工業から産業へ 創業40周年の先に目指す企業展開
有限会社河村工業 函館市本通2丁目54番27号
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1984(昭和59)年4月、現会長の河村末明氏が創業した河村工業は創業40周年を迎えた。2年前の2月、函館市本通2丁目に営業拠点を開設。さらに同年3月には末明氏の子息河村悦郎氏が社長を継承した。河村社長に会社を継承した理由を聞くと、「私が一人っ子だったことも要因としてあります」と話す。「運動会や学芸会、旅行にも来なかった」と父の末明氏について語る河村社長。『いつお客さんから連絡が来るか分からない。日曜日しか時間が取れないお客さんもいる』との理由からだった。
そういう仕事一筋の父親が始めたのは塗装事業。一般的に標準的な仕様で約10年間の耐用年数があるが、長持ちさせるためにはメンテナンスは必須の仕事だ。
「10年後に塗装を必要とするお客様がいるのに今、父が会社を畳んだら、その責任を誰がどうとるのか」との思いも河村社長にはあった。そして、コンサルタントとして河村工業の財務諸表をすべて見た河村社長は、業績拡大の可能性を感じたとも話す。「この会社は河村の名前を継ぐ自分がやるしかない」(河村社長)と継承を決意したという。
エネルギー事業、AI、DX事業へ進展進む
河村工業は創業40周年を迎えた今年、ホームページを一新した。刷新された会社概要には、従来の建築塗装業、トータルリフォーム、経営コンサルティングに加え、新たに各種エネルギー事業が追記された。この新規事業について、河村社長は次のように説明する。 「2020年頃から構築に取り組んできたオンサイトPPAを、6月から本格的に開始しました。これは初期投資ゼロで太陽光発電設備を導入できる画期的な方法です。当社の塗装工事顧客から太陽光パネル設置のニーズを多く耳にしており、それに応える形で開発しました。経営資源の最適化を目指す企業を対象に、電気代はスポンサー企業に負担してもらうのがオンサイトPPAの仕組みで、6月現在で国内大手8社がスポンサーになっていると聞いています。」(※申し込みには審査がある)
河村工業はオンサイトPPAの募集窓口となり、まずは函館を中心とした道南地区からスタートする。最終的には全国展開を見込むが、地元重視の理由として河村社長は「責任を持って対応できる範囲から始めたい」と語る。さらに一般消費者向けの蓄電池システムの開発も進行中で、各種エネルギー事業の拡大が期待される。今後、AIやDX関連事業への参入も計画中だ。その第一歩として、河村社長自ら社内向けに画像生成AIを開発。同社のマスコットキャラクター「エゾオオカミのリヴ君」が要望に応じて絵を描く、親しみやすいアプリケーションだ。(アプリはこちらから→https://rivai-the-painter.created.app/)
同社が社名に「塗装」を付けずに河村工業としたのは、塗装業に限定されず建設業として、すべての工種で仕事ができる会社を目指す思いからだ。
2024年現在、あらゆるリフォームの窓口として顧客に最適な工事を提案できる体制を整えた同社。二代目となる河村社長が今後目指すのは、建設全般を超えた「工業から産業への飛躍」だ。 40年の実績を基盤に、伝統と革新のバランスを取りながら新たな挑戦を続ける河村工業。地域に根ざしつつも時代の先を行く同社の今後の展開が注目される。
(取材日:2024年6月7日)
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