データの打ち込みを音声入力に転換でスタッフのケア業務を簡素化!
AIアプリ・ソフトを活用する白ゆりグループ・メディカルシャトー
㈱メディカルシャトー函館:函館市美原2丁目50-2 TEL.0138-34-3231 https://www.shirayuri.gr.jp/
DXにより介護事業を進化させる白ゆりグループ(㈱メディカルシャトー・代表取締役佐藤文彦氏)。音声入力により従前の手打ち入力作業を簡素化。AIを活用したソフトウェアで介護業務に集中できる時間の確保と情報共有を進めている。同社のDXチームが開発した音声入力システムなど新しい取り組みを㈱メディカルシャトー函館・函館介護本部佐藤邦広部長に紹介してもらった。 「メディカルページ函館・道南版 2025年夏号」(令和7年7月20日発行)の冊子に掲載された記事です。 |
データの音声入力が可能になったのですか

■佐藤 文彦 社長
弊社では、様々なことをDX化することで、介護サービスの品質向上を目指しており、スタッフの業務効率化・負担軽減に向けて、多くのことにチャレンジしております。現在進めているのが「記録の音声入力」です。昨年の5月くらいからスタートし始めていますが、「介護記録」「会議録」「業務日報」の3つを音声入力しています。
どういったものでしょうか?
まず、「介護記録の音声入力」ですが、これは㈱ケアコネクトジャパンが開発した“ハナスト”というソフトウェアを使用しています。元々、同社製の介護ソフトにおいてipadで記録を入力する「ケアカルテ」を使用していたことから、導入しました。スタッフ一人ひとりに骨伝導式のイヤホンを装着してもらい、スタッフが話した業務内容を音声データ化して記録をするものです。音声入力方法は簡単で「記録。〇〇様 血圧上〇〇、下〇〇、脈拍〇〇、体温〇〇」といった感じで話すだけです。また、介護記録はプライバシーの尊重のため、例えば排泄状況について音声記録をしようとする時は「〇〇様 排泄①(まるいち)」と記号化して話すので安心して使用できます。
また、ハナストはインカム機能もあるため、スタッフ同士が離れた場所で会話できます。スタッフが少ない時間帯に誰かに支援を求めるときや緊急の対応時にとてもありがたいですね。
イヤホンも骨伝導式のため、周囲の声も聞こえ、コミュニケーションを取りながら記録することが可能です。

■ハナスト:スタッフはインカムとスマホを装着して業務。 話した内容はスマホに転記される。
話すだけという業務効率化ほかにメリットはありますか
一番は忙しいモーニングケアやナイトケア時にとても役に立つという印象ですね。今までの記録は「一連のケアが終了」→「記録するのにステーションに戻る」→「ipadで入力」といった流れでした。複数人の方をまとめて記録すると、記録に抜けがでるなどの不具合が生じてしまったり、そもそもステーションに戻る時間が忙しい時間帯になればなるほどもったいないと感じていました。ハナストはひとつのケアが終了した時点で、その場で音声で記録が取れるので、非常にタイムリーです。また、スタッフの動線が変わり、業務の流れもかわってきます。今までの1日の総記録時間を考えると今のところ40分ほどは短縮できています。小さな時間に感じますが、1ヶ月単位で考察するとかなりの時間工数の削減につながっています。今はショートステイ白ゆり乃木で導入していますが、今後は順次、他事業所にも導入を進めて行く予定です。
議事録作成ソフトについて教えてください

■佐藤 邦広 部長
弊社のみならず介護事業所では様々な会議やミーティングを行っているかと思います。事業所内での会議だけではなく、利用者様やご家族、関連機関などとも行います。特にケアマネジャーさんのような他職種との連絡調整が必要な職種は、サービス担当者会議など介護保険上で決められた会議もあります。弊社でも多くの議事録を作成しておりますが、議事録作成は多くの時間を要していました。そんな悩みを解消すべく、(株)Scovil(スコビル)社に協力して頂き、「noman(ノーマン)」というソフトウェアを開発して頂きました。このnomanの特徴は、「会議の音声データをもとに介護現場に必要な議事録を作成してくれる」というもので、AIが音声を解析し要約します。要約までの作成時間は1分~5分程度。「社内会議」「モニタリング」「担当者会議」「支援経過記録」などそれぞれにあった会議体のひな形を選ぶことができるのも特徴です。時に会議中にきつい表現の言葉や不適切なワードがでてしまってもすべて適切な表現にAIが変換します。

■noman:PCやスマホに録音されたデータをAIが要約。 介護に適したひな形で議事録を作成する。
弊社では担当者会議やそれぞれの事業所の業務会議、帰りのミーティングなど使用しています。導入後は、議事録作成の時間工数の削減はもちろんですが、書記にお願いしたり、各自でメモを取る必要がないので、「記録やメモを取るのに一生懸命な会議」ではなく、「みんなが会議の議題に集中して、話し合いに参加できる会議」になっています。時間短縮だけでなく、そういった良い効果も実感しています。
DXチームが作り出したものもあるのですか
はい。3つめにご紹介するのは「業務日報を音声入力で作成する」といったものです。これは弊社のスタッフがGoogleのスブレットシートとフォームを利用して作成したもので、“ハナスト”や“noman”の発想をもとに自分たちで考えてつくりました。
主に弊社のショートステイの生活相談員が使用しています。業務日報の内容としては、ケアマネジャーさんからご連絡を頂くご相談内容や利用予約、ご家族からのお問い合わせや、その他職員間の連絡事項などを記載しています。ありがたいことに毎日多くのお問い合わせやご連絡を頂いておりますが、その都度、その内容をパソコンに記録すると多くの時間がかかります。生活相談員の業務はお問い合わせの対応のみならず、ご自宅への訪問や契約業務さらに送迎業務などの外勤があり、施設内では介護スタッフとの連絡調整など多岐に渡る仕事があるため、いつも業務過多になりやすくなります。そこで日誌も音声入力をしてもらうことで、簡略化を目指しました。手作り感があるシステムですが、同時にお問い合わせの内容をデータ化し、可視化するようにもなりましたので、その事業所ではどのようなお問い合わせが多くあるのかを分析できるものになっています。
音声入力はまだまだこの業界では一般的ではないかもしれませんが、これから数年かけて進化していくと思います。私たちもまだチャレンジ段階ですが、常に新しいことを取り入れながら、よりよい介護サービスへと結び付けられればと思っております。
(取材日:2025年5月20日)