ウェルキャブ車愛用者インタビュー :ポルテ(サイドアクセス車/脱着シート+専用車いす仕様)

函館トヨペット株式会社
函館市石川町169番地35 TEL 0138-46-2111

toyopet7_01「ウェルキャブ」とは、福祉(ウェルフェア)と客室(キャビン)を合わせた福祉車両を表すトヨタの造語。函館トヨペット(株)では「すべての人に移動する自由を」をコンセプトに、石川店店舗内に「ウェルキャブステーション」を設置。福祉車両を展示して、道南地域での普及に努めています。そこで、前号に引き続き、ウェルキャブ車を購入して日常生活に取り入れているお客さまに、実際の使い心地や利用してみての感想を伺ってみました。


※「メディカルページ函館平成22年度改訂版」(平成22 年10 月29 日発行)の冊子に掲載された記事です。内容は掲載時のまま表記しています。

ウェルキャブ車を購入されたのはどんなきっかけですか?

主人が脳梗塞の影響で全然動けなくなって、家で私1人で介護するのであれば、やっぱり必要かなと思ったんです。入院して手術したあと、リハビリの期間が半年ありました。家での生活を再開する準備として、歩けるまではいかなくても、私が動かせる状態までがんばってもらう一方で、私も車いすに乗せられるようにとか、体を動かせるようにとか、いろいろ学びました。それに加えて、自宅に連れて帰る前に車を用意したいと思ったんです。
家で寝たきりの状態であったら、生活に刺激もないし変化もない。私も家にしばられますしね。たとえばどこかに買い物に行くとしても、遠くのときはなるべく一緒に乗せていきたいなと思いました。

toyopet7_02どのように探されたのですか。

始めは何もわからなくて、中古車センターに行ったりしましたが、探してみてもすぐにというわけにはいかないと言われました。それで、主人の乗っていた車がトヨタ車だったので、相談してみたら「ありますよ」と言う返事。当時はショールームもなくて、カタログを見て注文して、ぶっつけ本番でしたね。
最初のウェルキャブ車はイストでした。その前は軽自動車に乗っていたので、違和感なく選んだのかもしれません。運転するのが私だから、見た目も大事(笑)。それに、その頃はうちの車庫が小さくて、なるべく小さいのがよかったんです。

今は2台目にお乗りですよね。

1台目は5年近く乗っていたんですが、車いすから助手席のシートへの乗り換えが毎回大変で…。もちろん、助手席は電動で回転して車の外にスライドしてくるけど、たとえば雨の日や吹雪の日は、どうしても乗り換えるまでに車のシートが濡れてしまいます。その上に座ってもらわなきゃいけないのが、本当につらかったですね。
それから、乗ってきた車いすをたたんでトランクにしまうのもけっこう重いし、ハッチバックを開けると冷たい風が中にビュンビュン入ってくるから、いくらヒーターかけてたって乗ってる人は寒かったと思いますよ。私は体を使ってるからホカホカしてたけど(笑)。でも、傘をさしてはできないから、それはそれで大変でした。
それで、函館トヨペットの中山さんに「ポルテなら、助手席のシートがそのまま外れて車いすになるから、ずいぶん楽ですよ」って勧められたの。最初はまだ買い替える気はなかったんだけど、「歳とともに足腰も弱ってきますので今から使い勝手の良い方に乗り替えしてみたらどうですか?将来奥さんが腰を痛めたりしたら、ご主人が困るのでは」と説得されて、今年初めにポルテに買い替えました。

買い替えてみて、いかがでしたか。

■インタビューにこたえる南條礼子さん(63歳)と、ご主人の南條哲彌さん(64歳)。七飯町在住。 平成17年からトヨタのウェルキャブ車を使用。 平成22年1月、ポルテサイドアクセス車(脱着シート+専用車いす仕様)を購入。

■インタビューにこたえる南條礼子さん(63歳)と、ご主人の南條哲彌さん(64歳)。七飯町在住。
平成17年からトヨタのウェルキャブ車を使用。
平成22年1月、ポルテサイドアクセス車(脱着シート+専用車いす仕様)を購入。

