第3回 捻挫の応急処置法「RICE」

toyo_doc「東洋医学的 健康針断」では、年4回、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>

コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)


今年は「春うらら」といった陽気には程遠い日が続き、せっかく顔を出したチューリップの芽も、大きくなれないで、かわいそうですね。
早くぽかぽか天気になって、身軽なウェアで、外をランニングしたいです。 しかしそんな異常気象にかかわらず、暦の上では春の行事が目白押しで、ゴールデンウイーク・お花見・運動会などなど、外での活動が増えてきますよね。 ゴルフ場がオープンし、普段は体を何も動かしていなかったお父さん達も体を使うようになりますし、子供たちも自転車や公園で遊ぶ機会が増えてきます。 私個人的にもマラソンシーズン開幕で、伊達ハーフマラソン・洞爺湖フルマラソン・北海道マラソンなど、大会予定がびっしりです。
外で体を積極的に動かすようになる時期、気をつけなければいけないのは、なまった体を急に動かしたり、張り切りすぎることによって起きてしまう「スポーツ障害」です。 軽い筋肉痛から、骨折に至るようなものまで色々ありますが、今回はケガの約15%を占めています「捻挫」の応急処置方法についてお話したいと思います。


まずは「捻挫」とは?

関節に外から強い力が加わる事により、関節を支えている靭帯に損傷が起きるものを言います。靭帯とは、体の骨と骨を繋ぎとめる関節内にある組織で、関節が安定して動くようにする役割を持っています。ここが傷ついたり、切れたりする状態が捻挫で、傷ついた関節は痛みが出て動かすことが出来なくなります。
そこで基本的な応急処置方法「RICE」を憶えておくと、日常で大変に役に立ちますよ。

  1. REST 患部を安静にする
    強く関節に力が加わると、靭帯の付着部が骨折したり、関節が脱臼している可能性もありますので、専門医の診察を受けるまで安静にします。受傷部をテーピングで固定して、運動を続けようとする人がいますが、治癒までの期間を延ばすばかりか、血行障害をおこし、悪化させることもありますので、自己判断するのは危険であります。痛みや腫れがきつい急性期には、絶対に温めたり、電気治療などの、その場しのぎの鎮痛はしないほうが無難です。
  2. ICING 冷却
    氷嚢を作って、患部に当て、包帯などで固定して、よく冷やします。この時、氷嚢はタオルなどでくるまないで、直接患部に当ててください。氷嚢はビニール袋に、氷と水を入れて作る簡易なもので充分使用できます。また、蓄冷材などは温度が低すぎて、患部の冷却には適しません。冷却の時間は、おおよそ氷が溶けるくらい、約20分を目安にしたら良いでしょう。
  3. COMPRESSION 圧迫
    患部の不安定な関節に、包帯などで適度の圧をかけて安定させます。
  4. ELEVATION 挙上
    患部を自分の心臓の高さよりも高めの位置に挙上させます。

RICEによって患部の出血や腫れを最小限にとどめ、治癒を少しでも早めることが可能となります。
捻挫をこじらせてしまうと、関節の動きが悪くなったり、靭帯の力が落ちてしまったりして、同じ部分を繰り返し捻挫してしまう再発の原因ともなってしまいます。 また、かばい歩きなどのキネマティックチェーン(運動学的連鎖)によって、他部位へ悪影響を及ぼし、患部から遠位の部分にまで痛みを発症させてしまうこともありますので、注意が必要です。
鍼灸治療は、患部の軟部組織に直接アプローチできる唯一の治療法で、整形外科での治療と並行して行えますので、患部の回復、リハビリの促進には、大変に効果的な治療方法なんですよ! 応急処置をしっかりして、ケガをする前の状態にまで回復するように、しっかりと治療・リハビリをすることを心掛けましょう。

怪我しないようにスポーツを楽しんでください!