オンラインHDFで人工透析の合併症を抑制~自家発電設備など安全安心の医療環境

clm_140402_mutouhiyoshi_docむとう日吉が丘クリニック 武藤 雅俊 院長
函館市日吉町2丁目1番2号 TEL 0138-30-6011
http://mutou-h-clinic.com/

糖尿病性腎症などを原疾患とする腎臓の機能不全から、国内では約30万人の方が人工透析を受けています。平成26年5月に開院した「むとう日吉が丘クリニック」は、合併症の併発を抑制し、透析後の疲労感を軽減する効果があるオンラインHDFを導入。透析患者のQOL(生活の質)の維持、向上に心を配っています。泌尿器科の専門医として、前立腺がんや膀胱がんの予防と早期発見にも力を入れたいという院長の武藤雅俊先生にお話を伺いました。


「メディカルページ函館平成26年度版」(平成26年6月1日発行)の冊子に掲載された記事です。※院名や役職、また内容についても取材時のまま表記しています。

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■武藤 雅俊 院長

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■住宅街にマッチした外見

開業なさった一番の理由は。

私は誠実という言葉が好きなんです。きちんと向かい合えば、どんな患者さんでも理解してくれると思っています。
でも、勤務医の時は、お一人お一人の患者さんを十分に診られなかったのではないかという反省もあります。ですから今度は開業医として、患者さんが何を求めているのかをお聞きしながら治療に当たりたいと思っています。
それに医療連携ですね。
大きな病院は患者さんも多くて、医師と患者さんの双方に不満ができるし、どうしても大きな病院に一極集中してしまう。内科や外科の連携は進んでいますが、泌尿器科に関しては、まだまだですし、泌尿器科の開業医としての橋渡し、地域連携にも力を入れたいと思っています。

そもそも泌尿器科を志したのは、どうしてなのでしょう。そして専門医として開業後に函館を選んだ理由は。

若い時に父親をがんで亡くし、がんの治療に関われたらと思ったのがひとつ。それと透析を受けている親戚もいて、お見舞いなどで病院に行っている内に、そういう医療に携われればと思って選んだのが泌尿器科です。
私は札幌出身で、札医大卒後は砂川市立など勤務医として転々としました。最後は函館五稜郭病院泌尿器科医長ですが、五病には8年前にも一年間来ていましたし、八雲総合病院での勤務経験もあります。その中でも特に函館が気に入りました。
食べ物が美味しい。街や人の雰囲気も好きです。

診療科目は、泌尿器科の他に内科、それに人工透析科ですね。

当院の人工透析の特徴は、オンラインHDFを採用していることです。腎臓がほとんど機能しなくなった時に血液を体から取り出しダイアライザー(人工腎臓)を通して血液中の老廃物を取り、電解質バランスを整え、きれいになった血液を体に戻すのが血液透析 (HD)ですが、さらにろ過(F)を加えた治療法がHDFです。 透析患者さんの中には、手根管症候群を起こす方がいます。手根管(腱と神経が通っている手首内の管)にいろいろな物質が溜まることで、神経障害を起こすのです。しかし、HDFは、ろ過により低分子たんぱくを除去できるので、手根管症候群を抑える効果があります。さらに当院のHDFはオンラインというのも特徴です。

HDFオンラインというのは、どういう特徴があるのでしょうか。

HDFには、オンラインとオフラインの2種類があります。オフラインは瓶や補液バックに入った薬剤を補液として使用しますが、ろ過するために足される補液量に限りがあります。オンラインHDFは透析液を、そのまま補液として使用するので、ろ過するために足される補液量が多くなり、より多くの老廃物を取り除くことができます。 このオンラインHDFにより当院では、瓶や補液バックを使わず、院内の機械で水道水を各種のフィルターを通して、黴菌や不要な物質を除去。それを精製して透析液をつくり、患者さんに直接供給します。黴菌などが混入する危険性を無くし、透析による合併症を抑制する効果もあります。

患者さんのメリットも大きいですね。

患者さんのQOLを高めるというのが一番の目標です。普通の透析より慢性的な疲労もなくなり、食欲も増して、元気な日常生活を送れる方も多く、ヨーロッパでは、ほとんどオンラインHDFを採用しています。 透析ベッドは10台で始めましたが、このほかに2台のリクライニングチェアでの透析も受けられます。人工透析は、標準的には週に3回、1回あたり3~4時間が必要です。状態のいい若い透析患者さんはリクライニングチェアで透析をしながらでも、パソコンで仕事もできるように配慮しました。 また緊急時でも安心、安全な医療を患者さんに提供するため、災害などによる停電対策で自家発電装置も備えました。クリニックでは、全国的にもあまりないのですが、これはどうしても設備したかったんです。

先生は日本泌尿器科学会の指導医でもありますが、泌尿器科としての特長は。

患者さんの比率は男性の方が圧倒的に多い診療科ですが、女性の場合でも、過活動膀胱による頻尿やトイレに間に合わないなどの症状でお困りの方もいらっしゃいます。ですが、泌尿器科の受診には抵抗感もあると思うので、火曜午後を女性・子ども外来、木曜午後は男性更年期とED治療を専門に扱う男性外来に診療時間帯を分けて、女性でも来やすい環境にしています。 また、がんの早期発見や予防もしたいと思っています。アメリカ人男性のがんで一番多いのが前立腺がんで、日本でも増えています。基本的に前立腺がんは無症状ですから、男性で50歳以上になったら、PSA検査の必要も出てきます。採血して、がんの疑いがあり、組織検査で早期に見付かる方もいらっしゃいます。 腎臓の疾患は生活習慣病との絡みもありますし、腎不全の予防にも力を入れたいですね。前立腺がんや膀胱がんの診断機械や内視鏡なども備えていますから、基本的には大きな病院の外来に匹敵するスペックで患者さんの悩みに応えたい。 血尿などの症状、さらにおしっこに関して悩み事があったら、気軽に相談に来ていただければと思います。


むとう日吉が丘クリニック
函館市日吉町2丁目1番2号 TEL 0138-30-6011
■休診日 日曜・祝日 ■駐車場 20台(当院前)
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