管理栄養士の川村順子先生が解説

カロリーアップメニューは進化する栄養補助食品で!

 株式会社アキヤマ 業務用食材・関連機器販売・宅配事業
・北斗市東前3-41 TEL0138-77-7491 https://www.akiyama-fs.co.jp/

高齢になるとどうしても食が細くなりがちです。施設や病院などの給食、さらに在宅介護の場合は、少ない量で必要なカロリーを摂るための食事に頭を悩ませます。治療食や介護食も扱う食の総合商社㈱アキヤマで買える栄養補助食品について、管理栄養士の川村順子先生にカロリー摂取の効果や商品特性についてアドバイスいただきました。


「メディカルページ函館・道南版2021年冬号」(令和3年11月18日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

 食事が困難で栄養状態が悪いという人に病院で行うのが点滴だ。治療のための薬剤のほか、脱水症状の緩和、さらに栄養補給などを行うが、2時間から3時間かかり、摂取できるカロリーは約200kcal(キロカロリー)。
 「家庭でもできる口から少量食べて高カロリーを摂るという選択もあります」と話すのは、管理栄養士の川村順子先生。施設や病院などでの栄養指導や講演、著作でも低栄養になりがちな食の細い高齢者の料理をアドバイスしている。

糖質でエネルギーを補給する『粉飴』

 食が細くなり体重が減少、低栄養になるという高齢者に川村先生がお勧めなのが、糖質でエネルギー補給する『粉飴』(㈱ハーバー研究所)だ。
 発売当初は甘さが砂糖の5分の1だったが、改良され現在は砂糖の8分の1の甘さになった。3グラムのスティックタイプの砂糖の甘さが、8倍の24グラムの粉飴と同じになる。つまり、8倍のカロリーを摂取できるわけだ。カロリー量は13グラムで50kcal。顆粒タイプになり、さらに溶けやすくなった。コーヒーや紅茶に砂糖の代わりに使うほか、煮物などにも調味料として使える。
 また、砂糖と同様にタンパク質はゼロなので、高カロリーで、かつ低たんぱくが求められる腎臓病患者の食事にも、「砂糖の8倍も使える粉飴は有効性が高いと思います」と話す川村先生は、「糖尿病の合併症で、腎症といって腎機能が下がってくる病態があります。甘いものを摂ると血糖値も上がると心配なさるんですが、粉飴は普通のお砂糖に比べて血糖値は上がりにくいです」とその特性を話す。
 「点滴は電解質を入れたり、脱水などで水分を入れなければいけないときに輸液は大切なものです。でも、クリニックや施設で食事量の減った患者さんや利用者さんは血管が逃げてしまい、針を入れるときが大変。時間も2時間から3時間もかかるので、点滴の代わりにエネルギーを口から摂りませんかとスタッフの方に話していきます」と、家庭だけでなく、クリニックや施設でも経口によるカロリー摂取の有効性を川村先生は話している。

カロリーが一番高い脂質にはデザート系も

■進化する栄養補助食品

 アットウォーター係数(食品のエネルギーの表示法で一般的に用いられている係数)では、炭水化物とタンパク質がそれぞれ4kcal/gだが、脂質は9kcal/gで、脂質は少量で高いカロリーを摂取できる。しかし、胃もたれするなど脂質ならではの問題もある。
 そこで川村先生が勧めるのが、『ごはんに合うソース』(キューピー㈱)。その名前のとおり、卵、明太子、ウニと、ごはんにあう3種類の風味で1包(10g)に油が5.7g入っており、60kcal摂取できる。その上、塩分控えめなので塩分制限が必要な人のごはんのお供にもぴったりだ。
 「ごはんにあうソースと書いていますが、おかゆでも大丈夫です。量も一包が10グラムと少なくて、凄くおいしい。施設ではユニットごとに冷蔵庫の中にいれて置いて、ご飯やおかゆが進まないときにこれをかけてあげてくださいとお願いしておくとスタッフも協力してくれます」(川村先生)と味も絶賛だ。
 そしてデザートとしてもお勧めというのが『ブイ・クレス ハイプチゼリー』(ニュートリー㈱)。1個当たり23g(約大さじ1杯半)と小さなサイズだが80kcalも摂取できる。味はミックスフルーツとキュウイの2種類。
 「施設などで、あまり食べられなかった方に無理にご飯を勧めるのではなく、デザートを食べましょうと。スプーンで2口くらいですから、間食でも大丈夫だと思います」と話す川村先生は、栄養剤を飲むのと違いゼリーやフルーツを食べているデザート感覚もお勧めとして、特に冷やしておくと微量栄養素(亜鉛・鉄・ビタミンなど)の後味が残らないと補足している。

