特集11 道南初、“ひざ”に特化した新発想の整形外科が誕生

函館整形外科クリニック 大越 康充 院長、前田 龍智 副院長 
函館市石川町2番地115 TEL 0138-34-5700 http://hakodate-seikei.com/

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toku_070620_hakodateseikeigeka_01歩行困難を伴うような関節疾患者は高齢者を中心に760万人にものぼると推定されています。特に膝関節の患者は数多く、「高齢だから…」、「長期入院できないから…」などと、動くたびに起きる痛みを我慢する日々が続く人もいます。また、スポーツによるケガに苦しんだり、適切な治療を受けずに過ごしている人も少なくありません。そんな人たちに対応する整形外科は、上肢・下肢・脊髄など全身に渡る骨格・関節・筋肉・神経などの運動器系統の治療を担っており、多様で幅広い対応が求められてきました。今年6月開院した函館整形外科クリニックは整形外科全般の外来診療を行いながらも、入院・手術は”ひざ”に特化するという専門性を持つ治療体制を展開させています。医師や看護師はもちろん、リハビリを行う理学療法士や事務のスタッフもひざの専門知識を持つスペシャリストであり、全国的にトップレベルの質の高い医療を掲げている函館整形外科クリニックを今回はご紹介します。


「メディカルページ 平成19年度版」(平成19年6月20日発行)の冊子に掲載された記事です。※院名や役職、また内容についても取材時のまま表記しています。

医院内で完結する理想の整形外科治療

函館整形外科クリニックは2007年6月15日に市内石川町、産業道路沿いに開院。院長の大越康充先生と副院長の前田龍智先生、看護師8人、理学療法士3人が治療にあたる。大越院長は函館中央病院整形外科で診療部長を務め、関節鏡視下での膝靭帯再建手術の第一人者として活躍。また、前田副院長は旭川医科大学附属病院整形外科で膝診療グループのチーフを務めて、医師2人ともに多数の診療、手術の実績を持ち、満を持してこのクリニック立ち上げた。2階建ての新しいクリニック内は明るく開放的で和やかな空間となっており、ベッド数は19床。準備段階からスタッフと討議を重ね、多くの意見が医院の設計に反映されている。医療機器ではオープンタイプのMRIや、歩行状態などを解析する3次元動作解析装置を導入。最良の環境作りに配慮されている。従来、整形外科では、通院とは別な大病院で手術を受けるなど、担当医が一貫して治療を行い完治を見届けているとは言い難い状況であり、患者にとっても病院間の移動があるというのは大きな負担となることは間違いない。この意味からも、検査からリハビリまでの膝関節治療が完結し、その治療自体が国内最高レベルであるということは理想的である。

今回、開院にあたっての想いは?

toku_070620_hakodateseikeigeka_02整形外科に望まれているのは単に病気やケガを処置するだけでなく、運動機能をできるだけ元に戻し、社会復帰して普段の生活を取り戻すことなんです。そのために当クリニックでは、国内トップレベルの最新手術や設備を用い、さらに医師、看護師、理学療法士が連携したチーム医療を導入しました。人と向き合う心を大切にする医療を理念として、患者さんと一緒に取り組んで治していく姿勢を大切にしたいと考えています。特に膝関節の疾患では手術とともにリハビリもきちんと取り組まなければ症状は改善しません。ですからきめ細やかな治療のためには、専門的な設備とスタッフを充実させチーム医療が必要です。
これはたくさんの患者さんを抱えて幅広く対応しなければならない大病院では難しいことで、むしろ小さな病院だからこそ実現できることなんです。手術をした医師がリハビリまで目が届く治療、検査から診察、手術、入院、リハビリまで病院内でコンパクトにまとまっているという施設は道南初ですし、全国的にもまだ数が少ないんです。また、地域に根ざした診療として整形外科の一般外来も行っていきます。(大越院長)

膝関節の最先端の手術とはどんなものでしょう?

toku_070620_hakodateseikeigeka_03現在、年間約4万5千人が人工関節手術を受けています。その中で最小侵襲手術(MIS)は身体への負担が少なく回復も早い人工関節置換手術です。当クリニックでは、さらに高度な最新のMIS-QSという手術を行うことが出来ます。これは高い技術力が要求されるため日本でもごく限られた整形外科医のみが行っている手術なんです。従来と比較すると皮膚の切開が小さく、筋肉や腱の切開も一切がありません。ですから手術の痛みも軽減され、回復が早くなってリハビリを早期に開始できます。そうなると早期退院が可能、入院日数も減るので医療費削減にもつながっていきます。傷口が目立たないというメリットもあるんですよ。(大越院長)

