トヨタが自宅から近距離の外出を支援する乗り物を開発中!

函館トヨペット株式会社
函館市石川町169番地35 TEL.0138-46-2111

トヨタ自動車は、徒歩圏内の移動をサポートする新たな乗り物「C+walk(シーウォーク)」を新たに開発し、その第1弾として立ち乗りタイプの「C+walk T(シーウォークティー)」を10月1日に発売した。
函館トヨペット㈱営業本部法人部・横山孝博課長に、商品の特徴や開発の背景、今後の展開などについて聞いた。


「メディカルページ函館・道南版2021年冬号」(令和3年11月18日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

トヨタはなぜクルマ以外の乗り物に力を入れるのでしょう?

 一言で言えば、お客様の行動範囲を広げるためです。特に免許証を返納した高齢者や移動のために車いすを必要とする方、歩行が困難な方など、移動に「困りごと」のある方々をサポートするのが大きな目的です。クルマを手放してからも地域の皆様の困りごとに寄り添う「選ばれる町一番の店」を目指すため、クルマとは別の新たな移動手段として「歩行領域EV」である「C+walk(シーウォーク)」シリーズを今回発売しました。
 トヨタが掲げる「Mobility for All(移動手段をすべての人のために)」の理念に基づいています。

お客様の行動範囲を広げるとは?

 クルマを運転できれば、どこにでも行けます。ですが、年齢とともに視野や判断力などの低下、家族の反対などで免許返納を余儀なくされる時がいずれは訪れます。その時に、外出機会が少なくなってしまったらどうでしょうか。
 クルマに乗れなくなったからと言って、高齢になってから急に自転車で行動するわけにもいきません。バスやタクシーを毎回利用するのもなかなか大変ですし、必要な時に必ず家族に頼れるとも限りません。
 「移動手段がないから外出機会が減る」という事態を避けるためには、自律移動手段の新たな選択肢が必要になります。トヨタは、誰もが生活を豊かにする、いつまでもいきいきと暮らせる社会をつくることに貢献したいと考えています。

「歩行領域EV」とは聞き慣れない言葉ですが。

 歩行領域とは、買い物や通院などの生活範囲、敷地内や工場内の移動など、徒歩で移動できる範囲内を指します。距離にするとおよそ2~3km圏内です。
 EVは「エレクトリックビークル」の略で、電気自動車と訳されます。つまり、歩行領域EVとは「徒歩圏内の移動を目的とした電気自動車」のことです。 今回トヨタが開発した「C+walk(シーウォーク)」は、歩行領域EVの中でも充電可能なBEV(電池式電気自動車)に分類されます。
 先駆けとして10月1日に立ち乗りタイプ「C+walk T(シーウォークティー)」を発売し、来春には座り乗りタイプ、夏頃には車いす連結タイプが登場する予定です。

3タイプそれぞれの特徴を教えてください。

左から■立ち乗りタイプ ■座り乗りタイプ ■車いす連結タイプ

 すでに発売されている立ち乗りタイプ「C+walk T」は、免許・ヘルメット不要で、搭乗時も安定感のある3輪構造です。障害物や傾斜を検知して減速する安心・安全装備付きもあり、最高速度は10km/h。満充電で14km走行可能です。
 残念ながら法律上、公道の走行ができず、歩道や「みなし公道(=駐車場など)」では使用できません。そのため、立ち乗りタイプについてはショッピングモールの構内や敷地面積が広い工場・倉庫内などの移動や巡回・警備などの仕様を想定しています。
 本体価格は341,000円。「Safety support」付きは354,200円です。 「座り乗りタイプ」と「車いす連結タイプ」は開発中のため、詳細についてはお答えできません。

操作性や安全面はいかがでしょうか。

 操作はすべて手元で行います。親指でアクセルレバーを押し、緊急時にはブレーキレバーを引いて停止します。アクセルから指を離しただけでも停止します。 アクセルとブレーキは左右両方に同じ形状で配置されているので、利き手がどちらでも直感的に操作しやすくなっています。最高速度は10km/hですが、基本的には徒歩の速さ(3km/h)に近い2~6km/hで走行することを想定しています。
 今後、座り乗りタイプや車いす連結タイプが公道を走るようになったとしても、歩行者とそれほど変わらない速度なので、大きな事故にはつながりにくいのではないかと考えています。 前述の通り、障害物を検知して減速する装備を付けることもできます。トヨタがこれまでクルマで培ってきた技術を注ぎ込んでいますので、より安心していただけると思います。

これからの時代に求められる商品ですね。

 日本は今後さらに高齢化が加速します。2010年の高齢化率23.1%でしたが2050年には39.6%になり、人口の3人に1人が65歳以上になる見込みです。自宅から生活範囲の移動をサポートする「歩行領域EV」は、今後間違いなく多くの方に必要とされる移動手段になると確信しています。
 また、高年齢者雇用確保措置の義務付けで、働く意欲の高いシニアや人材を確保したい企業が増えると予想されており、業務内の移動負荷を軽減できる「歩行領域EV」は、シニアの活躍にもつながるものと期待されます。このような社会環境を踏まえ、今から我々ができることに挑戦します。

函館トヨペット法人部としての今後の活動は?

 立ち乗りタイプ「C+walk T(シーウォークティー)」をドアノックツールとして、幅広く他社法人活動に役立てたいと思います。特に「座り乗りタイプ」「車いす連結タイプ」は法人活動の中でも医療・福祉関連に直結する商品になりますので、多くの方にお勧めしていきたいですね。
 10月23・24日には石川店で「C+walk T」の試乗体験会を行いましたが、今後希望があればお客様への貸し出しも検討しておりますので、函館トヨペット㈱営業本部法人部 TEL0138-46-2111へお気軽にお問い合わせください。

《取材メモ》

立ち乗りタイプ「C+walk T(シーウォークティー)」に記者も試乗してみたが、操作が簡単で小回りが利き、本体が軽量なのに大人1人を乗せて軽々と走行できることに驚いた。立ち乗りタイプは現在の法律では公道を走行できないが、高齢者の移動手段の確保は社会全体の課題であり、ぜひ早期に法改正してほしいと思った。将来、クルマに乗れなくなった時の生活不安は誰しもぼんやりと抱いているはず。公道を走行できる「座り乗りタイプ」「車いす連結タイプ」の登場が待ち遠しい。

(取材日:2021年10月23日)