主人がいちばん喜んでるんじゃないかな。新しい車がきたら、何だかニコニコしてね、表情が違いましたもの。車のシートが車いすになるわけだから、クッションがきいてて座り心地がいいし、座ったままガチャッと固定してスッと上げて、着いたらまたスッと下ろしてガチャッとはずして、そのまま出かけられるとなると、乗り降りに時間がかからなくなって、寒くもありませんからね。
それから、主人は背が高くて脚が長いから、走っているうちにひざがダッシュボードにぶつかったり、頭も窮屈だったりしたのが、広々となりました。奥行きがずいぶん違うし、車高も高いですから。うちの車庫も改修して天井が高くなったから、ポルテでも入るようになったのがよかったです。

車で出かけるときは、どのような段取りでしょうか。

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専用車いすも、操作は脱着シートとほぼ同じ。乗ったまま、助手席のスペースに固定することができます。こちらは車輪が大きいので、雪の日の外出に備えて購入されました。

病院や買い物に行くときは、ベッドからこのシートタイプの車いすに乗り換えて、家の中から外に出て、そのまま車にガチャッと乗せてスッと出かけます。出先でも、ガチャッとはずしてそのまま表に出て、私が押して歩く。ベッドにいるとき以外は、車の中も含めてこの1台ですみますね。診療室の中まで大丈夫ですし、大型のスーパーなんかも平気。見た目は大きそうに見えるけど、タイヤの通る幅は普通の車いすと同じなんですよ。押してみるとタイヤが小さい分、重く感じるのは確かだけど、ほとんど平らな所だから気にならないって言えば気にならない。クッションの車いすってあんまりないから、外に行くとみんな珍しがって、「あれ!?」っていう感じで見ていきますね。

お二人で出かけられる機会はどれくらいありますか。

通院はだいたい月に3~4回で、そのほかにも風邪をひいたりすると、その都度出かけます。あと、買い物も、車いすの通れる余裕のある大型スーパーには一緒に出かけますよ。あちこち見て回ると、たとえばみかんがあったら「みかん100円」って書いてあるじゃないですか。それで、ものと言葉が結びつく。リハビリの先生から、そうやってものを覚える訓練をしましょうって言われましたから。店の窓から海が見えたりすると「今日波が大きいね」とか、「今日は中の方に犬がいるから見ようか」とか、いろいろ話しかけながら歩きますね。
あと、クリスマスのときも、飾りつけがきれいなところがあったら一緒に行きます。昼間でしたけど、西波止場にも行きましたよ。

ドライブもされるんですね。

今年は行けませんでしたが、だいたい毎年春になると、西大沼の水芭蕉、五稜郭公園の桜、それが終わったら、森の国道沿いや土手の遅咲きの桜、きれいな色の濃い桜を見に行きます。ちょっと混んでいますが、車から降りて車いすで散歩もします。紅葉の季節になると、大沼の公園から大沼プリンスホテル付近をドライブします。秋は寒いので車の中から見るだけですが、ポルテは窓が大きいので眺めが結構いいですよ。
私1人で遊びに行くことはできませんが、いっしょにいろいろ見に行けるのは、この車があるからですね。日常のちょっとした買い物でも、気軽に乗っていけて、季節や街の変化が感じられるので、主人にとって一番いいと思います。


シートタイプの車いす、脱着はらくらく

toyopet7_05スライドドアを開けて、リモコンのスイッチを押すと、助手席のサイドアクセスユニットが回転して車外に出てきます。(写真①)脱着シートに乗ったまま後ろ向きにセットし、上昇スイッチを押し続けると、シートが上昇し、回転して車内へ収納されます。(写真②)その動きは、驚くほどスムーズ!
「座ったまますべてが行えて、雨の日の外出も苦にならなくなりました。乗せ換えがないので、私の体も負担がうんと軽くなりましたし」と奥様の礼子さん。

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(取材日:平成22年9月30日)