第14回 鍼灸治療の可能性 「認知症と鍼灸」
「東洋医学的 健康針断」では、年4回、益井東洋治療院の益井院長が、現代西洋医学とは、少し視点を変えて診た「体や健康」についてのお話をしていきます。お気軽にお読みください。
<東洋医学的 健康針断>
コラム寄稿:益井 基 院長
(益井東洋治療院)
皆さん、こんにちは!
今回は直接、皆様の生活で役に立つ鍼灸ということではないのですが、今後、もしかしたら役立つかもしれないという情報を書いてみたいと思います。
巷では参議院選挙も公示され、本格的な選挙モードになってきましたが、この先の我が国が、どうなっていくのか、本当に心配ですよね。
我々の業界に関することも民主党のマニフェストに載っていましたが、この先もマニフェスト通りに伝統医学の発展に力を入れてくれるものなのか、、、
ここが鍼灸・マッサージ・柔道整復の業界の将来が、大きく変わって行く分岐点になりそうです。
ちなみにこれがそのマニフェストです。
●統合医療の確立ならびに推進
「漢方、健康補助食品やハーブ療法、食餌療法、あんま・マッサージ・指圧、鍼灸、柔道整復、音楽療法といった相補・代替医療について、予防の観点から、統合医療として科学的根拠を確立します。アジアの東玄関という地理的要件を活かし、日本の特色ある医療を推進するため、専門的な医療従事者の養成を図るとともに、調査・研究の機関の設置を検討します。」
さてそれはさておき、先日読んだ業界の本に興味深い記事が載っていました。
平成21年10月31日に神奈川県川崎市で行われた「認知症国際フォーラムー漢方と鍼灸による予防と治療」において、鍼治療が「脳神経細胞を再生させ得ること」「脳の血流改善と抗加齢効果があること」などが紹介されたのです。
その記事は、フォーラム出席者の兵頭先生(日本伝統鍼灸学会常任理事)、水上先生(日本医科大学名誉教授)、小俣先生(埼玉医科大学東洋医学センター)による対談の詳細で、痴呆症に鍼灸治療が効果的でありますよと言う内容のものでありました。
とは言っても個人差や程度の問題があるでしょうが、予防的効果や進行を食い止めると言うだけでも、社会的には随分と有益なことだなと思います。
実は私の母も60歳代から痴呆になってしまい、大変に苦労した経験があります。
勿論、一番可哀想で大変なのは、本人でありますが、周囲の家族、特に面倒を見なくてはいけない立場の人の苦労は筆舌に尽くし難いものであります。
この問題は、今後、ますます大きな社会問題となってくるであろうと思います。
体に優しい鍼灸治療で痴呆症が食い止められたり、少しでも改善させることが出来るのなら、すばらしい治療の選択肢となり得るのかなと期待を持っています。
また、「病鍼連携」という考え方があり、病院で脳の診断画像や診断スコアなどのデータを鍼灸院と共有し、鍼灸治療を受けて、定期的にまた病院で検査を受けるという連携が、理想的な形のネットワーク機能であると思います。
このような治療の構想を、北海道から始めてみようかといった噂(あくまでも未確認の情報ですが・・・確定的なことが分かりましら、またお知らせいたしますね)も耳にしております。
痴呆症の治療に関する各論は割愛しますが、今後、病院と連携を組んで、痴呆症の治療・予防のネットワークが北海道にできると素晴らしいなと思いますね。
そしてぜひ、実現させたいと思っております!
実は、埼玉医科大学の小俣先生は鍼灸の学校時代の友人でありますもので、今年度中にぜひ会って、色々勉強してくるつもりでいます。
西洋医学と東洋医学がタッグを組んだ「統合医療」を実践していけるような医療環境ができるように、国がどんどん後押しをしてくれればなと心から願っております。