お客様の要望から始まったアピアランス

治療で回復した後の長い人生もサポート

美容室パサージュ代表 久末 智光
美容室パサージュ 函館市石川町350番地21
アピアランスサロン 函館市田家町12番16号 TEL 0138-46-8023(代)

マンモグラフィ等による乳がんの早期検診の意識が広まる一方で、現代は2人に1人が、がんに罹患する時代といわれています。10年以上前から、術後の抗がん剤などの化学療法での外見変化を応援してきたのがパサージュです。アピアランスは外見という意味ですが、パサージュが目指すのは、外見を整えることで治療効果やQOL(生活の質)を向上させることです。石川町の美容室パサージュでの医療用ウィッグの取組みから始まり、田家町のアピアランスサロンでも治療中のQOLをサポートしています。


「メディカルページ函館・道南平成28年度改定版」に掲載された記事です。内容は掲載時のまま表記しています。

 

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■久末智光代表

「早期発見が呼びかけられ、若い方が早い段階でがんがみつかることも多くなりました。特に若い方は、子育て中だったり、仕事をされていたりしていますから、術後の化学療法中に医療用ウィッグを必要とされる方も多くいらっしゃいます」
美容室パサージュの久末智光先生は、こう話します。
もともとパサージュが医療用ウィッグを手掛けたのは、化学療法による抜け毛に悩む顧客の女性からの相談でした。単なるおしゃれ用のウィッグではなく、その人の髪の状態に合わせたウィッグの提供とともに、久末先生が長い治療期間に合わせてカット。術後のアピアランスに自信を失いかけていた多くの人たちを勇気づけてきました。
さらに奥様で毛髪技能士でもある久末結佳先生が、ウィッグに加えて補整下着などの相談に応じるアピアランスサロンを開設。これまで術後のアピアランスのために札幌や東京まで足を運ばなければならなかった地元の女性たちに感謝を受けただけでなく、遠くは九州からウィッグについて相談、パサージュから買い求めた女性からの喜びの声が届くようになりました。

『ケアガイドブック』で化学療法中の髪の変化を解説

■パサージュがお客様に差し上げている『ケアガイドブック』

■人毛100%のフルウィッグ

お店には、『ケアガイドブック』というパンフレットも用意されています。
『ケアガイドブック』は、化学療法を受ける人に限らず、すべての人が髪を健やかに保つために日常生活で気をつけるべきアドバイスから始められ、化学療法中の髪の変化とケアについては、化学療法を開始して脱毛が始まる頃、そして化学療法が終わってから、治療前と同じ髪の状態に戻る頃までのプロセスが説明されています。
もちろん、その間の髪のケアについても、「抜け始めても、いつもどおりにシャンプーを」、「脱毛中は、帽子やシャワーキャップで飛散防止を」などに加えて、「カラーリングは治療後、半年から一年後が目安」というアドバイスも書かれています。
「ケアガイドブックはお客様に必ず差し上げています。化学療法のプロセスと日数を書いていますが、特に乳がんの場合は、この日数に合致します。また化学療法が終わってから治療前と同じ状態に戻るまでの期間は2年。これも、みなさんほぼ同じです」と話す久末先生は、続けて―― 
「もともとパサージュの医療用ウィッグは、乳がん患者さんが術後に受ける化学療法に特化して始めました。その後、他のがん患者さんでも、ウィッグが必要になる方がいらっしゃるので、いろいろな対応を取ってきました。例えば、大腸がんの抗がん剤は、乳がんと違って髪は比較的抜けにくい。でも、前髪から上の方が抜けて来て、後ろの髪が残るというケースが多いので、上だけのウィッグを使いましょうというアドバイスをします。乳がんや子宮がんなど、女性特有のがんの場合は髪が抜けてしまいます。子宮がんの場合は、残念ですが、ほとんど抜けてしまいます」と話します。

アピアランスへの思いを大切に

石川町の美容室パサージュには、相談しやすい個室(上)も用意しています。

女性の場合、もとの髪型に戻るまでの2年間という長い期間にウィッグが必要なわけです。また、治療後に髪が伸びてくると、クセ毛だったり、白髪が増えたり、前髪の伸び方が遅く、襟足とのバランスが悪かったりと色々な悩みも出てきます。
「医療用ウィッグは、化学療法が始まる前につくることをお薦めしています。治療が始まると大体2週間くらいで脱毛が始まりますが、まだ髪のある時は、髪の上にウィッグが乗っているような感じがします。脱毛が進行すると、頭のサイズが2センチから3センチほど小さくなります。そうすると今度はウィッグが頭に深く入ることになります。そうした治療後の髪の増減を考えてウィッグをおつくりするのは、経験が必要になります。髪が無くなったときを想定して、ある程度形はつくりますが、最終的には髪の毛が更けてから調整させていただいています」
このお話にも医療用ウィッグに対する久末先生の長い経験が表れています。
アピアランスは、自分で自覚するものですから、ある意味では自己満足なのかも知れません。でも、他人から見れば“そんなに気にしなくても”というレベルが、本人にとっては、とても満足できない大きな問題なのです。
「女性の場合、アピアランスに対する思い入れは特に強いと思います。その気持ちをどうやってフォローしてあげられるかが大切だと思っています」と久末先生は、最後に語ってくれました。

(取材日:平成28年11月10日)

株式会社Passage代表 久末結佳 様 平成30年1月5日志半ばでご逝去されました。


 

株式会社Passage
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