どんな要望にも応えるオーダーメイドならではの魅力  

株式会社 井上木工 

本 社:函館市亀田港町2番8号 TEL 0138-41-1350 

浅野工場:函館市浅野町5番1号 TEL 0138-83-8725 

■井上 誠社長

「お客さんがこういうものが欲しいといえば、何でも形にします」と話すのは、井上誠氏。創業者である先代の後を継いだ㈱井上木工の二代目社長だ。
 業歴半世紀余の同社。昔は同じ建物の建築でも、木工屋さんといえばロッカーなど、いわゆる箱物の制作が主体。扉などの制作は建具屋さんの扱いだった。それが年を追うごとに木工、建具とも減少し、お互い専門とする仕事の垣根がなくなってきたという。
「建築屋さんから、こういうのは井上さんはやらないのと声がかかって、何とかなりますと仕事をしている内に建具屋さんの仕事もやるようになりました」と話す井上社長。同社にも、もとは建具をやっていた人という職人さんもいる。

要望に応えるうちに仕事の幅も材料も広がる

■井上木工制作のベンチ兼棚(上)と引出収納箱(いずれも七飯町の男爵ラウンジ内)

 仕事の幅が増えるとともに使用する材料も木材から広がった。
 「父の頃は、例えば流しの本体は木ですが、シンクは金属系のステンレスを使うようになり、それを使っている内に金属の加工法も理解して来る。比較的新しい素材では、プラスチック系の人造大理石など、設計屋さんから図面に指示があれば、それを使わなければなりません。そうした仕事を繰り返すうちに、分かってくれば躊躇なく使える。メーカーさんは、どんどん新しいものを出してきますから、カタログをみたりして調べて扱えるように勉強します」と話す井上社長は、材質の違いや特徴を知ることで、「この材料をこう使ったら」という提案も可能になったという。そしてCGの完成予想図により仕上がりのイメージも確認してもらう。

望まれたものは何でも形にする

■浅野工場内の木工加工機

 ゼネコンからの依頼は、設計図に書かれた発注内容により制作を請け負う。たとえば壁から壁までの机などの発注は、その建物だけに合わせたオーダーメイドだ。オーダーメイドだからこそ、建物が完成した後でも、可能な限りの要望に応じることが可能だ。
写真で紹介しているのは、男爵ラウンジ(七飯町)内にある井上木工が施工した引出収納箱等の製品だ。このほか市内病院の受付カウンターやカルテ棚、みちの駅あっさぶにも井上木工施工の製品がある。また、変わったところでは市電のハイカラ號の窓枠も同社が施工したものだ。
「いかようにもつくれますよといったら、お客さんがすごく喜んでくれて。物理的に無理な形でなければお応えします」と井上社長は話す。