一般の外科診療に加えて専門性を生かした診療も行っていらっしゃるとお聞きしていますが、どのような診療でしょうか。

■フルハイビジョン・デジタル肛門鏡による診察
専門医制度では、大きな基礎としての外科に加え、専門領域の修練を積む形になっています。私は日本外科学会外科専門医・指導医ですが、基礎領域としての一般外科に加え、日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医として診療を行ってきました。消化器外科は胃や大腸、肝臓・胆嚢・膵臓等の臓器を扱う外科で、大病院に勤務していた際は、胃癌、大腸癌などの悪性疾患や、胆石、ヘルニア、虫垂炎などの良性疾患まで幅広く手術や術後治療を担当してきました。
中でも特に大腸や肛門の下部消化管を得意としており、肛門疾患や便秘症の治療を多く経験してきました。外科といえば手術のイメージですが、手術しない治療もありますので、肛門疾患や便秘症でお困りの方にも気軽に相談していただきたいと考えています。
肛門外科は肛門疾患に限った診療になるのでしょうか。
肛門疾患には排便管理が重要と考えていますので、便秘症だけでお困りの方ももちろん診療します。肛門外科と銘打っていますが、一般外科として日常疾患の診療を幅広く行っています。日帰り手術も対応していますので、粉瘤や、日常のケガ(切り傷・擦り傷・刺し傷)、軽い熱傷、陥入爪(巻き爪)なども診療しています。
特に、痔核(いぼ痔)については切らずに注射で固めて治すALTA療法も導入しており、手術と硬化療法のハイブリッド手術など、多くの方に日帰りでの治療が受けられる体制を整えています。肛門疾患も対応する外科、と考えてお気軽にご相談ください。
痔の手術も日帰りで受けられるのですか。

■クリニック3階の手術室
日帰りで痔の手術をしている医療機関は函館では少ないと思います。痔核の手術は、午前中に受けていただいて午後には帰宅いただくことができます。先日、当院で手術を受けた患者さんは、“札幌で手術を受けようと思っていたけど、函館で受けられてよかった”と話しておられました。そういう意味で函館・道南地域の受け皿になりたいと考えています。
日帰り手術が可能なのは自立された元気な方を基本としています。仕事の関係で入院できないという方や、結局は安静が主になるのなら入院(病院)ではなく家でゆっくりしたいという方もいらっしゃると思います。ただ、ご高齢の方や心不全などの重い併存疾患がある方は、入院設備のあるところで手術をうけられる方が良いと思います。
また、麻酔薬を絶妙にカクテルしたり、神経ブロックを併用するなど、バランス麻酔を意識し複数の麻酔方法を組み合わせて副作用が少なくできるだけ痛まない手術を心がけています。これまで自分がかかわった多数の手術や術後管理の経験に加え、麻酔科の先生に教わった知識、札幌や東京で日帰り手術を専門とされている先生方に伝授いただいたコツなど、今までの経験すべてが役に立っていると実感しています。 3ページへ▶