MCT(中鎖脂肪酸)はエネルギーとしてすぐに吸収

■ワールドグルメプラザでは介護食品も豊富に販売

 カロリーの高い脂質の中でも、今注目されているのはMCT(中鎖脂肪酸)だ。一般の食用油に含まれる長鎖脂肪酸は、身体に吸収された後、リンパ管、静脈を通って脂肪組織、筋肉、肝臓に運ばれ分解や体内に貯蔵され、必要に応じてエネルギーとなる。しかし、中鎖脂肪酸は、肝臓へ通じる門脈から直接肝臓に運ばれるため、効率よく分解されてエネルギーとなる。体内で速やかにエネルギーに代わる特殊な油だ。当初、MCTは食べにくかったが、今は混ぜているのが分からないほど進化しているという。
 『マクトンゼロパウダー』(キッセイ薬品工業㈱)は、MCTを主成分とした粉で、色々な料理に取り入れられるほか、お菓子の素材としても使える。
「マクトンは8割がた脂肪ですが、粉末なので油ぎった感じがしません。少しねっとりした感じになりますが、おかゆの上に混ぜたり、ヨーグルトにも入れられます」(川村先生)。
 MCT製品は、日清オイリオグループ㈱から、粉末の『日清MCTパウダー』のほか、液体の『日清MCTオイル』も発売されている。最近発売されたのが『日清MCTオイルお粥にプラス』。
 「これは10gで90kcal摂取できます。吸収されやすい油なので普通のサラダ油よりはエネルギーになりやすい。ご家庭に置いておいて、食べられない方や飲み込みづらさがある方の食事に混ぜていただくことで、エネルギーアップを図ることが出来ます」と話す川村先生は、その混ぜ方についても、「どうしても上だけ食べて下を残すという方がいらっしゃいます。そういう方には全体に混ぜてしまうよりは、食べられるだろうと思う部分に混ぜておけばいいのかなと思います」
 日清オイリオグループ㈱からは、ほかにも40gの食べきりサイズでエネルギー160kcalを摂取できる『エネプリン プロテインプラス』(豆腐味・ポテトサラダ味・チョコレート味・あずき味の4種類)やたんぱく質ゼロの『エネプリン』(40gで160kcal)がある。エネルギーだけでなくたんぱく質も補うのが  『えねぱくゼリー』(キッセイ薬品工業㈱)。125kcalのほか5gのたんぱく質も摂れる。グレープ・オレンジ・メロン・白ぶどう・トロピカルフルーツ・りんごと6種類あり、「冷蔵庫に入れておくと、知らないうちに食べてしまう。卵半個で3gのタンパク質ですから、この5gは貴重です」と話す川村先生は、ほとんど食べられないという時はカロリーだけでなく、タンパク質の補給も大切としている。

家族一緒の普通の食事でもエネルギーは摂れる

■㈱アキヤマ 小林久周 社長

 「ご紹介した製品は、普通のお食事でもエネルギーは摂れるという補助的な役割を果たしてくれます。ご家族と同じものを食べてエネルギーを摂れるというメリットもあります。普段のお食事を伺って、お好きなものも聞いたうえで、栄養補助食品を選んで差し上げるのが一番です」と話す川村先生は、「どういう商品があって、どうやったら買えるかというのが問題」とも付け加え、「新製品などはメーカーさんからの情報をアキヤマさんに教えていただき、カタログやサンプルを持ってきていただいて管理栄養士や栄養士が自ら学ばなければいけないと思います。利用する方にはアキヤマさんで買えますという情報提供まで必要です」
 川村先生の言葉を受けて、㈱アキヤマの小林久周社長は――
 「お客さまをみていると、おばあちゃん、お母さんとお嬢さんが一緒に来て、かなり悩まれて食材を選んでいかれる。それぞれの方に合わせたご飯をつくるのは大変。川村先生のお話のように簡単にできますよとアドバイスを差し上げたい。僕らの時代は大量販売をする時代でしたが、現在、当社は売ることよりも提案する仕事を目指しています。これからは付加価値を高めて、欲しい人が満足するものを提案したい」と栄養補助食品の販売方法を提案型企業展開のステップに位置づけている。

取扱商品についてのお問い合わせは、㈱アキヤマ 担当:小林(和)まで

(取材日:2021年10月11日)