心臓血管外科で足の痛みやむくみに対処。訪問診療を通して医介連携システム構築

clm_140318_konishinaika_docこにし内科・心臓血管クリニック 小西 宏明 院長
函館市末広町3番15号 TEL 0138-83-2080
https://www.konishi-clinic.net/

診療科目のひとつに心臓血管外科を標榜する「こにし内科・心臓血管クリニック」が平成26年4月に開業しました。一般には、まだ耳慣れない心臓血管外科の診療に該当する自覚症状とは何か。また内科や訪問診療も併せて展開する同クリニックの特徴と開業の目的について院長の小西宏明先生に伺いました。


「メディカルページ函館平成26年度版」(平成26年6月1日発行)の冊子に掲載された記事です。※院名や役職、また内容についても取材時のまま表記しています。

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■小西宏明 院長
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■外観は、旧帝国ホテルを設計した米国の建築家フランク・ロイド・ライトのデザインを意識しています。

 

標榜している心臓血管外科とはどういう診療科なのかを教えてください。

簡単にいえば、心臓と血管の病気に対する外科治療を行う科です。心臓血管外科医は専門医制度で、心臓血管、胸部、それに血管と日本の3つの外科学会で構成する心臓血管外科専門医認定機構により、手術、論文、学会発表などの業績に基づいて審査され資格が認定されます。 心臓血管外科は大きな病院しか成立しない手術を担当する診療科目で、これまで開業があまりありませんでした。数十年前から下肢静脈瘤の手術はありましたが、多くは2~3泊の入院を伴うものでした。それがレーザー治療により日帰りも可能になりました。さらに3年前に下肢静脈瘤のレーザー治療が保険適用になったことで開業が急増しました。

心臓血管外科は、どんな症状のときに診てもらえばいいのでしょうか。

動脈、静脈、それにリンパ管の疾患になりますが、自覚症状としては、静脈は下肢のむくみとダルさ、いよいよ悪くなると潰瘍ができてしまいます。動脈の場合は歩くと痛いというのが初期症状です。悪化してくると足が冷たくなり、潰瘍になる。いよいよひどくなると壊死してしまいます。 リンパ管の症例のほとんどはむくみ、それも重度のむくみです。リンパ管の場合、むくみで患われる期間が静脈より長く、場合によっては何十年にも及んで、末期は潰瘍になったり、皮膚が硬くなります。 一般的には、足のむくみやダルさは心臓血管外科の領域なんです。でも、私が勤務していた自治医科大附属病院でも、痛いという症状の場合、整形外科を受診する患者さんが7割。何らかの情報をお持ちで直接、心臓血管外科で受診される患者さんは3割弱でした。
足のむくみや痛みなど自覚症状があれば、心臓血管外科での診察も考慮しなければなりませんね。 足がむくむ疾患は静脈瘤やリンパ管だけでなく、心臓、腎臓や内分泌の疾患も多いんです。ですから当クリニックに足のむくみで来られた患者さんには、内科系の全身疾患のルールアウト(ある診断名に確定すること)は必ず行います。 下肢静脈瘤、足の血流障害、いわゆる閉塞性動脈硬化症は、糖尿病絡みの足のトラブルですから、生活習慣病も診察します。

内科と循環器科も診療科目ですね。

函館はこれまで縁もゆかりもないところでした。ここで認知していただくには、内科を標榜して地域の患者さんは、どんな症状の方でも受け入れますという姿勢を明確にしたかったのです。私はお腹よりも心臓の方が詳しいので循環器。プラス心臓血管外科で、下肢静脈瘤を中心に下肢閉塞性動脈硬化症、頸動脈硬化症を重視したのは、25年余のキャリアを積んできた外科の技術と経験で貢献したいからです。 下肢静脈瘤はレーザー治療を主体に薬剤による硬化療法、血管を抜去するストッピング術など日帰りが可能な治療を行います。 下肢閉塞性動脈硬化症は外科手術ができませんが、専門性を生かして術前評価や術後のフォローアップも行っていきたいと思っています。

もうひとつ力をいれてらっしゃるのが訪問診療ですね。

当クリニックは、毎週木曜午後に私や看護師が、患者さんのご自宅や入居する施設にお伺いする訪問診療を行っています。患者さんのご自宅が病室、診療所はナースセンターというようなものです。私が西部地区の末広町に開業したのも、この地区には高齢の方が、たくさんお住まいで、若い方が多い地区よりも、訪問診療を必要とされる方が多いからなんです。

先生は地域医療福祉情報連携コーディネーターの資格もお持ちですね。

そもそも私が函館に来たのも地域医療連携をさらに進めて、医療と介護の医介連携を構築したいという思いがあったからです。訪問診療を通して医療と介護の医介連携システムを構築したい。 地元におられると、あまりお感じになることがないと思いますが、函館と長崎は地域医療連携ネットワークシステムを構築した最先端の地域です。函館では、「道南MedⅠka」という形でインターネットを使い患者さんの検査データや手術記録などを複数の医療機関が共有して医療連携しています。 介護領域と病院や診療所では、必要とする情報が異なるという難しさはありますが、ITを駆使してネットワーク環境下で情報を共有することが今後、必須事項になります。

最後に函館での開業にかける思いをお聞かせください。

私は高校のときから、一貫して人と機械の融合をテーマにキャリアを重ねてきました。 中学生の頃に人間の機能を代行する機械に興味を持ち、最初は義手、その後、人工心臓を研究したいと思い米国ピッバーグ大学の心臓胸部外科に研究医として留学。帰国後、自治医科大学附属病院で心臓血管外科医として経験を積みました。附属病院では、電子カルテ化するプロジェクトチームのメンバーとなり、その後、医療情報部責任者となりました。人と機械の融合というテーマは、介護を含めた医介連携のネットワークシステム構築でも同じです。これが今後の自分の課題であり、そのために函館に来たのです。


こにし内科・心臓血管クリニック 
函館市末広町3番15号 TEL 0138-83-2080
■休診日 木曜・日曜・祝日
■駐車場 11台(当院前と第二駐車場)
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