ハンデを持つ子どもたちが集う療育の場1

放課後等デイサービスって何?

少子化の中で自閉症スペクトラムやADHD(注意欠陥多動性障害)などハンデを持つ子どもたちは増加している。放課後等デイサービスは、小学生から高校生までのハンデを持つ子どもたちが、その名の通り放課後や長期休暇中に通う児童福祉法に基づくサービスを提供する事業所だ。障害のある子どもの居場所、家族に代わって一時的なケアを行うことで日々の疲れを取ってもらう”レスパイトケア”としての役割の場から、この数年来療育の場へとシフトしているという。放課後等デイサービスあすも北浜管理者の能登美奈さんに聞いた。

 

放課後等デイサービス(以下・放デイ)を利用するのは、どういうお子さんですか?

能登 美奈さん

多くは自閉症やアスペルガー症候群等の発達に特性を持つお子さんですが、肢体不自由のお子さんも該当します。また知的障害、ダウン症のお子さんや難病のお子さんも中にはいます。ただ肢体不自由のお子さんや医療的ケアが必要なお子さんに関しては、受け入れ出来る放デイは限られているのが現状です。

放デイは児童福祉法の施設なので、小学1年生から18歳、高校3年生までが対象となります。幼稚園児など就学していないお子さんは放デイではなく児童発達支援事業所に通い、その事業所が放デイもやっているところであれば、小学生になってそのまま通うケースもありますが、中には他の放デイに移行するお子さんもいます。多機能型の事業所では、午前中は未就学児童、午後に放デイ対象のお子さんが通っているところが多いかと思います。

少子化が進むなかで、放デイの利用対象となる児童が増えています(表①参照)が、その理由は?

昔に比べて発達障害という言葉が広く知られるようになり、社会的な注目が高まったことで育てにくさを感じている保護者の方の気づきも増加し、育児相談や検診でのフォローから専門の医療機関の受診に繋がるケースが増えているのだと思います。

私が子どもの頃にもクラスにちょっと変わっているなという印象の子はいましたが、当時は現在のように発達障害に対する情報や知識がほとんどありませんので、そういう子なんだなという認識で特に疑問に感じることもありませんでした。もう少し大きくなって自閉症という言葉を耳にするようになっても、自分の殻に閉じこもる引きこもりのようなイメージを持っていました。

また当時は、多くの方が自閉症は親御さんの育て方や家庭環境などの問題によって起こる後天的な病気と誤解していたと思います。現在でも発達障害の原因についてははっきりとわかっていません。しかし、決して親御さんの育て方・愛情不足などの心因的なものによってなる病気などではなく、あくまでも先天的な脳機能の障害による発達や認知の偏りという説が有力であり、広く認識されるようになってきています。

放デイとはどのようなものかということを知らない人も多いですね。

放デイを説明するのに一番分かりやすいのは、障害や発達に偏りのあるお子さんのための学童保育のようなイメージかと思います。

4、5年くらい前までは、放デイのサービス機能は、保護者の方のレスパイト(休息や息抜き)的な、ひとりでは過ごすことが難しい障害児童の預かりという面が強くありました。預けることで保護者の方も安心して、仕事や用事が出来る、それとお子さんの余暇を主として預かり、余暇を楽しめる場所というのが放デイがメインに提供するサービスでした。

それが2、3年前からは放デイは余暇や預かりをするだけの場ではなく、「療育」する場所ということを国や行政が重点としたこともあり、「療育」が放デイの大きな役割となりました。もちろん、余暇や保護者の方のレスパイトの部分もありますが、生活能力の向上のために必要な訓練や社会との交流の促進その他の便宜を供与することが放デイの役割であると、この2、3年、行政は強く主張しています。

療育について教えてください。

「療育」という言葉から連想するものとして、「がんばって訓練をして障害を軽減、克服する」というイメージをもつ方もいらっしゃるかと思います。様々な障害を持つお子さん一人ひとりの得意な力を伸ばす、発達を促す試みを意味することも含まれますが、「療育」の本来意味するところは、障害を持ちつつ成長する子どもをいろいろな面からサポートし、一人ひとりが自立し充実した生活を送ることができるように援助する総体的な取り組みのことを指していると思います。

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