脱毛の悩みをアシストするウィッグの選び方

美容室パサージュ代表 久末 智光 氏
美容室パサージュ 函館市石川町350番地21
アピアランスサロン 函館市田家町12番16号 TEL 0138-46-8023

医療用ウィッグや補整下着で、抗がん治療などで生じた外見の変化を応援している(株)Passage。石川町の美容室パサージュと田家町のアピアランスサロンで治療中の方の生き生きとした生活を応援しています。でも、見た目、特に髪の悩みは抗がん治療の場合だけではありません。そこで今回は美容室パサージュ代表の久末智光先生に脱毛症でお悩みの方へウィッグの選び方のアドバイスをお願いしました。 「メディカルページ函館・道南地区平成28年度版」に掲載された記事です。内容は掲載時のまま表記しています。

脱毛症にもいろいろなケースがありますね。

■久末智光代表

脱毛症は、精神的な問題が起因している場合もあるようです。ウィッグを使うことで今まで通り仕事に行けたり、外出できたりと、気にせず生活できます。そういう安心感があれば、脱毛にもいい影響が出ると思うのです。ウィッグにはフルウィッグと部分ウィッグの2タイプがあります。その方の症状によって、ウィッグを選んで、脱毛部分が見えないようにカバーして補うというのが基本です。部分ウィッグの場合は、前頭部、頭頂部、後頭部に脱毛が見られる方にお薦めしています。フルウィッグの場合は、頭部全体が脱毛してしまった方や側頭部、襟足部分に脱毛が見られる方にお薦めしています。当店のウィッグは、医療用として作られていますから、人工皮膚など自然に見えるように作っています。
これまで脱毛症でウィッグを購入された方々には、男性、女性、学生さんから主婦の方まで、様々な症状の方がいらっしゃいました。例えば、小さな円形脱毛ができた方は、部分ウィッグでカバーしました。脱毛の仕方は、様々です。円形脱毛がいくつかでき、それがやがて全体に広がって大きな円形になったりします。急激に抜け毛が始まり数ヵ月で全くなくなってしまった方もいらっしゃいます。何年もウィッグを使っていらっしゃった方が、買い替えのために購入されて行くこともありました。脱毛症は、治療が長引く場合がありますから、ウィッグを上手に使いながら治していって欲しいです。

自毛と違和感のあるウィッグもありますね。

■見た目の自然な人毛100％のフルウィッグ ■自然な人工皮膚がついている人毛100％の部分ウィッグ

見た目の違和感は、ウィッグの材質に関わってきます。ウィッグには人毛100%のものと人毛と化繊をミックスしたもの、あるいは化繊だけのものがあります。ミックスタイプのものは、手触り感などが本来の髪とは違います。でも、まれにこういう毛質の方もいらっしゃるので、そういう方には合わせやすいウィッグです。
ただ、若い方やさらっとした毛質のかたは、化繊の入ったミックスタイプは、どうしても髪質が気になるので、人毛100%のウィッグを使います。手触り感も変わらず、色合わせの調整をすれば、ツヤなどもほとんど違和感はありません。毎日使うものですから、可能な限り質感のいい仕上がりを目指しています。化繊は表面が平らなので光の反射も大きいんです。化繊100%だと、どうしても反射してしまいます。人毛はウロコ状のキューティクルが表面を覆っているので自然に光ります。結局は、その方ご自身の髪質に合わせてあげるということです。

脱毛症の方のウィッグを始められたきっかけは？

もともと抗がん治療を受けられている方に医療用フルウィッグを扱っていました。抗がん治療を受けられている方は治療が終わると、ご自分の髪が生えてきますが、完全に生えそろわない方もいらっしゃいます。治療後10年ほどはホルモン剤を飲み続けなければならないという方もいらっしゃいます。女性ホルモンは前髪とトップ部分に影響するので、飲み続けている間は、どうしても髪の伸びる率が遅くなります。また毛が細くなった、張りがなくなったというお声を聞くようになりました。それで前髪がどうしても伸びないという方のために作りだしたのが最初で、治療用フルウィッグと並行する形で部分ウィッグを作りました。
その方の髪の質に合わせて、人毛100%か化繊とのミックスかを選んで、お客様にお薦めします。また、普段白髪染めなどで、もっと明るい色になさっているというご希望であれば、特注になりますが、カラーリングなどのご希望にも応じられます。ご要望に合わせて私がカッティングします。

脱毛症は女性だけでなく、男性も発症しますね。

男性の場合、若い方は前髪を下げたスタイルが主流ですが、ウィッグも前髪を下げたスタイルには大体は対応できます。髪の長さはぎりぎりまで短く出来ますが、オールバックのような髪型は無理があります。結局はウィッグの合わせ方だと思います。ご年配の方が、白髪のない黒々としたウィッグを使われれば、どんな方でも違和感があります。ウィッグは白髪をまじえてつくることも可能ですから、どのような似合わせ方にすることができます。価格の安いウィッグでも、似合わせ方が上手なら素敵に見えますし、合わせ方が悪ければ、たとえ価格の高いものでも素敵に見えません。

脱毛症でウィッグの使用を考えている方へのアドバイスは？

脱毛症は、いまどの段階の症状なのかが問題です。脱毛症の最初の症状は、頭頂部や後頭部に円形の脱毛が出ます。その後、円形同士が互いにくっついて、大きなひとつの円形になってしまいます。ですから今、抜け毛がどの程度進行しているかによって、ウィッグの薦め方も変わります。
頭頂部の抜け毛が進行しているような場合は、上だけカバーできればいいんです。でも、ネイプ(首の後ろ)のところまでとか、揉みあげのところまで脱毛してくると、部分ウィッグではカバーリングできませんからフルウィッグに替えなければなりません。その辺の見極めが大切です。今の状態であれば部分ウィッグでカバーできる方でも、全体に広がればフルウィッグにしなければならない。その辺の見極めが大切というアドバイスをしています。

使用したウィッグは手入れが必要ですね。

■美容室パサージュの個室で相談に応じる(株）Passageの久末結佳代表(美容室パサージュは個室を完備。相談は無料で女性スタッフ対応です)

セーターのように付け置き洗いして、自然乾燥して形を整えます。フルも部分も、これは同じです。
ただ素材によって化繊の入ったミックスは専用シャンプー、リンスで洗います。人毛100%の場合は、ご自分のお使いになっているシャンプー、リンスで大丈夫です。
最近はネット通販でウィッグを買われる方もいます。でも画像だけ見て試着もできないし、それで「何とかして欲しい」とカットに持ってくる方もいるんです。うちのお店では、そういうカットにも対応しています。

(取材日:平成28年6月２日)

■株式会社Ｐａｓｓａｇｅ代表 久末結佳 様　平成30年１月５日志半ばでご逝去されました。

 

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