した治療を
●おぐらクリニック 小椋 庸隆 院長
函館市亀田本町1番21号 TEL 0138-62-6100
2007年11月1日に開院したおぐらクリニックは、市立函館病院でリウマチの専門医として多くの患者さんの診察にあたってきた小椋庸隆先生が、きめ細やかな内科・リウマチ科の診療を目指し開院したクリニックです。 リウマチは今や患者数も増え約80万人と言われており、過去には治りづらく、身体に障害をもたらす難病の1つでしたが、ここにきて研究・治療も進歩しています。専門性を特化しながら、患者さんのライフスタイルや満足度をもしっかり視野に入れて治療にあたる新クリニックをご紹介します。 「メディカルページ平成19年度版」(平成19年11月20日発行)の冊子に掲載された記事です。※院名や役職、また内容についても取材時のまま表記しています。 |
リウマチは、正式には関節リウマチといい、手や手首、足などの関節が炎症を起こし、痛く腫れ上がり、進行すると骨が破壊され、関節の変形が進む病気です。つらい痛みが伴い、立ち上がることが困難になったり、物を持つことができなくなったりなど、日常生活に大きな支障をきたし、身体の重大な障害となり社会生活ができなくなってしまうこともある慢性的な疾病です。
原因は何でしょう?患者さんは年配者が多いのでしょうか?
研究が進み、実は人間自身の体内にある免疫システムの乱れが原因ということが分かってきました。菌が体内に侵入してきた時に対抗し体を守るのが免疫です。しかし、この作用が自分の体に向かって機能してしまう、つまり外的なものに対する機能が、自身の内的に働いてしまうことによるものなのです。高齢者に多い疾病と思われがちですが、20代、30代でも発症します。リウマチも含め自己免疫疾患は女性に多い傾向にあります。
早期発見でその後の病状が変わってくるとのことですが?
発症2年以内に治療を始めると予後が違ってくるというのも分かってきました。ですから早期に発見することが重要です。関節リウマチの特徴は、左右対称に症状が出現する傾向があるということ。手首や指の関節、特に第二関節がいたい、腫れているとなったら要注意です。また、朝にこわばりがあってタオルを絞れないなどという症状があったら診察を受けてみてください。
新しいクリニックでの診療は?
■落ち着いた雰囲気の受付 |
日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会専門医・指導医として、糖尿病などの生活習慣病の診療も含めリウマチ・膠原病の専門医として、きめ細やかな診療を目指しています。市立函館病院のリウマチ科でも多くの患者さんを診察してきました。確かに、大きな病院でできることもたくさんありますが、もっと細やかに周りを気にせず、患者さんと向き合いたいと考えていました。大手術をして治療するような疾患ではないので、コミュニケーションが大切と考えています。話しやすい、相談しやすいが何よりですし、治療は時間を要しますので、長いおつきあいとなります。患者さんとの信頼関係は重要なんです。
クリニックは建物や雰囲気は病院でありながら、少し病院らしくないかもしれません。スタッフと共に、くつろぐことができて気軽で安心感のある雰囲気作りを心がけています。院内は患者さんの負担を軽減するために土足にしています。足や手に症状が出ていると、靴を脱いでスリッパに履き替えるという一見何気ないことでも、大変な負担となります。バリアフリーで移動しやすくなっています。診療機器では、骨密度測定装置を導入し、骨粗鬆症にも対応します。
先生の目指す医療を教えてください。
医学は今、EBM(Evidence Based Medicine)といって明確な根拠に基づいた医療という流れがあります。だだしこちらがいくら良い治療であると考えていても、患者さんの生活、ライフスタイルに合っていなければ続けることはできない、それは患者さんにとって良い治療とは言えないと思います。患者さんの声に耳を傾けることを大切に、そして地域に貢献していきたいと考えます。
学生時代、免疫という未知なる分野に大いに興味を抱き免疫疾患の専門家となった小椋先生。印象的なのは、こちらが話しをしやすい空気を作ってくださったということでした。「今までたくさんの患者さんに鍛えていただきました。コミュニケーションが大切だと教えていただきましたね」とおだやかな笑顔でお話しされていました。何気ない患者さんと交わす言葉の中に治療へのアプローチが存在するという医療の大切な原点を見る思いがしました。