「治療用食品・介護用食品」─取材レポート/その10 お客様一人ひとりに健やかな生活をお届けする治療食・介護食の(株)アキヤマが取り組む「予防食」の提案

株式会社アキヤマ 業務用食材・資材・機器専門商社
北斗市東前3-41 TEL 0138-77-7491

akiyamarepo02_02創業以来、業務用食材の専門商社として道南一帯の業界を牽引してきた(株)アキヤマ。外食産業向けの食材提供を大きな柱として事業を展開してきた同社だが、ここ数年は治療食品・介護食品の分野を柱とした新たな事業を展開、実績を伸ばしている。今や同社の中核的存在の事業へと発展した治療食・介護食の分野だが、そもそもどのような経緯があってこの事業に取り組んで行ったのか。さらに新たに同社が提案する「予防食」とは、一体どのようなものなのか。小林周平常務に話を伺った。

来るべき高齢化社会を見据えたサービス

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■新商品ご紹介

『ラクトフェリンとビフィズス菌』
『うるおうグルコサミン』


同社が扱う宅配専用商品の中でもとくに好評な商品がこちらの2点。こうした商品を通じて同社が治療食・介護食を手がけることを知るお客さんも多いという。

「当社が治療食、介護食の分野に取り組んだのは今から9年前の2005年、医療関係の施設に食材を提供する全国病院食卸売協同組合(全病食協)に加盟したのがきっかけでした。現在でこそ4人に1人が65歳の高齢化社会であることが広く認識されていますが、当時は高齢化によってどのような社会ニーズが求められるのか、各社ともに共通のビジョンもなく、治療食品・介護食品の商品のバリエーションも充実しているとは言えない状況でした。」
全病食協に加盟した当初は、お客様を訪ねては間近に迫った高齢化社会の食のあり方を説明して回るという日が長く続いたという小林常務。地道な努力の甲斐もあり、その後訪れた高齢化社会のニーズにも対応した同社は、この分野の先駆けカンパニーとして知られることとなり、今では2000アイテムを超える商品を取り扱う「治療食・介護食のアキヤマ」として事業を展開している。一方、治療食品・介護食品のマーケットが注目されたことで、同業他社が一斉にこのマーケットへ参入を始めていると話す小林常務は、「今や食材の業界においては、治療食品・介護食品の分野は必須事項であり、各社は足並みを揃えて参入し始めています。当社としても、先行の利だけに甘んじていたのでは足元をすくわれてしまいます」と危機感を示す。
そんな折に起こった東日本大震災。命の尊さを目の当たりにし、健康で健やかな日々の生活を送ることの大切さを再認識したという小林常務は、健康な人が健康でいるための食品提供という青写真を描き、早速、事業化にとりかかった。
「これまでは介護の必要な方や病気を患った方に対してサービスを提供してきましたが、病気とは無縁だった健康な方にも、日々健やかな生活を送り続けるためのお手伝いをさせていただこうと思ったのです」。
治療食・介護食に対し、健康に気を遣い、病気を予防する食事という意味合いを込めて「予防食」と呼ぶ小林常務。これまでは健康に無関心だった人にも普段の食事との違いを知っていただき、さらに治療食・介護食という食のジャンルの存在を知ってもらう上でも、予防食の普及は早急な課題だという。

健康の秘訣である「習慣化」も提供

健やかな生活を送るための「予防食」だが、毎日摂取することを習慣づけることで、より高い効果が期待できると小林常務は話す。そこで同社では、3年前から参入した宅配事業の起動力を活かし、予防食を毎朝戸別に宅配するサービスを行っている。
「社会のニーズも変わり、今やコンビニエンスストアや大手ファーストフード店が宅配サービスを行わざるを得ない時代になっています。こうした現状を見据えて当社では3年前より宅配事業を展開し、既に800件を超えるお客様に宅配サービスを提供しています。「朝食とともに予防食を」という当社の取り組みが功を奏したのでしょう。お客様からは「膝の具合がいい」「調子が良くなった」というお言葉を度々いただくようになり、大変励みになっております」。また、同社が宅配する商品は予防食だけにとどまらない。治療食品・介護食品はもちろんのこと、一般の食品から業務用食品に至るまで広く宅配に対応。「将来的には、お客様一人ひとりに合わせた食材の日替わりデリバリーサービスも提供していきたい」と話す小林常務。もちろんこうした幅広いサービスは、食品の総合商社としての長い経験と実績を持つ同社だからこそ実現できるサービスだと言えるだろう。

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akiyamarepo10_1306_08■カップ麺
意外にも治療食品・介護食品コーナーの中で人気が高いというたんぱく質を調整したカップ麺。同社併設ショップ「ワールドグルメプラザ」では豊富な種類の商品が用意され、誰でも気軽に利用できる。
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■(株)アキヤマ 小林周平常務

学ぶ機会と場の提供

(株)アキヤマでは現在、同社の取り組みや業務内容を業者から一般のエンドユーザーにまで広く知ってもらおうと、各種のイベントや広報活動にも力を入れている。そうした取り組みの一つとして、平成25年6月27日には北斗市東前のアキヤマ研修室とワールドグルメプラザにおいて、「治療食・介護食フェア(仮題)」の開催を予定。準備も最終段階に入っている。当日は各商品の試食をはじめ、治療食・介護食を利用したアレンジ料理のレシピの紹介も予定されおり、食を通じて「高齢化」ということについて意識を持つきっかけを持ってもらえればと小林常務は考える。
「一人でも多くの高齢者が食事を楽しみ、元気で長生きできる明るく豊かな社会の実現のために尽力していきたいですね」。
同社の今後の取り組みに注目したい。


(取材日:平成25年4月17日)