高齢者から幅広い世代へ利用広げる介護用食品

専門メーカー㈱フードケアによる機能性を高めた商品を紹介

株式会社アキヤマ 業務用食材・資材・機器専門商社
北斗市東前3-41 TEL 0138-77-7491

akiyamarepo02_02時代の要請を捉え15年前から業務用食品を介護用・治療用食品分野へも拡大してきた専門商社㈱アキヤマ。現在2000を超えるアイテムを同社では扱っているが、高齢化の急伸を背景にメーカーによる商品開発は日進月歩。介護用食品は高齢者のためのものというカテゴリーを超え、幅広い世代にも効果的な食品に進化している。㈱アキヤマが扱う介護用食品メーカー㈱フードケア(神奈川県相模原市)の商品紹介と併せて、㈱アキヤマの取組みを紹介する。


「メディカルページ函館2018夏号」(平成30年6月1日発行)の冊子に掲載された記事です。

■(左から)㈱アキヤマ根本営業部長・同 営業 上杉賢司さん・㈱フードケア 中野康俊さん

「ご要望が多いのは栄養強化。食べられない人が多いという声を一番お聞きします。少ない量の食事でたんぱく質やエネルギーの摂取量をアップしたいというお声は、居宅で介護なさっている方だけでなく、施設の調理関係の方からも数多くお聞きしています」
こう話すのは、㈱アキヤマで介護用食品を担当している上杉賢司さん。高齢者は、どうしても食が細くなり、限られた量の中では、必要な栄養を十分に摂ることが困難になってしまう。この問題を解消したいという要望が数多く寄せられていることが、上杉さんの話からも分かる。

三大栄養素をバランスよく摂る栄養補給粉末

■PFCパウダー

「たんぱく質(Protein)と脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)という三大栄養素をバランスよく摂るのが一番いいといわれています」と、食事で摂取する際の栄養素について話すのは、㈱フードケアの中野康俊さん。中野さんは、同社メディカルフード営業部で北海道と青森を担当。また、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士と認知症ケア指導管理士の資格も有している。
昨秋に㈱フードケアが新発売したのが『PFCパウダー』。たんぱく質、脂質、炭水化物をバランスよく摂れる初めての栄養補給粉末だという。何よりもエネルギーとたんぱく質を簡単に補給できるというのが特徴だが、PFC比も18対24対58とバランス良く設計されている。脂質はMCT(中鎖脂肪酸油)、たんぱく質はコラーゲンペプチドを使用して消化吸収と速やかなエネルギー補給に配慮している。
使用方法は、お粥やみそ汁などの汁物に混ぜるだけ。ジュースやポテトサラダなどにも、また、ミキサーにかける時に加えることで、ミキサー食やゼリー食にも使える。『PFCパウダー』はコラーゲンペプチドを使用しており、無味無臭、無色透明。見た目や味などが変わらないことで無理なく摂取できる。

大切な水分補給にイオンドリンクやゼリー

■イオンドリンクの素シュガーレス

■まぜてもジュレ(上)とアクアジュレ2ウェイボトル

夏に向うこれからの季節で、重要なのが水分補給。特にのどが渇いたという自覚がない高齢者や夜中にトイレに行きたくなるので水分補給をしないという人は、体温が上がって脱水になりやすい。世代を問わず脱水の予防策にスポーツドリンクを飲む人も多い。健康飲料のイメージがあるスポーツドリンクだが、実は糖分も多くカロリーも高い。
㈱フードケアが勧めるのは、『イオンドリンクの素シュガーレス』だ。
「水分補給のものは夏場に向って需要が増えます。この商品は高齢者施設だけでなく、病院や幼稚園にも利用されています」とは、上杉さんの話。㈱アキヤマの根本琢巳営業部長も「デイサービスで入浴後の水分補給にも良い」と話す。介護用食品イコール高齢者向けというカテゴリーを超えた商品といえる。
このような液体で飲むことにより誤嚥してしまう高齢者には、水分補給用のゼリーの素『まぜてもジュレ』がある。一番の特徴は、混ぜても離水しにくいこと。加えて再結着性があり、ばらけないという嚥下調整食としての機能に優れている商品だ。
マルチトール使用によるシュガーレスとともにキシリトールによる虫歯予防という口やのどのケアにも配慮しているのが『アクアジュレパウチ』。寝たきりや口が開かない、吸い込みが出来ない高齢者には、パウチタイプではなく、2ウェイボトルを使用したタイプもある。上の開封口からだけでなく、寝たきりなど介助が必要な人は下の開封口から飲むことができる。

