「治療用食品・介護用食品」─取材レポート/その9 新しい食文化を提案する食品総合商社(株)アキヤマ

『業務用食材・機器フェア2012』開催

株式会社アキヤマ 業務用食材・資材・機器専門商社
北斗市東前3-41 TEL 0138-77-7491

akiyamarepo09_1211_02業務用食材の専門商社(株)アキヤマは、今年で43回目となる「業務用食材・機器フェア」を10月1日から2日にかけて函館の流通ホールにて開催した。
食材メーカーや包装資材・調理機器のメーカーなど95社が参加、外食産業従事者や病院・学校給食関係者などが訪れてにぎわった。
 (株)アキヤマでは治療用・介護用食品の卸や小売を行っていることから、このフェアでも各メーカーとアキヤマによる治療用・介護用食品の展示が行われた。今回はキューピー(株)の担当者とアキヤマの担当者や経営陣から治療用・介護用食品の最近の動向や今後の展望などについて聞いた。

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■キューピー株式会社札幌支店 ヘルスケア営業課 管理栄養士 永谷貴詠(ながや きえ)さん

まず紹介してくれたのは、新商品の「ごはんにあうソース たまご風味」。熱々のご飯にかけると玉子かけご飯風になるというソースだ。高齢になるにつれて食が細くなり、必要な栄養が不足しがちなお年寄りに向けて開発された商品。かつお風味のだしと醤油で味付けしており、卵黄の風味豊かな味わいが食欲を増進させる。軽くよそったご飯1膳(200kcal)に1袋(10g・60kcal)をかけるだけで約3割のカロリーアップになるため、食の細いお年寄りにはうってつけ。食塩相当量は1袋あたり0.4gで、腎機能が低下した高齢者に十分配慮されている。

病院や高齢者施設等では安全面への配慮から生卵の提供を控えるケースが少なくないが、患者や高齢者からは「玉子かけご飯を食べたい」との声は根強くあるといい、特にそうした現場で喜ばれているとのこと。商品化にあたってはマヨネーズメーカーであるキューピーならではの技術を活かし、なめらかさと日持ちの良さ(常温で6か月の賞味期限)を実現したという。「ごはんにあうソース たまご風味」は基本的には業務用のため、現状では個人での少量購入に対応していないとのことだが、病院や施設の給食では今後重宝されていきそうだ。

永谷さんが次に紹介してくれたのは、紙パック入り飲料「ファインケア」。125mlで200kcalものカロリーを補給することができる栄養補給飲料だ。味のバリエーションも豊富で、固形食品では食が進まない高齢者でも手軽に飲める少量サイズであることから、病院・施設等で広く活用されているとのこと。一部商品はドラッグストアなどでも販売されており、一般家庭でも活用されている。

次に、近年著しく進歩しているという治療用・介護用食品の動向について株式会社アキヤマの根本琢己営業部長に聞いた。

介護用食品というと従来はどうしてもドロドロしたものがほとんどでしたが、最近は食材の形が残っているものがどんどん開発されています。今日展示しているのは、スパゲティ、牛丼、チキンカレー、うどん、豆腐と玉子のあんかけなどですが、どれも歯茎でつぶすことができる柔らかさです。歯茎で噛むことのできる漬物も発売されています。漬物のポリポリ感はありませんが、それでも漬物が食べたいという高齢の方には喜ばれています。このように、各メーカーによって介護用食品の幅と種類が大きく広がっているのが最近の動きだと感じます。

やはり、各メーカーの競争によって介護用食品も向上しているということでしょうか。

種類が増えるとともに、味も見た目も一般食品と遜色のないレベルに上がってきています。また、全体的に介護用食品の価格が下がってきていることもお客様に直結する大きな効果かと思います。一般食品に比べてまだ割高ではありますが、各メーカーの競争によってだいぶ手頃になってきています。
最近では、介護用食品の冷凍食品も発売されています。主菜と副菜が1食で食べられる量になっているおかずセットで、値段も手頃です。治療用・介護用食品は今後もますます進化していくと思いますので、私たちもしっかりと動向をとらえていきたいと思います。

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■介護食コーナー
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■(株)アキヤマ 根本琢巳営業部長

 


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■『業務用食材・機器フェア2012』会場内の様子

◆小林周平常務からのメッセージ

■(株)アキヤマ 小林周平常務

■(株)アキヤマ 小林周平常務

当社ではお客様に適切な商品をお勧めするため、治療用・介護用食品の勉強会を社内で行い、試食を行うなどして社員全体で商品知識を高めるための取り組みを行っています。どれを選んだら良いかなど、商品に関してお困りの際はぜひご相談ください。
アキヤマは食品卸業としていち早く治療食・介護用食品の卸と小売を手がけてきましたが、今後も当社ならではの強みを活かしていきたいと考えています。現在当社では牛乳の宅配事業を展開していますので、今後はその仕組みを活用した宅配サービスの構築を進めていく考えです。また、現在行っている食事療法に関する料理教室を引き続き継続し、各ご家庭で調理を行えるようにサポートしていきたいと思います。

◆小林久周社長からのメッセージ

■(株)アキヤマ 小林久周社長

■(株)アキヤマ 小林久周社長

外食産業は成熟しきっており、競争も激化しています。今や外食産業のライバルはコンビニと言われており、何から何までコンビニですむ時代です。そんな中でアキヤマは、手づくりで鮮度の良い食品を提供している外食産業を引き続き応援し、またそのことを訴えていく考えです。
また、外食産業が飽和状態にある中で、治療用・介護用食品の分野は業界全体がどんどん伸びています。当社としてもその分野をさらに伸ばし、介護に役立つ商品を扱う他業種の企業と手を組み、お客様に役立つ商品やライフスタイルをトータルでご提案していきたいと考えています。


(取材日:平成24年10月1日)