第2回生活の質(QOL)を維持するための 医療サービスー「訪問マッサージ」
「東洋医学的 健康針断」では、年4回、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>
コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)
皆さん、明けまして、おめでとうございます!
今年の函館の元旦は、穏やかな良い日となりましたね。 これからの一年、皆さんが心身ともに穏やかに過ごせるように願っております。
昨年末の、メディカルページ特集の専門医紹介で「医療保険による訪問マッサージを始め地域医療に貢献する益井東洋治療院」ということで、紹介していただきました。 函館市内の名だたる医療機関の中かから、私どものような鍼灸・整体治療院をご紹介いただき、本当にうれしく思っております。 医療機関の中では、あまり日の当たらない分野である「鍼灸治療―東洋医学」にも、薄日が差してきているのかなと感じます。 今後も治療努力を積み重ね、広く皆さんに東洋医学の良さを知っていただけるように、頑張っていかなくてはいけないと、気持ちを新たにいたしました。
今回の「健康針断」はその特集で少し触れていただいた「訪問マッサージ」について補足して、広く皆さんの「健康的な生活」のお役に立てれたらなと思っています。
◎まず始めに、医療保険適応の「訪問マッサージ」とはどのような治療なのでしょうか?
鍼灸・マッサージの国家資格を持った先生が、患者さんの自宅や入所先のホームにまで伺い、患者さんの体の状態や要望に即した治療をいたします。 体の痛みを軽減させたり、麻痺・緊張(コリ)や関節の硬さを和らげるような治療を主としておこなうのです。 痛みに対しては「鍼灸治療」、麻痺・緊張・拘縮に対しては「マッサージ」と、より効果が望め、患者さんに苦痛がない治療方法を選択しながら治療を進めていきます。 また「鍼灸治療」といっても、鍼を刺すだけが鍼灸ではなく、皮膚をなでさするだけの手技もありますので、患者さんへの負担はほとんどないのですよ。 むしろ眠ってしまいそうなほど気持ちが良いことが多いでしょうね。
◎どのような方が治療を受けられるのか?
- 加齢や病気、怪我などで、筋力が低下していたり、関節が硬く動かしにくくなってきているような方。(パーキンソン病、リウマチ、頚椎症など)
- 脳血管疾患(脳梗塞や脳溢血)などの後遺症による身体の麻痺があり、体の動きに不安がある方。
- 医療機関でのリハビリをより効果的に(マッサージをすることにより関節の可動が広がったり、リハビリでの疲労が回復しやすい)受けたい方、また、訪問リハビリとは違ったアプローチのリハビリを自宅で受けたいと思う方。
- 腰や膝などどこかに痛みがあり、これを和らげたいと思っているが、歩行が困難で通院できない方。
色々な原因で寝たきりやそれに近いような状態の方。 - 医療上、マッサージなどの治療が必要であると認められる方。
上記に当てはまるような方が、医療保険による治療が受けられるのです。
手続きとしては、最初にかかりつけの医師や施設担当の医師に、「マッサージや鍼灸治療をしても良いですよ」といった趣旨の「同意書」という書類に印を押していただきます。同意書は、訪問マッサージを提供している治療院においてあります。 同意書をいただいた時点で、医療保険による治療を受けることができます。 また医療保険によるものですから、介護保険サービスを併用して受けることが可能なのです。
◎自宅以外でも治療を受けられるのかな?
有料老人ホームやケアハウス(介護利用型軽費老人ホーム)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、短期入所生活介護(福祉ショートステイ)を利用の方は、施設に訪問して治療を行うことが可能です。
「痛みを感じ医療機関に通院したいけど、体が不自由で頻繁には通えない」「もっとリハビリをしたいけど、体がつらい」「筋肉・関節が硬くなってしまい、リハビリがつらく、なかなか進まない」「日常生活での動きが減ってきて、日に日に体の動きが悪くなってきている」
このような声を多く聞きます。。。実際の臨床では、このように医療と介護の間で困っている患者さんは大勢いるように感じます・・・
「訪問マッサージ」という医療サービスが、ここらあたりの隙間を埋めて、患者さんが寝たきりになり、生活の質が落ちるのを少しでも食い止められたらなぁと考えています。 このような医療サービスがあるということだけでも知っておくことで、いざ必要な時の選択肢に幅が出ます。 高い生活の質をもって、人生を楽しみたいものですね!