介護現場にICT(情報通信技術)導入でスタッフ負担を軽減

2つのシステム融合効果により利用者の日常生活も改善

●白ゆりグループ㈱メディカルシャトー函館 
函館市美原2丁目50番2号 TEL 0138-34-3231 
http://www.shirayuri.gr.jp/

スタッフの労働状況を改善するためICT(情報通信技術)を活用している白ゆりグループの㈱メディカルシャトー函館。介護システム『ケアカルテ』の導入と併せて、利用者の睡眠状態を自動測定する『眠りSCAN』を同介護システムに取り込みスタッフの負担軽減と併せて利用者の生活環境も改善させている。


「メディカルページ函館・道南版 2020年夏号」(令和2年7月14日発行)の冊子に掲載された記事です。

 

■ケアカルテはiPadに利用者の日々の記録をタッチ入力する

ケアカルテで記録に要する時間が86%減

■白川直哉 代表取締役専務

 「一番の狙いはスタッフの介護士の業務負担を軽減、効率化して、本来の介護業務に専念してもらいたいということです」
 ㈱メディカルシャトー函館代表取締役専務の白川直哉氏は、ICT活用の狙いをこう話す。
 ライフプレステージ白ゆり美原で今回導入したICTは、㈱富士データシステムの介護システム『ケアカルテ』。スタッフがiPadで記録を入力。ソフトの集計機能により入力データを整理する。実際には、iPadに利用者の日々の記録をタッチしながら入力することで、排泄や食事記録が自動で作成され、ケアプランなども従来の半分の時間で作成できる。提供表の作成や実績入力なども自動で入力されているので作業の必要がなくなったという。
 介護職員は排泄や入浴、食事、さらにケアマネジャーによる計画書の記録。そして毎月末には1か月間のモニタリングの記録と記録業務尽くし。介護している時間がないという声があがるほどで、資格を取り介護職員となったのにさまざまな記録業務に時間を取られている。介護士の志望者が減少している一因も、この膨大な記録業務のためとさえいわれている。
 「記録時間は物凄く減りました。これまで1人のスタッフが記録のために費やす時間は、月間で大体55時間。それが『ケアカルテ』を導入して7.4時間になり、記録業務時間が86%も減少しました。また書き込む内容にも個人差があって、詳しく書く人もいるし、逆に足りないくらい簡潔に書く人もいましたが、システム導入により、効率化と併せて統一化も図られました」(白川専務)
 『ケアカルテ』については、デイサービス、ショートステイ、グループホームを含めた全事業所に導入しており、順次本格稼働する。

眠りSCANが夜間の業務の効率化と安眠提供

■ICT情報システム部 佐多正至部長(左)とヘルパーステーション白ゆり管理者 稲村信一氏

■眠りSCANのモニター画面が置かれたスタッフステーション

 『ケアカルテ』は、施設ごとにケアプランや記録、さらに請求といった項目が設定されているが、高齢者複合型介護施設であるライフプレステージ白ゆり美原は、82室の住宅型有料老人ホームと21室のショートステイを併設しており、入居系の介護サービスの提供も必要で、そのために『ケアカルテ』にパラマウントベッド㈱の『眠りSCAN』のシステムを連結させた。
 この『眠りSCAN』は、利用者のベッドのマットレスの下に設置したセンサーにより、寝返りや呼吸、心拍などの体動を測定して、睡眠状態を把握するシステム。
「『眠りSCAN』は『ケアカルテ』とは全く別のシステムですが、ナースコールを通して『ケアカルテ』に自動的に記録を取り込むように組み合わせました。『ケアカルテ』を先に進めていましたが、『眠りSCAN』まで拡張したら、物凄くインパクトがあると分り、組み合わせました」
 こう話すのは、㈱メディカルシャトーICT情報システム部部長の佐多正至氏。
 画像のように利用者一人ひとりが眠っているのか、起きているのかという表示だけでなく、心拍数や呼吸などの状況をモニターにディスプレイする。
 白川専務は、『眠りSCAN』の効果について、「これもスタッフの業務負担軽減です。またスタッフが定期巡回すると寝ているのに何で起こすのという利用者の方のお声もあったんですが、『眠りSCAN』で状況把握することで、不要な巡回がなくなり、利用者の方は安眠していただけるようになりました」と話す。

利用者の睡眠効果もアップ

■眠りSCANが利用者の安眠を管理。毎日の眠りの状況もデータ化する

 白ゆり美原では、『ケアカルテ』と『眠りSCAN』を組み合わせたシステムを2月から導入し、3月から本格稼働している。白ゆりグループでは、ライフプレステージ白ゆり新さっぽろのほか、白ゆりグループが運営する介護付有料老人ホームかえでの杜でも導入中である。
 白ゆり美原での導入効果について、ヘルパーステーション白ゆり管理者の稲村信一氏は、「実際に『眠りSCAN』を使ってみて、利用者の方にとって、安眠がどれだけ大事なのか考えさせられました。睡眠が安定すると、食事が食べられるようになり、体操の時間も起きて来られるので刺激になる。立ち上がりも良くなってきます。睡眠効率もデータで表示されますが、この方は最初の頃は79%でしたが、86%まで上がって、安眠されていることが数字にも表れています」と話している。
 「介護スタッフは、介助業務に専念してもらう。清掃やベッドメイクなどは無資格のパートの方でと業務を明確化したことで、スタッフの応募数も増えています」と白川専務は、もうひとつの導入効果を話している。

(取材日:2020年6月19日)