第25回 「効く!ストレッチ」の方法&Q&A

toyo_doc「東洋医学的 健康針断」では、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>

コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)


皆さん、こんにちは!

だんだんと暖かく天気の良い日が増え、外での活動が楽しい季節となりましたね。
私事ですが、マラソンが趣味の私は毎年、3月くらいから本格的に練習を始動するのですが、今年はやっちゃいました・・・

ここ数年、筋力が落ち、関節の柔軟性が無くなり、心肺機能も低下して速く走れなくなっていたのですが、今年は最初から思いのほか調子が良く、走るごとにスピードアップして行くほどの好調なシーズンイン。

「今シーズンは昔のように走れるかも」と心のどこかで思っていました。
しかしこれが落とし穴だったことに全く気が付きませんでした。

その日もいつものルーティンでウォームアップして走り始めました。
この1~2年間、走り始めには必ず膝の内側に痛みを感じ、体が温まると痛みが無くなるといった状態が日常でした。「いつものことさ」と思い続けて走っていたのですが、いつまでも痛みが消えません。
それでも12kmほど走り、家に到着したのですが、痛みが消えるどころか少しずつ増してきていました。
2日後にはついに歩くのも困難な状態となってしまったのです。

その後は痛みも引かず、2週目あたりからこれは単純な筋・腱の炎症ではなく、経過と状態から冷静に判断すると「半月板損傷」しかないと思っていたのですが、意を決してMRI検査をすると案の定、「左足内側半月板損傷、変形性膝関節症」と確定診断を頂きました。(涙)

・・・とここまでが、私のスポーツ外傷の体験談でしたが皆さんにはこのようにならないように、セルフケアをして十分に気をつけて頂きたいと思います。
『怪我は突然来ます』

サインはあってもまさか故障につながるとは思いもよらないものです。
つまり日々の毎日の入念な準備が欠かせないものなのです。

前置きが長くなりましたが、今回は怪我の予防には基本中の基本の「ストレッチ」に関するお話をしたいと思います。

●「効く!ストレッチ」の方法Q&A

Q1 最近の情報ではスタティックストレッチ(静的ストレッチ)は良くないといわれますが本当?

A1 運動前のウォームアップとしてのスタティックストレッチはやってはいけません。

ウォームアップというのは、体を温め運動に入るための準備ですから、心拍数を上げて筋肉への血流量を増やさなくてはいけません。筋・腱を伸ばしたまま止めるスタティックストレッチは筋・腱の温度上昇もなく、伸張反射の反応が低下し、一時的に筋力が落ちたり、反射スピードが悪くなったりする可能性があるので練習や試合の前にこれだけをやるのは危険です。小・中学校の部活の指導者で、「運動前のストレッチ」という迷信を続けている方を多く見ますが、プロのアスリートでこれをやっている人を見たことはありません。
是非、改善して頂きたいですね。

Q2 ではウォームアップには何をすればよいの?

A2 ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)をすべきです。

これは動きの中で体を伸ばしたり縮めたり、飛んだりしゃがんだり、ひねったりそらしたりと、筋肉や関節を大きく動かす事を意識して体を動かすことです。これにより筋中の血流量は増大し、温まります。身近で皆さんが知っているラジオ体操は立派なダイナミックストレッチです。非常に効率よく体を動かせ、簡単で誰もが知っているお勧めのウォームアップですね。また、行う運動の中で使う動きを少しずつやっていくのも良いと思います。

Q3 スタティックストレッチはやらなくて良いの?

A3 スタティックストレッチはすべてのトレーニングや試合が終了した後に行うのが好ましいです。

筋肉は疲労すると縮んで硬くなり、疲労性物質が代謝されにくくなり、その後の運動のパフォーマンスを落とす原因になります。運動後の収縮した筋肉を10~30秒位のスタティックストレッチで伸ばしてやると血流を促進し疲労回復を早めます。しかし行うべき時間は筋肉の太さによって差があるのです。太ももなど太い筋肉は30秒くらい、肩周りなどはその半分くらいでいいでしょう。

Q4 痛みがあるときはストレッチをしないほうが良いの?

A4 激しい運動をした後は、上手にクールダウンをしても疲労性の筋の炎症、つまり筋肉痛が起きます。

このような痛みは安静にして体を動かさないでいるより、筋・腱を軽く動かして運動し、刺激を入れたほうが代謝を促進し、疲労性物質を排泄するので改善が早まります。


正しいストレッチの考え方と方法を覚えて、怪我のないスポーツライフを楽しんでください。

万が一、痛みが出たり、怪我をした時は是非、ご相談ください。