第21回 「子供の腰痛の注意点」

toyo_doc「東洋医学的 健康針断」では、年4回、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>

コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)


皆さん、こんにちは!
今年の夏は異常に暑く、長かったですね。
外も暑いので、家にこもりエアコンのある部屋でTVを見る機会が比較的多かったのですが、画面に映る最近の子供たちのスタイルの良さには、改めて驚いてしまいました。男の子も女の子も顔が小さく腰高で手足が長く、私とは別人種と思われるような子ばかり!
その時、うちの治療院にいらしている子供たちを思い起こしたのですが、やはり同じような体形の子が多いなと感じました。
この20年くらいで随分と日本人の体形が変わってきている感じがします。
それと同時に腰痛を訴える患者さんの低年齢化も進んでいる印象があります。(きっちりとした統計を出さずにすみません)
そこで今回は「子供の腰痛の注意点」と言う事でお話ししたいと思います。


子供(15歳以下)の腰痛は大人の様に加齢による骨の老化や筋力の低下によるものではないので、大人ほど発症する頻度は高くありません。
しかし最近の生活習慣や食生活の変化に伴って、子供の骨格体形も変化し、腰痛症も増加傾向にあると思われます。
子供は「腰が痛い」といった表現はあまりしないのですが、「腰が疲れた」などと症状を訴えるときには、どこかにはっきりとした原因があることが多いので、早目に専門医を受診して適切な治療を受けてください。


問題は医療機関において検査をしても特に異常が無いのに、症状はあるといった場合です。
このような場合、お母さんが子供の「動作」や「姿勢」を次の点に注意して、よく観察してみてください。

①歩くときに体が左右に揺れる
②身体を前屈させると背中や腰の高さに左右差が出来る(どちらかが高い)
③いつも同じ側で横座りをしていたり、背中を丸くして猫背気味に座る
④まっすぐに立った時、顔の中心と腰の中心がずれている
⑤肩の高さが左右で大きく違う

①~⑤のうちでいくつかの症状が見られる時は、背骨から骨盤の重心軸が歪み、体のバランスが崩れて腰痛を発症させている可能性があります。
このような状態は、レントゲンやその他の検査では見つけにくく、医学的には病名がつかないものなのです。
保護者の皆さん、お子さんの体つきを良く見てあげてください。
「急激に身長が伸びた」、「好き嫌いが激しく甘いものを多く食べる」、「体を動かすことが少なくゲームなどでばかり遊ぶ」、「習慣的に遅寝・遅起きだ」、「あまり歩きたがらない」
お子さんが、これらの中のいくつかで当てはまるようでしたら要注意です。
この様な習慣が引き金となり、体を支える筋力や骨格自体が弱くなって、重力や外的な力に耐えきれずに体の軸が歪んでくると考えられます。

①~⑤のような状態を見つけたら、早めの治療をお勧めいたします。
成長期のうちに治しておかなければ、歪んだ状態で成長が止ってしまい、骨格やそれに付随する筋肉の形が決まってしまい治らなくなりますよ。
それにより、大人になっても継続して腰痛を発症し易い身体になってしまうのです。
体(骨格・筋)のバランスを整えることにより治療・改善はできますが、重要なことは誘因を取り除くということです。
患者さん本人が努力しなければ改善できないので、なかなか難しいことが多いですが、両親や周りの人は、子供たちの生活習慣や食生活の軌道修正に、出来るだけ協力してあげてください。


原因がはっきりしない腰痛は要注意です。
子供たちの体を良く観てあげて下さい!
体に歪みの無い、健康な子供に育てましょう。