漢方外科の診療とはどのようなものでしょうか。
漢方医は、標榜上「漢方○○」としか表記できないため、私の専門である漢方”外科”としています。もちろん外科診療にも多くの漢方を組み合わせていますが、手術がなくても(笑)漢方診療を希望される場合は気張らずご相談ください。

■スマホに表示する養生アドバイザー(左)と漢方パスポート
以前から通常の外科診療に加え、漢方を積極的に取り入れてきました。より修練を積んで漢方専門医を取得し、西洋医学のみでは対応が難しい場面でも、漢方(東洋医学)の良いところを組み合わせた診療を心がけています。例えば、便秘症の診療をとっても、漢方では多数の方剤※2があり、患者さん一人一人に合わせた組み合わせを考えて対応しています。
今は通常の漢方診察に加え、医療DXを先取りしAIを導入した漢方診療にも取り組んでいます。具体的には、当院を受診され希望される患者さんにはスマートフォンでデジタル問診票も記入いただきます。問診と私の診察所見をあわせて処方(エキス製剤)を決定し、患者さんのスマートフォンと情報を連携します。
患者さんは、その処方を服用いただいた上で、日常生活の過ごし方や選ぶべき食事や具体的なレシピなどのいわゆる”養生”に関する情報をAIが24時間回答してくれるという「AI養生アドバイザー」機能を利用できるシステム(KAMPO 365 works※3)を導入しています。
今は医療DXの時代で、デジタル技術やAIをどう組み合わせるかを考えていましたが、それを開発・運営しているVARYTEX(ヴァリテックス)株式会社を学会で知って、AIと絡めた患者さんへのサービス提供を契約しました。それが漢方診療支援プラットフォームのKAMPO 365 worksです。

■漢方デジタル問診票
限られた診察時間で、漢方薬や証※4の情報をすべてお伝えするのはなかなか難しいのですが、QRコードを読み込んでもらえば、患者さんへLINE連携で漢方薬や証の情報をお知らせできますので、自宅でもゆっくり確認することができます。
また養生※5方法も教えてくれます。おばあちゃんの知恵ではありませんが、例えば”体が冷える時は生姜湯や葛湯をのむ”といった昔から脈々と受け継がれてきた健康の保ち方が養生です。患者さんは自分の証に合わせた食事や過ごし方を、24時間いつでもAIにアドバイスしてもらうことができます。まだサービスとしてはじまったばかりで、AIもより進化していくとメーカーでは話しています。
今まで漢方の診察は熟練の先生方のみが理解できるような難解なものが多く、取り入れにくいところがありましたが、このシステムを用いることで、診断がより容易になる部分もあると思います。また、患者さんに漢方薬や養生に関連した詳しい情報提供ができるので、皆さんの安心や健康の増進に繋がるのではないかと思っています。
外科あるいは肛門外科など、どのような症状の時に受診すればよいのでしょうか。
対応している領域が幅広いだけに難しい質問ですね。ケガをしてしまった、腫れて熱があって膿が出ている、などの日常の困りごとでも構いません。便秘や肛門のことはなかなか相談しにくいことも多いと思いますので、気になったらまずはご相談ください。
先生から地域の方にお話ししたいことがありましたらお願いします。
昨今の報道のように、世間では外科医の減少が続いています。道南函館も例外ではなく、特に函館出身として気軽に相談できる”町の外科“が減っているという危機感がありました。加えて、便秘も肛門の病気も困っている方は多いのですが、相談できるところが少ないと感じていました。
外科外来を開設するにあたり、私の外科専門医、消化器外科専門医、漢方専門医としての経験を少しでも役立てることができ、安心して過ごせる方が増えて欲しいと考えています。肛門疾患も対応するなんでも外科、と考えてお気軽にご相談ください。 4ページへ▶