ウェルキャブ車 愛用者インタビュー: 社会福祉法人 総務部総務課 障害者福祉センター 

軽四車両に幅広スロープと電動ウインチを装備した車いす移動車 ダイハツ フレンドシップシリーズ ハイゼット スローパー

函館トヨペット株式会社
函館市石川町169番地35 TEL 0138-46-2111

医療機関や高齢者施設にトヨタの福祉車両「ウェルキャブ」を提供している函館トヨペット。本誌ではウェルキャブ車の愛用者の声を紹介してきたが、今回ご登場願ったのは今年6月から車いす移動車『ハイゼット スローパー』を使用している社会福祉法人函館市社会福祉協議会。この車はトヨタのウェルキャブではなくダイハツの福祉車両フレンドシップリーズの車いす移動車で軽自動車。販売した函館トヨペットと利用する障害者福祉センター担当者に聞いた。


※「メディカルページ函館・道南版2025年夏号」(2025年7月20日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

 「障害者福祉センターは若松町の函館市総合福祉センターで1階のプールと3階の入浴サービスを担当しています」と同センターの仕事を説明するのは介助員の中野亜都沙(あづさ)さん。

■介助員の中野亜都沙さん(左)と運転担当の星野公彦さん

 利用できるのは障害者手帳を持つ人で、プールは10歳以上、または付き添いがあれば利用可能。入浴は15歳から64歳(65歳以上は介護保険に切り替わるため)までご利用できる。

 車いす利用者の入浴介助と自宅から福祉センターまでの送迎を行っているのが介助員の中野さんらのスタッフだ。もともと送迎には函館トヨペットのハイエースを利用していたが、1日の入浴利用者が午前、午後それぞれ1名の計2名に平均化したため新しい送迎車両の検討に入った。

 車いすを積載する機能は欠かせないが、利用人数が1日平均2名ということで、利用者1人のほか、介助員1名と運転手1名の計3人が乗れること。4輪駆動で、スタッフ全員が運転できる車という要望がハイエースの代替車に求められた。

希望にマッチするトヨタ車以外の福祉車両を紹介

 この要望を受けたのが、函館トヨペット㈱新車部法人営業グループで“ウェルキャブ”を担当、障害者福祉センターが利用していたハイエースも担当する佐藤武郎課長。 

■函館トヨペット㈱佐藤武郎課長

 「実はご要望にマッチしたトヨタ車はありませんでした。車いすを搬入するスロープがついた4輪駆動でというご要望と価格の面でご提案できるのはダイハツの『ハイゼット スローパー』でした。トヨタ車にはピクシスという軽自動車はありますが福祉車両のウェルキャブにはラインナップしていません。当社はダイハツの特約店でもあり、ご要望に応える『ハイゼット スローパー』をご提案しました。

 福祉車両ですから消費税は非課税ですし、自動車税・環境性能割は、一定の要件を満たすと減免になります。もちろん点検整備等のサービスは当社が担当します」と佐藤課長は、『ハイゼット スローパー』決定までのいきさつを話す。

 また最近のユーザーについて、「小さな車というご要望が増えてきています。ご自宅の前までの送迎を考えるとハイエースのサイズではちょっと無理なこともあって小型車や軽自動車のご希望が増えていると思います」と話しながら、「私どもは、あくまでもユーザー様のご希望にあった車をご紹介することを第一に考えています」と福祉車両に限らず自動車の提案についての基本的な考えを話している。

軽四ならではの小回りの良さと乗り心地

■車いす移動車ハイゼット スローパー

 今年6月からハイエースに代って利用者の送迎をしている『ハイゼット スローパー』。その使い勝手はどうか。運転を担当している星野公彦さんに聞いてみた。

 「私は4月から運転を担当してハイエースの運転も経験しました。大型とは勝手は違いますが、小回りが効いて、ご自宅までが細い道という場合もありますから、この送迎の仕事には軽四がいいんじゃないかと思っています」

  星野さんは市営バスや観光バスの運転経験もあるベテランで、そうした運転経験と比較して、「運転を担当しているので、同乗している方の乗り心地が気になります。この車は路面からのショックも柔らかくて、乗っている人に優しいと思います。函館は電車道が多いですが、電車の線路を渡るときのショックがとても小さいと思います」と軽四ならではの乗り心地を話している。

 また中野さんも、「軽四ですが圧迫感もあまり感じません。乗り心地もいいです。大きな車の場合、筋力がない利用者さんですと揺れが大きくて、乗っていると身体に痛みを感じるという方もいらっしゃいます。ハイゼットは揺れも感じなくて、乗り心地がいいとご自分の車をハイゼットに代えようかと話している利用者さんもいるくらいです」と利用者からの評判の良さを話す。

特殊な多機能型電動車いすのサイズにも適応

■スロープの昇降も簡単

 送迎業務で乗車するのは運転担当の星野さんのほか、車いすの利用者、その介助に当たる中野さんなどのスタッフの計3名。星野さんは運転に加えて、車いす用のスロープを出すのも仕事。スロープはレバー操作による手動だが、「スロープの使い方は簡単です。手動ですがレバーを操作するとすぐに降りてきて、伸ばして接地するまで5秒もかかりません」(星野さん)。車いすの乗り降りは、中野さんらスタッフが当たるが、リモコンで操作する電動ウインチで楽々だ。

 利用者により車いすのサイズも異なるため、車いすの積載能力が車の大事な選定基準となったことはいうまでもない。

 「スロープのサイズも十分です。幅が結構広くて、ハイゼットは高さもあるので、特殊な多機能型電動車いすでも積むことができます」と話す中野さん。『ハイゼット スローパー』の乗降時の開口高は1.415m。車いすの乗車幅は77cm。スロープ幅は71cm。利用者の車いすのサイズを確認して決定した。

 この車に何か注文はと聞くと不中野さんは「不便さは何も感じていません」との答えてくれた。

  『ハイゼット スローパー』を提案した佐藤武郎課長は、「ハイエースから軽四へのダウンサイズのご要望でご不便はないかなと気になっていましたが、今お話をお伺いする限り便利に使っていただいているようで、ありがたいと思っています。大きな車はサスペンションも積載量にもそれに合わせているので、軽四の方が柔らかい乗り心地に感じられると思います。逆に大人数が乗ると振動も大きくなりますが、少人数で街中の移動が中心の使い方にマッチしていると思います」とユーザーニーズにジャストフィットした『ハイゼット スローパー』を話している。

取材協力:社会福祉法人函館市社会福祉協議会 

■いろいろな入浴剤も用意。入浴中はCD でBGMを流す。これをかけて欲しいとCDを持参する利用者も。

社会福祉協議会は社会福祉事業法(昭和26年に制定。現在の「社会福祉法」)に基づき、設置されている民間の社会福祉活動推進を目的とする非営利の民間組織。

障害者福祉センターは、函館市総合福祉センター内でのプールと入浴サービスを担当しており、入浴サービスは朝9時から夕方5時まで。送迎が必要な利用者については朝9時から夕方4時までがサービス時間。

函館市内在住で障害者手帳を持つ利用希望者は市役所の障害福祉課まで連絡。審査が通れば利用可能。日曜と月曜は休み。

社会福祉法人函館市社会福祉協議会 総務部総務課 障害者福祉センター
函館市若松町33番6号 函館市総合福祉センター2階
TEL.(0138)23-5551


(取材日:2025年10月9日)