福祉コミュニティエリア「コンテ日吉」が目指すもの  2018年3月始動の地域包括ケアシステム構築モデル事業

●医療法人社団 善智寿会 理事長 飯 田 善 樹 氏
函館市柏木町15番2号 TEL.0138-32-7000

日吉町4丁目市営住宅団地跡地に函館市が計画する福祉コミュニティエリア整備事業。平成28年3月、この事業者に医療法人社団善智寿会を代表法人とする11社で構成するグループがプロポーザル(企画提案型公募)により選定された。約7万㎡の敷地に特別養護老人ホームなどから成る福祉エリアに加えて、宅地や商業の各エリアを持つ新しい町「コンテ日吉」が平成30年3月誕生する。整備事業の代表法人である医療法人社団善智寿会の飯田善樹理事長に同事業について聞いた。


「メディカルページ函館・道南版2017年冬号」(平成29年12月1日発行)の冊子に掲載された記事です。

■飯田善樹理事長

 

プロポーザルに参加された理由をお聞きしたいのですが。

函館市のアンケートに答えたのが始まりでした。壮大な計画ですからどこがやるのだろうという位の気持ちでしたが、自分たちが今やっている医療や介護の仕事の仕事のなかでの思いを何とか形にできれば、日本の医療・介護、さらに10年遅れてくるアジアの少子高齢化社会に対しても、自分たちがつくったものが基本になるかも知れないと答えたことがプロジェクトの始まりです。
プロポーザルに専任する余裕はなかったのですが、スタッフの何人かが、コンセプトも非常に理解してくれて、ぜひやってみたいということで通常の業務をしてもらいながら、一生懸命頑張ってくれました。 医療と介護の連携やコミュニティエリアへの思いはありましたが、無責任に手を上げて、その結果出来ませんというわけにはいきませんから、まわりに声をかけて、デべロッパーは札幌のアルファコートさんというように、グループメンバーを固めていきました。
僕はバラバラに開発したらコミュニティの意味はないと思っていたんです。福祉施設があります、医療施設やグループホームがありますというのでは、ただ一ヵ所に集まったというだけです。利用の幅や共有性など、いろんなものを持たなければ、コミュニティである意味がないんです。

選定では地域包括ケアシステムを構築するために展開するソフト事業が高い評価を受けました。

自分なりの考えをみんなで具体的に絵にしていったわけですが、僕は福祉・医療の連携を含めたコミュニティとしての機能が一番大事だと考え、函館市もそう考えていたと思います。今まで自分が医療と介護の両方に携わり、利用者さんにとって、こうすればもっといいことが出来る、どう解決していくかという積み重ねの提案が評価されたのかと思っています。
何のために医療施設、介護施設があるのか。なぜ医療保険と介護保険に分かれているのか。ご高齢になったら、身体に医療が必要なものと介護が必要なものが混在してくることもありますから、現場で自分が考えさせられることも多いのです。
たとえば人口呼吸器を付けていたり、PEG(口から食事をすることが困難になった人が、胃から直接栄養を摂取するための胃ろうをつくる措置)を使っている。あるいはIVH(血管から点滴により栄養補給すること)のカテーテルが入っているなど、患者さんによって状況は異なります。

■福祉コミュニティ『コンテ日吉』完成予想図

そういう情報を共有化することで、「うちは看護師が24時間いないので対応できません」とか、タイムリーに利用者さんが使える施設を探せる。そうしたことも提案しました。
グループホームは認知症のある方の集団生活の場ですが、利用者の方が脳梗塞を起こして寝たきりになったら、本来は24時間の身体介護がメインの特定施設に移った方がいいんですが、実際にはなかなか難しい。われわれの連携の仕方が広がって、相談したところだけの選択ではなく、全体の医療介護の選択の中から利用者さんにとってベストの選択肢を選べるようになればと思っています。

この事業は国が進める日本版CCRC(生涯活躍のまち形成事業)で全国804カ所の中から10カ所のひとつとして認定を受けましたね。

この認定により国から補助を受けますが、併せてレポート提出も求められています。レポートを書くことで国へ現場の声を届けられるというチャンスが得られるわけですから、国も真剣に考えてくれていると、僕は補助金より、こちらの方がうれしいくらいです。
福祉コミュニティエリアは全国同一企画で出来るわけがない。函館は人口30万人を割った中核市ですが、そういう地域特性も含めて、ひとつのモデルケースです。これを工夫すれば、町村単位でコミュニティを考えられるようなモデルにもなると思います。

東側と西側に総区画数98区画の宅地を設けた理由は?

高齢者の地方移住を促進するCCRCと関連しているんですが、函館出身の転勤族が定年になって帰って、この町に住んで、元気なうちは仕事でもボランティアでも参加する。でも何かが起きた時に改めてどこかの老人ホームに行くのではなく、住み慣れた町で、そのまま何も変わらずに町内会の一員として介護や医療を受ける。
函館は訪れたい町、住みたい町として人気が高い。この事業がうまくいって老後も安心ということで移住してくる人が増える。それが広がっていき、函館に移住しようという人が増えれば、市内の空き家も、市が借り上げて安く提供するなど、そういうことでも協力できないかなと思っています。また、福祉施設で働く介護職のスタッフなどの住まいやアパートなどには学生が住む。この町で、医療や介護の仕事に就きたいという思いを持ってくれる人が増えたらとも思います。

「コンテ日吉」の全体像を教えて下さい。

コミュニティはご高齢者に限らず多世代の町と考えています。僕らの世代の話をすれば、昭和の町づくりをしたいんです。今の若い人には、昭和の町といっても分からないので、映画「ALWAYS三丁目の夕日」に出てくるような町と若い職員には話しています。
中学生と小学生の子供が夜中に出歩いていて殺された事件がありましたが、昔であれば、近所の人が見つけた時に、「お母さんに怒られるよ、帰りなさい」と注意したものです。もし、認知症のご高齢者が徘徊していたら、「あそこのおばあちゃんだ。家まで連れて行ってあげないと」と、介護している人の目だけでは無かったはずなんです。本当に近所が一体となっていたのが昭和の町。
同時に僕らの使命として、ひとつの町内会として終わらせてはいけない。函館のコミュニティエリアですから、そこに住んでいる人の和を広げて、函館の市民みんなが多世代で集まれる。建物も公園の中にあるような配置にしていますが、函館の人たちが自由に来て、公園を散歩しながら、アパートがあって、ご高齢者が住んでいる。若いお母さんが子供を連れて安心して散歩ができる公園があり、孫みたいな子どもが遊んでいるのをお年寄りがにこにこしながら眺めている。そういうみんなが集まるというコミュニティを思い描いています。
多世代で住んでいる人たちが、そこで生まれて、そこで育って、老後を迎えて、どうしても一定期間、医療・介護が必要になる時がありますが、その時も住み慣れた町で、昔からのお付き合いのある人たちとの関係が切れることなく、人生を完結する。思いは、そういうことです。

(取材日:平成29年11月6日)


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