第26回 手軽な鍼治療―パイオネックス

toyo_doc「東洋医学的 健康針断」では、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>

コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)


皆さん、こんにちは!日に日に寒くなり、いよいよ冬も本番となってきましたね。
今回は手軽に自分自身でできる鍼灸治療についてお話します

鍼治療に使われる鍼の種類はたくさんありますが、一般的には豪鍼という少し長めの鍼を治療院などでは使います。しかしこれは鍼灸師以外の人が自分自身で打つということはできません。

toyo26_01「肩が凝って苦しい」「腰が痛い」「胃腸の調子が悪い」などの症状があっても、なかなか医院や鍼灸院に行く時間やタイミングがないという時に使えるのが「パイオネック」という皮内鍼であります。これは丸いテープに樹脂でしっかりと鍼が固定されていて、画鋲のように皮膚に貼るだけで鍼が打てるというものであります。

鍼の長さも鍼先のない突起だけのものから1ミリ以上の鍼先ものまで数種類ありますが、皆さんが使うなら鍼先のないものか1ミリ以下のものが良いでしょう。

ちなみにソチオリンピックで羽生結弦選手が首に付けていたものがまさしくこれです。
競技後のコメントによれば、鍼の効果により呼吸が楽になり、あのすばらしい演技が可能となってメダルをゲットできたということでありました。羽生選手はトレーナーとして、専属の鍼灸師の先生に帯同してもらっていたのですが、彼の体のケアには鍼灸治療が欠かせなかったということですね。

●実際の使い方

貼り方は右の写真のようにします。

セイリン株式会社 パイオネックスの貼り方
toyo26_02
toyo26_03
toyo26_04
toyo26_05

貼ること自体には何ら難しいことはありませんが、どこにつけるかが一番肝心なところです。

鍼灸師の先生は患者さんの訴えに応じて、東洋医学的な考察や西洋医学的な根拠に基づき、さまざまなツボに鍼を打っていきます。皆さんは同じようにはなかなかいきませんので、最も好ましいやり方は、最初に鍼灸院を受診して治療をしてもらい、その時に自分でパイオネックスをつける位置を教えてもらい、同じポイントに自分で貼付するのがベストだと思います。

鍼は基本的には鍼灸師か医師にしか販売いたしませんので、その時、その鍼灸院から購入するのが良いでしょう。

手軽とはいえ注意点はいくつかありますので、受診時にしっかりと説明を受けておけば心配はいりません。あまり難しいことは言わず、「痛いところに貼る」「押して気持ちの良いところに貼る」だけでも効果は期待できます。

「首や肩のコリ」、「腰痛」、「お腹の痛み」などの症状は、痛いところや辛いところに自然と手が行きますよね。「さすりたく」なったり、「押したく」なったり、「揉みたく」なるようなポイントは、ツボとしても使えると思って良いでしょう。

簡単にそのようなポイントにパイオネックスを貼るだけでも十分楽になるでしょう。しかしただやみくもにたくさん貼るだけで良いというものではなく、パイオネックスによる刺激を集中させるためにも、全部で6本程度にまで絞って貼ったほうが、効果が上がるはずであります。

セイリン株式会社 パイオネックスの貼り方

パイオネックスは貼付したままお風呂に入っても問題ありませんし、付けたまま運動をしても大丈夫です。むしろ運動前のコンディショニングとして利用価値があり、予防的につりそうな筋肉や痛めたことのある部分にあらかじめ貼付することにより、症状の悪化や筋痙攣を予防することが可能です。実際に鍼を使用しているアスリートのほとんどがパフォーマンス時に付けています。

人の体は刺激に対して時間の経過とともに慣れてしまします。
パイオネックスの刺激も数日もすると馴染んでしまい効果は薄れて来ますので、衛生面からも安全面からも2~3日したら剥がして処分しましょう。捨てる時は鍼を指に刺さないようにテープの部分で包んで捨てて下さい。厳密に言うと缶などに使用済みの鍼をためておき、まとめて鍼灸院に持っていって処分してもらうのが好ましいやり方です。


このように手軽で安価で効果的な鍼の有効方法がありますので、是非、体調の管理やスポーツのコンディショニングに使ってみて下さい。

お家に常備しているといざという時に便利ですよ!

詳しいことはお近くの鍼灸院にお尋ねください。