 誤嚥を防ぐとろみ調整食品や繊維質を柔らかく改良する食品

■ネオハイトロミールNEXT(上)とスベラカーゼMeat

介護分野で一番使われているのが、とろみ調整食品で、㈱フードケアでは、温かい飲料に混ぜてもダマにならない使いやすさと通常単価では一番安い低コストの『ネオハイトロミールNEXT』を一押ししている。咀嚼力が弱くなった人のために冷たくなっても柔らかいままの料理が食べられるように、漬け込むだけで食材が柔らかくなるというのが『スベラカーゼMeat(ミート)』。当初は介護用食品として発売されたが、ステーキ店などの外食関係やデパートの物産展の際に調理に使っているケースもあるという。
食材の繊維を細かくきざむきざみ食は、調理に時間と労力が必要だが、魚や根菜、葉物野菜などの繊維質も柔らかくする、これを使えばきざみ食のための調理は不要。加えて食材のパサつきを抑える効果もある。
根本部長は、「最近は補助食品や栄養補給の飲料も施設の入所者の方が個人購入されるのも多いです。また、ご家族の方からのご要望を受けて、施設の方が当社へお問い合わせいただき、納めたこともあります」と施設入居者と家族の利用例をあげ、さらに続けて「治療中の味覚障害や食欲不振という患者さんもおり、少量でもエネルギーアップと各栄養素を補給できるように病院も力を入れているようです。少量で、口当たりもよく、美味しい治療食が新しく出ています。当社の店舗の方では、ご紹介したような商品を1個から小売もしています。とろみ剤などは卸値段ですから市販のものに比べてかなり経済的だと思いますので、ぜひご利用ください」と話している。

■オーラルピース

口腔のケアと保湿に利用できるジェル

中野さんが最後に紹介してくれたのは、介護用食品ではないが、高齢者の口腔ケアと保湿に効果のある『ORALPEACE(オーラルピース)』。高齢者は唾液が少ないので口腔内の保湿が必要。この商品は保湿しながら、殺菌により口腔ケアもできる。「歯磨き剤でもあってジェルでもある。保湿だけのジェルはたくさんありますが、ネオナイシン―eという清掃助剤を配合しており、カンジタ菌まで殺菌できて、保湿もできます。また天然由来成分のみを使用していますから、飲みこんでも害はありません」(中野さん)

介護用食品は日々進化している。紹介した商品のように高齢者に向けた介護用食品というジャンルを超えて幅広く利用される機能を持つものもある。新しい食文化を提案するアキヤマが掲げる企業テーマ『時代より前に。』ならではの商品展開だ。

■㈱アキヤマ 小林周平常務

今まで介護食、治療食というカテゴリーに分けられていましたが、本当にバリエーション豊かで、外食の方にもお薦め出来ますし、オーラルケアの商品は自分たちにも必要なものです。
アキヤマがトータルで、お一人おひとりの方にお役に立てる時代が来たという思いを新たにしています。これまで治療用食品、介護用食品は、ドクターや管理栄養士の方を中心とした営業でしたが、それ以外にも看護師さんや言語聴覚士さんにもお薦めできる商品がある。ぜひ、多くの方に知っていただいて、アキヤマを選んでもらえるように営業活動を進めます。
日々勉強です。そして、メーカーさんとアキヤマがお客様をしっかりフォローしていきたいと思います。​

(取材日:平成30年5月8日)