内科・小児科に加えて歯科を新設 歯科顕微鏡やCTを導入、予防歯科を重視

医療法人尚仁会 竹田病院  歯科医師  竹 田 仁 一  先生
函館市元町29番21号 TEL.0138-26-5813(歯科直通)

竹田病院が歯科を新設。これまでの内科と小児科に加えて、10月1日から歯科の診療を開始した。院内に新設された歯科には、完全個室の3室の診療室を設け、歯科用マイクロスコープ(顕微鏡)や口外バキュームなどの診療器具のほか、検査機器でも最新の歯科用CTを導入。担当する竹田仁一先生は、患者さんへの説明を大切に予防歯科を重視。できるだけ歯を残す歯科診療を目指している。


「メディカルページ函館・道南版2018年冬号」(平成30年11月1日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

■竹田仁一先生

歯科は外来だけでなく、入院患者さんの診療もするのですね。

僕は訪問歯科診療の経験もありますが、病院内の歯科ということで、入院患者さんの口腔ケア等も行います。入院されている患者さんには、院内の歯科という安心感ももっていただけるのではないかと思っています。
訪問歯科診療をしていた時にも嚥下が辛い、飲み込みが恐いという患者さんがいらっしゃった経験があります。入院患者さんはご高齢の方が多いので、飲み込みに不安のない患者さんには、水の出る器具で治療しますが、嚥下に支障のある患者さんは、基本的に治療器具は水の出るものは使用しない方針です。歯を削る時も水の出ないものを使います。

歯科のなかでもご専門は?

大学での専門は保存修復学です。主体になる疾患は齲歯(うし=むし歯)で、小さな詰め物や白いプラスチックの樹脂のようなもの、金属、最近は保険外ですが、白い固い材料いわゆるセラミックなどで埋めて、顎口腔の機能を回復させる分野です。
矯正はまだ考えていませんが、インプラントは検討しています。一般的な歯科診療になりますが、病院は内科の他に小児科もあり、お子さんの患者さんも来られます。ですから歯科もお子さんの患者さんを受け入れて、特に難しいケースは、専門の小児歯科をご紹介したいと思っています。

導入された設備について教えてください。

■歯科顕微鏡や口外バキュームを設備した歯科診療台

歯科用マイクロスコープ(歯科顕微鏡)を導入しました。これを使うことで歯の微細部まで見ることができ、より精度の高い治療が可能になります。
メインになるのは根の治療です。根には神経と血管が通っている細い管のようなものがあり、かなり小さくて見えにくいので掃除するときなどに顕微鏡を使います。また、歯の土台を削るときや、最近では見えにくいポケットの中の歯石を取るようなときに衛生士さんが使っている歯科もあります。
それと口外バキュームも設置しました。通常のバキュームは、患者さんの口の中にいれますが、これは患者さんの口の前に置き、水を出しながら治療しているときに削った飛沫や水を全部吸い取ります。どんな患者さんでも感染源の可能性はあると想定して治療するのが基本です。ですから汚れたものが飛び散らない口外バキュームを使用しています。
検査機器では、歯科用CTを導入しました。レントゲンの撮影の機器ですが、3次元エックス線断層撮影を行います。医科のCTと同様に断層図により患部を立体的にみることができるので、細かな検査が可能です。

診療で大事にしていることは?

これまでもそうでしたが、患者さんへの説明を大切にしています。治療にはこういう選択肢がありますと提案した上で、患者さんが一番望まれる治療をする。僕自身はこの治療法がよいと思っても、患者さんには、こうして欲しいという思いもあります。そういう思いを取り入れて治療をしたい。
そのためには患者さんとの対話が重要になります。基本的には診療前に説明、治療後にその内容をお話しします。3室ある診療室は、すべて個室ですから、プライバシーも守った上でお話できると思います。

歯周病と生活習慣病の関連が指摘されています。

歯周病は糖尿病など生活習慣病にも関係してきます。確かにお口のケアを完璧にすれば、糖尿病にならないというわけではありません。しかし、因果関係もあって、歯をブラッシングすることで糖尿病が改善したというデータもあります。
そのためにも検査が大事になります。そして、ここが悪いので、こういうふうにしてくださいという指導をしたい。
でも、そんなことはやりたくないという方が結構いらっしゃいます。それではどんなに歯科医が頑張っても歯を残すことは難しくなってしまいます。ですから、患者さんが心を閉ざさないように、出来るだけ定期的にアナウンスしたいと思っています。

目指している歯科医療は?

患者さんの歯を残していきたい。歯を残すということが大切です。ご高齢になると歯はなくなるというのが当たり前というお話もお聞きします。昔は悪くなった歯は、すぐ抜くというイメージがあったと思いますが、今は歯を残しておくのが大前提です。
そのためには、やはり口腔ケア、歯のお掃除、ブラッシングが大事です。ただ、歯医者に1週間に1度通っても、残りの6日間は、まったくケアしていないのであれば、歯科医師がどんなに頑張っても、結局だめにしてしまいます。モチベーションも含めて、患者さんと協力しながら、歯を残す方法を進めたいと思っています。
最近の歯科は、口腔ケア、予防歯科を進めています。予防を進めることで、歯を抜くリスクも減って来ます。これは患者さんにとっても歯科医師にとってもいいことです。僕自身も、予防歯科的な形で患者さんに定期的に通っていただける歯科医を目指しています。

(取材日:平成30年9月27日)


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