利用者本人がやりたいことを支援、「できることは自分で」の精神で高齢者の生活支援に取り組む

●デイサービス ハート To ハート北浜
函館市北浜町5番12号 TEL 0138-40-6111
http://caresv.to-ogasawara.co.jp/

テーオーグループの「テーオー総合サービス」が運営するデイサービス ハート To ハート北浜は、集団行動をほとんどしない代わりに施設内での過ごし方を各利用者の主体性に任せる方針を掲げ、徐々に利用者数を伸ばしています。実際にどのような運営をしているのか、管理者にお聞きしました。


「メディカルページ函館2018夏号」(平成30年6月1日発行)の冊子に掲載された記事です。

■ヘルスケア事業部 管理者・主任生活相談員 塩谷秀文さん

こちらの施設の特徴を教えてください。

まず、利用者を1カ所に集めて集団で何かをすることはほとんどありません。では何をするかというと、利用者さんがそれぞれご自分のやりたいことに取り組みます。手芸、書道、麻雀、将棋などをして過ごす方が多くいらっしゃいます。映画が鑑賞できる上映室もありますし、インターネットができるパソコンもあります。タブレットで将棋やオセロなど頭を使うゲームに取り組む方もいます。

なぜそのような「好きなことをする」スタイルにしたのでしょうか。

お年寄りはこれまで人生経験を豊富に積んできたのですから、デイサービスだからと言って集団で保育園のお遊戯のようなことをするのには抵抗があるのではないでしょうか。デイサービスの役割は、利用者さんがご自宅で生活できる期間を少しでも延ばすことにあります。ですから、利用者各自が日常生活で行う程度のことをこの場でもしっかり行ってもらうことで、生活の支援につなげたいと考えています。

■広いスペース(上)とDVD上映室(下)

でも、各自がやりたいことをやるだけでは、ただ遊んで暇つぶしするだけになってしまわないでしょうか?

実は利用者さんには、一日の中で必ず一度はおもに足腰を鍛える運動に参加するようにお願いしています。運動器具を使ったトレーニングが中心で、これは5分でも構わないので必ずやっていただくようにしています。1カ月ごとに体力測定を行い、3カ月ごとにトレーニングの効果について評価を行います。その結果に基づいて器具のウエイトを変更したり、新たな運動メニューを考案したりして、より効果が表れるやり方を追求していきます。

なるほど。でも1回5分程度の運動で効果はあるのでしょうか?

■看護師さんにも取材

〈看護師さん〉運動時間は短い方だと3分、多くの方は10分程度です。これは決して長くはありませんが、運動してもらうことには2つの目的があります。ひとつは、体を動かす習慣をつけてもらうこと。もうひとつは、自分はもう体が動かないなどと思い込まずに、自分もまだまだ動けるんだと気付いてもらうことです。1日5分から10分程度運動したからと言って運動能力がどんどん向上していくようなことはありませんが、何もしなければ老化とともに様々な身体機能が急激に低下していってしまいます。短い時間でも運動してもらうことで、機能が低下するスピードを少しでもゆるやかにしていただきたいと思っています。

■運動器具

設備の中ではお風呂にも力を入れているそうですね。

お風呂は函館の同様の施設の中でも5本の指に入るほどの広さがあり、通常の銭湯のような作りになっています。浴槽も高温・中温・低温と3つに分かれており、体調や好みに合わせて入浴できます。お湯は温泉ではありませんが、長万部・二股ラジウム温泉のラジウム鉱石を入れており、利用者さんにとても人気があります。車いすに乗ったまま入浴できる設備も備えています。

入浴には危険も伴いますが、安全面はどのように確保していますか?

■広々としたお風呂(上)と機械浴(下)

浴室内と脱衣所に職員を1人ずつ配置し、見守りを行います。先ほども申し上げた通り、デイサービスは自宅で長く暮らせるための手助けをする場なので、「できる人はできることを自分でやる」が原則です。それ自体が生活支援訓練になるからです。体は動くものの、風呂場で転んだり倒れたりして万が一のことがあったら……と1人でご自宅のお風呂に入ることに不安を感じている利用者さんも少なくないので、職員が近くで見守っているだけでも安心してご入浴いただけているようです。入浴介助が必要な方は、もちろん介助いたします。

外出行事にも工夫があると聞きました。

みんなで車に乗ってどこかに行き、景色を眺め、レストランに立ち寄って全員同じものを食べて帰ってきました、だけでは生活支援につながらないと考え、「家族のドライブ」を演出するようにしました。施設としては事前に人数分の食事を予約しておくほうが楽かもしれませんが、家族のドライブでそこまで事前に決めていることはないはずです。ですから、当施設では現地に着いてから利用者さん各自に食べたいものを選んでもらい、自分で注文して自分で財布からお金を出して払う方式にしました。すべて日常生活に必要な動作なので、自然に生活支援の訓練になります。

■風呂上がりのドライヤー

体験利用も受け入れているそうですね。

■人気のウォーターベッド

体験利用はとても好評で、これまで体験利用された方の約8割はその後通所されています。当日は自宅までお迎えに上がり、9時30分に施設に到着。バイタル測定を行い、入浴、食事、レクリエーション、運動、と一日のメニューをこなしていただきます。午後3時にはおやつがあり、その後軽く足の体操をしてから帰宅となります。体験利用は食事代も含めて無料です。ご希望の方は、担当のケアマネージャーさんを通して当所にご連絡ください。また、見学はいつでも可能です。お気軽にお問い合わせください。

ま と め
「利用者さんは人生の先輩なので、敬意をもって接するように努めています」と話す塩谷さん。利用者をひとまとめにして同じレクリエーションや運動をさせるのではなく、その人個人の希望に合わせた運営をしているのもその一環です。個人行動を好みがちな男性にも合っているのか、一般的な事業所に比べて利用者に占める男性の割合が多いといいます。今後はこのようなデイサービスがどんどん主流になっていくのではないでしょうか。

(取材日:平成30年4月27日)


デイサービス ハート To ハート北浜
函館市北浜町5番10号 TEL 0138-44-1110
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