入居者の安全確保と家族への情報提供で対応

地震と大停電を機に危機管理体制をより強化

白ゆりグループ㈱メディカルシャトー 代表取締役社長 佐藤  文彦 
函館本社:函館市美原2丁目50番2号 TEL 0138-34-3231 
http://www.shirayuri.gr.jp/

いまだに完全復興に至っていない9月6日未明に発生した平成30年北海道胆振東部地震の被害。地震による停電は道内全戸の295万戸に及び、全道がブラックアウトに陥った。被災状況の確認もままならない数日を過ごす中で、翌7日に自社ホームページで、運営する介護施設の被災状況を告知したのが『ライフプレステージ白ゆり』ブランドの高齢者複合型介護施設を札幌、函館、北斗の3市で運営する㈱メディカルシャトー(佐藤文彦代表取締役社長)。未曾有の大停電に際しての同グループの対応をレポートする。


「メディカルページ函館・道南版 2018年冬号」(平成30年11月1日発行)の冊子に掲載された記事です。

■佐藤文彦社長

「地震発生後すぐに札幌本社(中央区南9条)に向かいました。当初は状況を確認するため各施設に行こうと思いましたが、停電もあり本社で各施設と連絡を取ることにしました」。連絡・情報収集も停電のためスマホにより責任者から報告を受けるなど、文字通り想定外の状況だったが、「現場のスタッフはよく対応してくれました」地震発生直後の状況について、佐藤社長はこう話す。

オフィシャルサイトで施設の状況を報告

白ゆりグループは、札幌を始め函館、北斗両市などで、12種31事業所を運営しているが、地震発生翌日の9月7日、オフィシャルサイトに同グループ介護施設の状況をアップした。
この中で佐藤社長は、「被災された方々が一日も早く日常の生活を取り戻すことができますよう心よりお祈り申し上げます」と被災者へのお見舞いを記載。さらに札幌地区と函館地区の9施設ごとに電気が復旧した日時に加えて、唯一断水のあったライフプレステージ白ゆり美原も、7日午前3時50分には断水も解消されたことを報告。

「この地震により弊社の施設も停電、断水などのダメージを受けておりましたが、全ご入居者様、ご利用者様におかれましては、死傷者、病状悪化などの大きな事故を起こすことなく、運営できております」と施設利用者とその家族に向けてメッセージを送りながら、「今後、食料品や消耗品など物資の調達が難しくなることも予想されますが、社員一同力をあわせ乗り越えていく所存です」と決意を付け加えた。
白ゆりグループのオフィシャルサイトでは9月10日、佐藤社長が地震により亡くなられた方々とその遺族にお悔やみとを述べ、「弊社としても出来る限りの支援活動に取り組んで参ります」と地震に関して2回目の報告を行っている。

関係会社も協力し食事のクオリティを維持

■運営する介護施設の状況を白ゆりグループ公式HPに掲載

さて、停電が復旧しないまま迎えた9月7日、朝を迎えた各施設では、入居者の朝食の用意に追われた。停電により通常使っている配膳のためのリフトが動かず、スタッフが一人ひとりの入居者の朝食を階段で運び、また物流の停滞により食材も揃わず、備蓄食などを使用した簡素な内容の食事提供を余儀なくされた。

それでも入居者やその家族からは、「この大変な時にありがとう」と感謝の意を受け、それがスタッフの励みにもなったという。翌週になっても物流は十分な回復をしていなかったが、関係会社の尽力もあり、メニュー変更などの対応をすることで食事のクオリティを大幅に下げることはなかった。

佐藤社長も「関係先の皆様には、本当にお世話になりました」と感謝の言葉を話す。
時節柄、敬老の行事も同時期にあったが、中止せずにパートナーと力を合わせて実施した。

9月18日、食事提供への影響がオフィシャルサイトにアップされた。これが地震について最後の報告となった。
この中で佐藤社長は、入居者・利用者に食事提供の面で、不便と迷惑をお掛けしたとお詫びしながらも、物流がほぼ通常通りに戻り、9月10日以降から食事メニューの正常化が進み、9月15日の昼食からは、運営する全施設の食事が通常メニューに戻ったことを報告。
「今後におきましても、白ゆりグループ全社をあげて完全復旧に向けより一層努めてまいります」との決意を記した。

災害経験を新たな危機管理に生かす

高齢者が入居、生活する介護施設にとって、安全こそが不可欠のテーマ。過去に例のなかった災害に際しても、入居者の中に死傷者や病状の悪化などを1人も出さなかった対処経験は大きい。
そして、一度体験したからには、決して想定外との言い訳は許されない。今回の震災とそれに伴う大停電を経験した白ゆりグループでは、改めて危機管理を強化するため、緊急時の対応を施設ごとに役職員で編成する災害対策委員会の取組みを進めている。これまでも施設ごとに防災委員会を編成していたが、震災に伴う停電など、今回の経験を生かし、さらに入居者・利用者の安全確保の対応を強化するのが目的だ。

オフィシャルサイトでの状況報告は、他社には見られない入居者の家族への情報発信として高評価を受けたが、佐藤社長は今回の災害時に入居者の家族へのいち早い連絡が、電話では困難だったことを踏まえて、インスタグラムなどSNS活用も視野に入れているという。
また、ライフプレステージ白ゆり美原は、民間施設としては初めて、函館市から避難所の指定を受けた。建物の安全性だけでなく、白ゆりグループとしての対応が評価されたと言ってもよい。

「笑顔で、むすぶ、おもてなし。」インナーキャンペーン

■白ゆりグループのインナーキャンペーン「笑顔で、むすぶ、おもてなし。」(白ゆりグループ公式HPから)

白ゆりグループは、その企業理念のひとつに「お互いの笑顔が生活の豊かさの基盤と信じ、素敵な笑顔づくりに邁進する企業集団である」と掲げ、佐藤社長自身、「ご利用者やそのご家族、そして白ゆりの仲間のスタッフがお互いに笑顔がつくれるようなサービスを提供していきたい」との想いを常々語っている。
10月1日から始めた白ゆりグループのインナーキャンペーン「笑顔で、むすぶ、おもてなし。」は、スタッフのサービス向上やより上質なおもてなしの追求が目的だ。
キャンペーンは、当初9月中にもスタートする予定だったが、地震のために延期。10月1日から、スタッフ全員がキャンペーンマークの「e」(笑顔)と「o」(おもてなし)をデザインしたピンバッジを付けて勤務している。
また、オフィシャルサイトでは、キャンペーンの一環として、SNS「インスタグラム」において、「笑顔で、むすぶ、おもてなし。」をテーマにした写真の投稿イベントも実施。「白ゆりグループのおもてなし」を紹介していく予定だ。

 

(取材日:平成30年10月11日)


株式会社メディカルシャトー
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