新型コロナウイルス対応策をグループで共有

利用者とお孫さん世代を繋いだITリテラシー(理解・操作能力)

●白ゆりグループ ㈱メディカルシャトー代表取締役社長 佐 藤 文 彦 氏

㈱メディカルシャトー函館:函館市美原2丁目50-2 TEL.0138-34-3231 https://www.shirayuri.gr.jp/

『ライフプレステージ白ゆり』ブランドの高齢者介護複合施設を札幌、函館、北斗の3市で運営する㈱メディカルシャトー。地域の医療福祉介護を支援する同社の佐藤文彦代表に白ゆりグループが取り組んだ新型コロナウイルスへの対応策と、社内コミュニケーションにおけるITツール/ZOOM、Slackの活用や、LINE、Instagram、facebookなどの活用で、これまで比較的疎遠だった利用者のお孫さん世代が白ゆりグループへの関心を寄せてくれるようになったことなど、アフターコロナを見据えた展開について語ってもらった。


「メディカルページ函館・道南版 2022年夏号」(令和4年7月20日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

変異株の影響もありましたが、新型コロナウイルスの感染状況は年初の状況に比べて小康状態が続いていますね。

佐藤 文彦 社長

 函館において新型コロナウイルスの陽性者数は昨年10月から12月にかけて毎月ひとケタ台で推移しましたが、今年に入り1月は1505人、2月はその倍以上の3873人と急増。3月は2141人と減少したものの、医療機関、介護施設でもクラスターの発生を見ました。
私どもの施設では2月にデイサービスで陽性者が出たことから、サービスの休止も検討しました。しかし、特にデイサービスの休止は、お風呂に入る機会がまったく無くなってしまうという懸念がありました。
そこで利用者さまお一人お一人に連絡させていただいて、休める方は休んでいただく。ただ、ご家族が遠方にお住いなどの理由で生活に支障をきたしてしまうという利用者さまに対して、通常営業ではなく、制限営業の形でデイサービスの運営を続けさせていただきました。

感染拡大のリスクを想定した場合、サービスの続行は休止より決断力を必要としましたね。

 サービスの続行については、保健所さんも交えて検討を重ねました。ケアマネジャーや私どものスタッフの中にも休止した方がいいんじゃないかという声もありました。健康観察期間終了後には、すぐ営業を再開して欲しいというご家族やケアマネジャーが大勢いらっしゃいました。スタッフの負荷が大きく大変な感染予防対策をしながらの制限を設けたサービスでしたが、たくさんの感謝の声をいただいたことは、やはり休止よりも良かったのではないかと思っています。

感染予防のために具体的に取られた方法は?

ZOOMを活用して居室で家族と面会する入居者。家族は相談室。入居者は居室で2台のノートPCを使用

 マスクは不織布素材のサージカルマスクではなくN95マスク(米国労働安全衛生研究所のN95規格をクリアし、認可された微粒子用マスク)の着用を徹底しました。スタッフ全員が毎日朝いちばんに抗原検査をして、この検査をクリアしたメンバーだけが出勤して利用者さまに対応しました。濃厚接触や陽性の可能性があるというスタッフには、大量に調達した抗原検査キットを活用しました。
このキットは医療現場では使われているところもありますが、何百という抗原検査キットを早期に調達して、これを活用してスタッフが出社可能かどうかをしっかり確認する。これを徹底できたのは、日ごろより主体性をもって対応してきた現場の努力の賜物だと思っています。
私たちは介護福祉事業者として地域の生活を守ることが大きな使命です。その中で最善を尽くすと経営理念でも謳っています。その使命感をベースにみんなが顔晴(がんば)ってくれました。

新型コロナは、人と人とのふれあいを拒否する場面を多くしました。

 スタッフ間のコミュニケーションも、施設間の移動も厳しい状況でした。その中でデジタルツール/ZOOM、Slackなどを活用して、各事業所で起きている事象をケーススタディとして全員で共有しました。自分が担当する事業所でこんな問題が起きたら、こういうオペレーションと、その対応策を共有できたことはグループの成長のきっかけにもなったと思います。

函館・北斗でコロナを契機に改善されたところは?

スタッフ間のミーティングにもZOOMを活用

 部分的ですがZOOMによる面会を取り入れました。ITリテラシー(ITを理解・操作する能力)、ニーズに合わせたサービスは今も試行錯誤しながらトライしています。各施設の活動状況をインスタグラムやフェイスブックを通じて施設ごとに発信していくことも進めてきました。
現場のスタッフからは、これまではご家族のキーパーソンの方とのやりとりが中心でしたが、インスタグラムで見たというお孫さんから、おばあちゃんの写真が欲しいというDMが来たという話も聞いています。お孫さんの世代はインスタも使い慣れていらっしゃる。ZOOMやLINEなども、お孫さんの方からキーパーソンのご両親に提案して、こういうものはやれますかというお問い合わせをいただくことも多くなっているようです。
スタッフとご家族との新しいつながりができたと思っています。

(取材日:2022年6月9日。ZOOMでの取材)


白ゆりグループ 株式会社メディカルシャトー函館
函館市美原2丁目50-2 TEL.0138-34-3231
オフィシャルページ