北海道がん対策サポート企業等に登録

美容業の立場からがん患者の就職を応援

株式会社Passage代表 久末 結佳
美容室パサージュ 函館市石川町350番地21
アピアランスサロン 函館市田家町12番16号 TEL 0138-46-8023(代)

抗がん治療などで生じた外見の変化を医療用ウィッグなど美容業として応援している㈱Passageが、北海道が実施している北海道がん対策サポート企業等に登録しました。これまでの経験を通して、今回の登録を機にがん患者さまの復職や再就職のサポート役として、さらに意欲的に取り組みたいという久末結佳代表にお話をお聞きしました。


「メディカルページ函館・道南版 2017年夏号」に掲載された記事です。内容は掲載時のまま表記しています。


■久末結佳代表

「これまでも函館だけではなく、市外のがん患者さまから治療に伴う脱毛のご相談をお受けしてきましたが、がんに罹られる方の現状や人数、がんに対する取り組みの実情が分かればなという事で登録させて戴きました」
北海道がん対策サポート企業等の登録について、㈱Passageの久末代表は、こう話します。
北海道がん対策サポート企業等登録は、がん検診の受診促進や受動喫煙防止対策の推進、がん対策の推進に関する情報提供などの取組を行っている企業や団体を道が登録するものです。その取組の中のひとつに、がん患者等に対する就労支援があります。㈱Passageの久末代表は、美容業の立場から就労支援には特に力を入れたいといいます。というのも、これまで治療中のがん患者の外見上の悩みを応援してきた経験と実績があるからです。

がんは仕事を続けながら治療する時代に

■北海道がん対策サポート企業等登録証

がん患者の生存率は年々高まっています。今は、がんも仕事を続けながら治療する時代です。昨年12月にはがん対策基本法が、がんになった人が働き続けられるよう、事業主に雇用継続への配慮を求めるように改正されました。一方で再就職に際して悩みを持つ、多くのがん患者がいます。就労したい、職場復帰したいというがん患者の悩みのひとつは、化学療法や抗がん剤治療を受ける場合に起きる脱毛です。
「がん患者さまは体力的な面で仕事を続けていけるだろうかと不安もお持ちのなかで、再就職のための面接を受けられたりしています。私どもは美容業として、外見的な悩みも抱えながら就職活動や復職をなさるがん患者さまをサポートしていきたいと思います」と久末代表は美容業としてのサポートについて話します。
抗がん剤治療を受けると、髪が抜けてしまいます。抜ける前にウィッグを付けて、職場復帰する人も多く、また、就職のための面接を受ける際に、脱毛状態では、面接官の印象も良くないのではないかと危惧して、面接のためのウィッグを用意するがん患者もいます。
以前の職場に復帰する場合でも、脱毛の悩みは一緒です。
「今は仕事を続けながら治療を受ける方が凄く増えています。でも、同じ職場に復職される場合、脱毛が完全に回復していない方は、職場にいつウィッグをつけていこうかという時期を大変お悩みになります」(久末代表)。

ウィッグを付ける時と外す時のタイミング

■医療用ウィッグ

抗がん治療の場合、一般的には1回目の化学療法を行った約14日後くらいから脱毛が始まります。でも、髪の毛のある段階からウィッグをして、職場に配慮してスムーズに復帰する人が多いのです。ウィッグをいつ付けるか、さらにいつ外すかというタイミングにも悩みがあります。
久末代表も「治療計画が出ていれば、いつ頃にウィッグをおつくりして、土日がお休みのお仕事であれば、土日にご自宅で練習をして、月曜日の職場復帰からウィッグをして職場に行くような計画を患者さまと立てる場合もあります。ウィッグをつければ簡単に仕事をして、生活出来るというものでは決してありません」とタイミングが重要と話します。また、外す時期についても、「治療後、ウィッグを外すタイミングもあります。まだ髪が伸びきっていないので、ウィッグを外せないというのであれば、どのような形で外す方向に持って行くのかとう問題もあります」と、その難しさを説明します。
治療前から治療後に髪の状態が戻ってくるまで、その変化に応じてウィッグの調整をしてくれる美容室パサージュの久末智光先生の技術力は、とても心強いところです。
「髪型を極端に替えられないという職種もあります」と久末代表は、次のように話します。「高齢者の方の介護施設の職員の方は、髪型が極端に変わると、入所者さんや通所者さんが驚いてしまうというお話もあります。接客業の場合、来客された方の印象も考慮して、外見の整え方が重要になりますから、そうしたサポートをさせていただいています」
また、ウィッグのデザインについても、「患者さまが、どの辺まで職場にお話しているかにもよると思います。ご自分からカミングアウトされる方もいますが、上司の方しか知らないという方は、周りの職場の方に知られたくないので、なるべくご自分の以前の髪型に近いものを希望されるケースもあります。その方の状況を私たちは考慮しながら、おつくりしていきます」(久末代表)

アピアランスで自己表現することの大切さ

■田家町のアピアランスサロン

「髪は、その方ご自身のパーソナリティをアピールする一部です。服装で自己表現するのと同じで、髪型でみなさん知らず知らずのうちに自己表現されているのです。ですから化学療法、抗がん剤で髪を失うということは、社会との関わり中でも、とても損失になっていることがあります。 がん患者さまが就労して、社会との接点を持つというのは、とても重要なのですから美容業として出来る限りサポートしていきたい。また、髪だけじゃなく、乳がんのために乳房切除された方のパットなども外見上を整えるという意味では、とても重要です。制服があるお仕事だったりすると、乳房を全摘された方などは気にされますので、そういう部分でもサポート出来ればと思います」(久末代表)
ウィッグに限らずアピアランスサロンでは補整下着なども扱い、がん患者だけでなく、多くの方のアピアランスを応援してきた久末代表。最後に企業としてのがん患者の雇用についても、「ご自身が体験者なので、親身になってしていただけると思いますし、今後は、そういう方を積極的に採用していけたらと思っています」と話しています。

(取材日:平成29年5月30日)

株式会社Passage代表 久末結佳 様 平成30年1月5日志半ばでご逝去されました。

 


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