フラットシューズは身体に悪い

《フラットシューズは身体に悪い》

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一昨年、息子の入学式で上京した際、至る所でフラットシューズを履いてる女性を目にしました。
その年の流行だったとかで、お隣の韓国でもその後フラットシューズの流行でアキレス腱の痛みを訴える女性が増加したとの報告があります 。
この靴の流行は、2012年に私がロンドン五輪でイギリスを訪れた際、ロンドン市内の女性にもその傾向が多く見られたのを記憶しています。

流行に左右され、知らず知らずのうちに体に悪影響を与えていることは多々あります。
表題のように、私が《フラットシューズは身体に悪い》と言う根拠を6つのポイントで説明します。

◆ポイント1:踵が低いため、アキレス腱(下腿三頭筋)にテンション(牽引ストレス)がかかる。
 
アキレス腱を構成する下腿三頭筋は膝関節後面上部から踵骨に至る〈二関節筋〉で、筋の柔軟性に乏しい人は、アキレス腱付着部(踵)、アキレス腱、膝窩(膝裏)、膝関節前面部にそれぞれ、牽引と圧縮の力が加わりやすい。身体が柔らかい方でも、下腿後面部 の疲労感が出やすい。

◆ポイント2:踵が低いため、身体の重心線が後方へ移動し《後方荷重》となる。
 
後方荷重は下腿部後面、大腿部後面の筋肉を緊張させ、骨盤を後傾させる。
その為、腰椎は本来の生理的前弯を減少させ、直線的、あるいは後弯傾向を呈する。

◆ポイント3:腰椎後弯による上位椎体の連動

腰椎後弯により、上位椎体の配列も影響を受ける。胸椎は腰椎後方荷重(後方アラインメント)を補正する為、腰椎に連続して更なる後弯を呈したのち上部胸椎で前傾をとり、いわゆる円背姿勢となる。
頸椎は胸椎円背の代償として目線を一定に保ちながら過度前弯となり、頸椎後方部への圧縮ストレスが増加する。肩こり(頸部周辺の筋の過緊張)を生じやすくなる。

◆ポイント4:円背による肩甲骨の外転
 
肩甲骨の外転が生じると、胸郭は前方方向に縮まり、肩関節の上腕骨頭の前方変位が生じやすくなるため、関節窩と骨頭の中心にズレが生じ、肩甲上腕リズムに乱れを生む。従って肩関節の運動において障害を生じやすすくなる。

◆ポイント5:踵が低い分、蹴り出しの際には踵のある靴以上に靴底のフレクション(靴底の屈曲)が要求される。
 
この手の靴はヒールカウンターが低く、それに続く靴外側壁も低いため、足底部の屈曲が大きくなる際、足との間に隙間が生じ、靴内での足の遊びが大きく不安定となりなすい。すなわち歩行周期での足への負担が増加する。さらに蹴り出しの負担がが大きくなる 事により、足底筋膜の牽引力も増し(ウインドラス機構)、母趾種子骨(母趾の付根の骨)や足底筋膜の炎症などを生じやすい。

◆ポイント6:踵が低い分、踵接地時の衝撃が増す

靴自体の踵の形成が乏しいため、踵接地時の衝撃吸収力が低く、踵そのものにかかる負担が増加する。

 以上、持論ではありますが、《フラットシューズは身体に悪い》点に関し、私見を述べました。
 流行に惑わされず、身体に良い靴を選びましょう。

 《足は身体の土台です》

 < 2015.8.7掲載 >

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