第16回 正しい姿勢の大切さ

toyo_doc「東洋医学的 健康針断」では、年4回、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>

コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)


今年の冬は、予想以上の大雪になってしまいましたね。 気温も低いので、道路はつるつる、転ばないように腰を落とし、体を丸めて、こわごわ歩くことになってしまいます。 こんな歩き方をしていますと、腰も痛くなるし、肩もこって当たり前。 姿勢の変化というのは、ダイレクトに体の各所に影響を出します。

今回は「姿勢」に関してのお話をしようと思います。

●正しい姿勢とは

toyo16_01人の背骨は、重力に対抗して、重い頭を支え、身体を動かした時のショックを吸収するために、穏やかなS字を描いた構造になっています。 理想的な姿勢を真横から見ると、重力線が耳から肩~股関節~膝~くるぶしを結んだ線を通っています。

軽くあごを引き、背筋、膝をきちんと伸ばし、頭を上に引っ張られているようなイメージを持つことにより、正しい姿勢を作ることができます。

この正しい姿勢は、脊柱起立筋に代表される抗重力筋群とインナーマッスルと呼ばれる大腰筋によって支えられています。

●姿勢の乱れ

昨今の「生活習慣の乱れ」、「アンバランスな食生活」、「歩行を中心とした運動の不足」により、抗重力筋やインナーマッスルの力が、どんどんと低下してしまい、脊柱をきちっと立てていることが、できなくなってきています。
そうなると骨盤が落ち、背骨は後ろに湾曲し、頭が前方に倒れてきて、いわゆる猫背となってきます。
猫背になると、胸が前方で狭まれ胸郭が圧迫される為、肺が大きく膨らむことができなくなり、酸素の供給量が減って基礎代謝を悪くしてしまいます。

脂肪を燃やしてエネルギーに変える代謝も落ちるので、太りやすい体質にもなるのです。(ブームの骨盤ダイエットはこのあたりの理論の応用です) この猫背による背骨の歪みは、呼吸器・循環器・消化器など種々の内臓の機能をも低下させてしまい、身体を内科的な病気の傾向へ導いてしまうのです。

また、頭の重みで前かがみになってくる上体を支えるために、肩・首・腰の筋肉は常に緊張を強いられ、疲労性の硬縮をおこして、コリや痛みを発症させる要因にもなります。

●姿勢の自己診断方法

日頃、悪い姿勢をとることが多いと自覚してはいるが、実際に自分の身体はどうなっているのか?自分で簡単にチェックしてみましょう。

①鏡に身体を映しながら、前屈して、鏡に映った背中の、左右の高さの違いを見てみる。

②両足の踵の間を10~20cmくらい開いて、仰向けに真直ぐ寝る。
この時に左右の足先の開き具合の差を比べてみる。

これで、背中の左右の高さの違いや、足先の開き方の違いがあったら、身体が歪んでいる可能性が高いということになります。

●良い姿勢への心がけ

毎日の生活の中で、少しずつ歪んできたものがほとんどですから、自分で気をつけられる範囲のことはやりましょう。

①立ち方・座り方・歩き方に注意して、
【背筋を伸ばす意識】
【左右対称に身体を使う意識】
【同じ姿勢で長時間いない意識】を持つように心がける。

②偏食しないで、カルシュウムが十分摂取できるような、バランスの良い食事を心がける。

③歩行を中心とした、左右の動きが対称な運動をするよう心がける。
抗重力筋やインナーマッスルを鍛えるにも歩行が一番有効です。
ウォーキングの習慣は、1回15~40分、週に3回くらい
(無理せず気持ちよく感じるくらいのやや早歩きで行うのが一番効果的です。)

以上のことを注意しながら、何らかの症状が身体にある場合は、早めに専門の先生にご相談ください。