第8回 メタボ検診
「東洋医学的 健康針断」では、年4回、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>
コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)
今回は東洋医学とは少し離れて、現代社会が抱える医療の問題点の中から「メタボ検診」について少し調べてみたのですが、こんなことでいいのでしょうか?といった印象を抱きました。
ある小児科医師のブログにあった、医師会経由で届いたという情報から抜粋引用してお話ししたいと思います。
まず、この「メタボ検診」とは何ぞやといいますと、「特定健康検診・特定保健指導」のことを言いまして、分かり易く考えますと、おおむね現在の健康診断に腹囲とBMIの測定を加えたものであるようです。
ちなみに男性では、ウエスト85㎝以上、または85㎝未満でもBMIが25以上の人が、「メタボまたはその予備軍」ですよ、といったお墨付きをもらってしまいます。
このお墨付きを頂いてしまったら、特定保健指導を受けなくてはいけなくなります。
厚生労働省が考えるメタボ検診の趣旨を簡単に上げますと、
- 40~74歳までの被保険者・被扶養者に健診と保健指導をすることを義務付ける。
- メタボリックシンドロームの概念を導入し「予防」への理解の促進を図る。
- 医療費適正化計画(5年計画)における医療費抑制のための中長期計画の要とする。
- 成果を基に平成25年度からの後期高齢者医療支援金の加算・減算をするとし、都道府県別の診療報酬の特例設定(1点を10円から9円にしても良いと言うこと)を認める。
ということなのですが、これだけ読むと素晴らしい政策のように感じますが、問題は最後の4番目にある「成果を基に~後期高齢者医療支援金の加算・減額」「診療報酬の特例設定を認める」のところであります。
これはつまり「近い将来的な医療費削減のため、メタボ対策を行い、成果が上がらなければ、後期高齢者医療支援金を減算し、診療報酬を一律1割カットしますよ」ということなのであります。
どうなるかといいますと、このメタボ検診に引っかかった国民が厚労省の提唱する対策を熱心にやらず、成果も上がらなければ、後期高齢者への支援金が削減され、診療報酬も1割カットになるのですから、医療費を減らしたい厚労省・各都道府県にしたら万々歳です。
損をするのは、医師と生活習慣病になる患者ですが、患者にしたら診療報酬が一割カットになるので、自己負担分の支払いが、安くなりますので、得した感はあるでしょう。医療サイドが生活習慣を改善する実践的な指導をしても、患者さん本人のやる気と自覚がなければ、絶対に成果なんかあがるわけもありませんよね。
現在、診療報酬がどんどん引き下げられ、また、地方の病院には医師が不足している状態で、大きな病院は、本当に大変な経営難に迫られていると思います。そのあおりを食うのは、結局は、いざという時の患者さんなのですよね。
生活習慣病の予防は、絶対に必要で大切なことであるのは間違いありません。
しかしその方法が、最後のところでどうもお役所の、机の上での空論のような気がしてなりません。
臨床の現場・患者さんは無視され、数字を追う考えだけが進んでしまっているのではないでしょうかね・・・。
最近の厚生労働省は、滅茶苦茶ですな。
本当は国民一人ひとりが自覚を持って、自分の健康を考え、予防的な生活を送ることが一番望ましいのですがね。
予防医学といわれる「東洋医学」に携わっている私からすると、病気になる前段階の「未病」から治療をする、鍼灸・マッサージ治療というのは、これからの時代のニーズには、マッチしている医療であろうと思います。
皆さん、あまり胴囲やBMIの数字だけに踊らされず、じっくりと自分の生活環境を考えてみたらいかがでしょうか?
自分や家族の生活習慣・生活のリズムを見直していくだけで、世の中の色々な事が変わってくると思います。一つの手段として「マラソン」を始めるのもいいと思いますよ(笑)
これからも、皆さんの健康に関して、できる範囲でお手伝いさせていただきます。