争続にならないための相続対策!身近な相談役としての保険代理店
(株)エスアイエス北海道
代表取締役 佐々木 光一 氏
函館市花園町3番27号 TEL 0138-51-8677
http://www.sis-hokkaido.co.jp/
相続税法の改正で遺産相続への関心が高まっています。あとに残された人たちが、納得して円満に相続してほしいとの思いは、誰しも同じです。しかし、相続財産の多寡にかかわらず、身内の争いが増加しているのも最近の状況です。保険代理店㈱エスアイエス北海道代表であり、相続診断士でもある佐々木光一氏に争いを避ける相続対策についてお聞きしました。
(平成27年4月20日取材) |
■佐々木 光一社長 ■相続診断士の認定証 |
相続税法の改正で課税対象が広がりました。
基礎控除額が5000万円から3000万円に下げられました。でも、改正前でも相続税を納める必要があるのは富裕層の方で全体の4%程度でした。改正後でも対象者となるのは全体の7%から8%程度です。
だからといって、遺産額の多寡だけで相続のことを気にする必要はないと判断するのは禁物です。遺産分割のトラブルは年々増えているのです。家裁に持ち込まれた遺産分割調停は、平成25年には1万2,878件あり、10年前に比べ3割増えました。この内、遺産額が5000万円以下での調停などの成立件数が全体の75%を占めています。つまり、金額の大きさよりも相続を受けられる人たちの関係のこじれにより紛争が起き、相続が争続になっているのです。
相続全般なら弁護士さん、税務のことは税理士さん、あるいは司法書士、行政書士の方への相談となりますが、どこに相談していいのか分からないというのが一般的だと思います。私どもは法律的な手続きはできませんが、保険を扱っていますので、弁護士さんや会計事務所と提携していますし、そういう専門家の方へのご紹介も可能です。
当社には相続診断士の資格を持つものが、私を含めて4名います。専門家へ取り次ぐコーディネターの役割で、ホテルでいったら、コンシェルジュ。弁護士さんや税理士さん、司法書士さんは、病気になった時の専門医や病院の役割になりますが、問題が起きる前に、かかりつけのお医者さんのような形で私ども保険代理店がお役に立てればと考えています。
保険を契約していなければ相談できないのですか?
私どものご契約者様以外の方からでも、ご相談をお受けしていますし、手数料も頂きません。長年お付き合いいただいている方からのご相談が中心ですが、これは保険代理店に相続のことを相談するという土壌がまだ育っていないためだと思います。相続に関して、大まかなことをご説明して、その方のお話をお聞きして、何が一番問題なのか、何を困っていらっしゃるのかを知った上で、問題の確認や解決のために専門家の方をご紹介しています。しかし、私どもが一番大切に考えているのは、相続の問題が起きないためにどうしたらいいのかということです。
先にお話ししたように、実際には相続税でもめているということは、あまりありません。普通のご家庭で土地、建物があって、ご長男が同居していて、ご両親のいずれかが亡くなり、それを相続する場合、たとえば他にご兄弟がいて、この方たちともめるケースが多いのです。
戦後の昭和22年に現放が改正されましたが、それまでは一般的に長男がいたら、長男が全部引き継ぐという家督相続でした。配偶者が二分の一、あとの半分を兄弟姉妹が平等にという今の相続の形になってから70年近く経ちました。それまで土地と建物を残されて、長男がそこに住んでいたから相続するといっても、ほかの人が何もいわずに収まっていた。家督相続が続いていたので暗黙の了解で何も言わなかったと思います。
しかし、戦後教育を受けた世代が相続を受ける時代になってきました。ご主人が亡くなっても奥さんが生きている間は、そんなにもめませんが、奥さんが亡くなった二次相続の段階で問題が起きやすいのです。函館では土地・建物合わせて3000万円くらいで、相続税はかからないのが一般的です。長男はそれまで母親と同居して介護もしてきたからと、兄弟が納得すれば丸く収まりますが、弟たちにも遺産をもらう権利があります。また、被相続人の配偶者、子供には相続財産の一定割合を取得できる遺留分権があり、土地と建物で3000万円くらいの相続財産なら、相続人の数にもよりますが300万円から500万円くらいになります。
遺留分権を主張されるケースもあるのですね。
現預金があれば分けることは可能です。1人に500万円渡すのに遺留分権利者が3人いらっしゃるとしたら、1500万円という大金になります。また、土地と建物しか残されなくて、現預金がまったく無いという場合もあります。実際に所有者が亡くなっても土地や建物の名義を替えられないケースもあります。
慰留分などを計算して、1人500万円渡して、納得してくれればいいですが、一人でも反対して相続放棄しなければ、長男が家を建て直すために銀行でローンを組もうとしても、登記上の所有者ではありませんから、不可能です。すぐに弁護士さんに相談にいくのも方法ですが、問題が起きてしまってからでは対処法が限られます。
生前贈与をうまく活用することも方法です。生命保険金の受け取り人を決めて、遺留分を計算して生命保険をかけておくことも、もめ事のないようにするためのひとつの手段です。
生命保険は1人当たり500万円×相続人の数と控除額はありますが、みなし相続財産として、課税財産には含まれますが、相続財産からは外れます。これは極端な例ですが、多額な借金などの負債を残して亡くなった人の相続人は相続を放棄できます。しかし、生命保険は受取人として指定されていれば、相続放棄しても受け取る権利があります。現金が500万円あるかないかで、対策も変わると思います。お1人くらいなら500万円で解決できるかも知れません。事前に生命保険で死亡保険金500万円の契約に加入したとしても、契約年齢・保険期間にもよりますが数千円の月払保険料で済むこともあります。
また、単に生前贈与をすればいいということではありません。正式な契約書などを作っておかないと、名義借りになって贈与と認められないケースもあります。そういうときにご相談いただくと、弁護士さんへの相談が必要であれば紹介しますし、契約書に弁護士さんの名前が一筆あるのとないのでは重みが違います。
事故でも病気でも、起きてから手を打つとなると、時間もかかるし、お金も相当かかります。相続も当事者にすれば、ある意味リスクですから。私どもが所属するLLP北海道リスクマネジメント研究会でも、相続などの相談を受けています。
相続対策は財産の多寡に関係なく必要だということですね。
未だに戦前の家督相続を意識されて、相続のことには触れてはいけないと思われている側面もあります。確かに相続税法が改正されても、大きな影響を受ける人は一部です。しかし、多くの方に相続は身近な問題であることを理解してほしいですね。遺留分にみあった保険金額などの計算や終身型にするのか等のご相談にも応じられます。ただ、相続人の方の人数など、相続財産の全体が分からなければ遺留分なども計算できません。円満な相続対策として生命保険を活用することは有効な手段だと思います。保険代理店を身近な相談役として、ご利用いただければ幸いです。
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