その他、膝に特化した診療や、設備について詳しく教えてください。

ほとんどが研究機関で使われているのですが、歩行状態などを解析する3次元動作解析装置を導入しました。体全体の動きをパソコンに取り込み、そのデータを分析します。整形外科では歩行中や階段の昇り降りに起こる運動中の痛みに対処するわけで、CT検査の静止した画像よりもこの動作解析が有効です。この他、MIS手術には不可欠なほぼ無菌のバイオクリーンルームの手術室を完備し、さらに、診断に不可欠なMRIはオープンタイプで閉所恐怖症の方にも対応できます。また、リハビリルームに広いスペースを割き、経験と専門知識が豊富な理学療法士が対応します。入院施設で言えば、病室から出て過ごしたくなる空間にしたいと思って設計しました。診療やリハビリ以外の入院中の生活時間は、ベッドの上で過ごすより病室の外に出て歩いたりした方がプラスになると思います。デイルームという憩いのスペースも設け、インターネットLANも完備しました。心地よく入院生活を送ってもらい、早期社会復帰を後押ししたいと思います。(大越院長)

膝関節の専門医のお2人で診察するという体制ですね。

もちろんより多くの患者さんのお世話をさせていただける、ということもありますが、やはり、ひとつの症状に対してより多角的な視点で診断することができると言えると思います。私はポイントマーカーという3次元動作解析装置を使った研究をしてきまして、足がどのように、どれくらいの力で地面に着くのか、体全体の動きとひざがどう関わっているかなどの運動や動作を詳細に検査します。ひざや体の動きの関わりを見極めたり、どう改善したかなどの治療の評価まで行うことができる最新鋭の技術です。
さらに、MRI研究や漢方薬についても学んできたので、症状に対して、新しい視点や違う切り口からアプローチすることが出来ます。

当クリニックでは2人の医師が持つ互いの経験と知識を合わせることで、手術も含め、可能な選択肢を積極的にきちんと提示できて、患者さんご自身にも納得いただくという満足度の高い治療を目指しています。それはリハビリなど、患者さん自身が前向きに治療に取り組む際、大きな原動力になっていくと考えられますからね。(前田副院長)

スポーツ障害にも積極的に取り組まれるそうですが?

スポーツ傷害の中でも靭帯や半月板などを膝関節を傷めるケースは一番多く、その後、競技者として復帰するのはとても険しい道のりの場合もあります。日常生活ができるレベルに回復してから、さらに専門的に特別な取り組みが必要だからです。当院では、再び高レベルなパフォーマンスが求めらるアスリートに、納得のいく回復状態までのケアをトータルして行うことができる体制も整えています。靭帯損傷には身体への負担が少ない、関節における内視鏡手術といえる、関節鏡視下の膝靭帯再建術も行うことができます。さらにアスレチックリハビリという特別プログラムを実施して競技復帰に対応していきます。入院施設を持ってスポーツ傷害に取り組んでいる施設は全国的にもあまりないという状況です。当院の目指す「より良く、より早い、社会復帰・スポーツ復帰」という理念の実践ですね。(大越院長)

「大きな病院というのは、オールラウンドですが治療の限界があると思います。例えるならデパートのレストランのように、様々なメニューがあって洋食、和食、そばからパスタまで並んでいて味はまあまあ美味しい。でも私たちの病院は、そばならそばの専門店になりたいんです。素材や作り方にこだわり、最大限の美味しさを常に追求するそば屋のように…。」と、清々しく穏やかにお話しくださった大越院長。先生のお話は終始わかりやすく、理想の形を追求する熱い想いに満ちていた。それに響きあうように、前田副院長も「病院名から病院作りまでスタッフ1人ひとりの思いをくみ取ってくれた院長を先頭に、病院をみんなで作りあげている実感があります。だからこそ、それぞれが責任のある仕事をしていくという自覚も生まれているし、希望を持って働いています」という心強い言葉を聞くことが出来た。

toku_070620_hakodateseikeigeka_04社会的に医療の効率化や大病院志向などの医療の大きな流れが否応なく押し寄られている昨今、もうひとつの流れとして、地域に根ざし、患者に寄り添うきめ細やかな医療の役割も注目されている。そんな中、函館整形外科クリニックにみる、”ひざ”に特化するという特筆すべき付加価値を持ち、検査から診療、最先端の手術、入院、リハビリまでの完結した治療が可能であるという新しいコンセプトは、患者の高い満足度に直結し、いわば日本の医療の未来形を先取りした注目すべきスタイルのクリニックと言うことができるだろう。

 


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